おおいた 土木未来(ときめき) プラン2015について


田 原 雅 弘


キーワード:おおいた土木未来プラン2015、ストック効果、建設産業の担い手の確保・育成

1.はじめに
大分県土木建築部は、平成18年3月、部の長期計画「おおいた土木未来(ときめき)プラン2005」を策定した。造った人、関わった人の想い(生命)がこもり、利用する人々の安全・安心(生命)が守られ、次世代の人々(新しい生命)がその価値を讃えるような県土をつくるという思いを込め、「生命(いのち)を紡ぐ県土づくり」を基本理念として、県民が夢を持てる地域づくりに邁進してきた。
その結果、平成22年に重要な治水対策の1つである稲葉ダムが完成、平成24年3月に中津日田道路の一部が完成、その直後の平成24年7月九州北部豪雨の際には、稲葉ダム下流における浸水被害の軽減や全面通行止めとなった国道212号のリダンダンシーとしてこの中津日田道路が活躍した。平成27年には100年の大計と言われた大分駅付近連続立体交差事業の完成や東九州自動車道の県内全線開通、あわせて中九州横断道路や中津日田道路も一部で新たに供用を開始するなど実績を上げることができた。
その効果は、平成27年5月の観光客入込数が対前年比1.2倍に増加、物流における集出荷エリアの拡大による大分~清水間新規RORO線の就航が決定など観光、産業面でも、着実に出ている。



2.時代の潮流
現計画が平成27年度に最終年度を迎えることから、新たな計画「おおいた土木未来プラン2015」(以下、新たな計画)の策定に取り組んでいる。
平成24年の九州北部豪雨では、死者・行方不明者4名、床上・床下浸水947棟、土砂災害53件の甚大な被害が発生した。また、今後50年以内に90%の確率で発生が予測される南海トラフ地震では、最大死者数約2万2千人と想定されているなど、頻発化・激甚化するあらゆる自然災害への備えとして強靱な県土づくりが求められている。
他方、日本一多いトンネルや九州一の県管理河川延長などを抱える本県にとって社会資本の老朽化対策も重要な課題である。
さらに、昨年のJRデスティネーションキャンペーンやラグビーW杯2019など大規模国際スポーツ大会を目前にツーリズムの気運が高まっており、「おんせん県おおいた♨味力(みりょく)も満載」の観光戦略の支援に加え、九州の東の玄関口として、人の流れ、物の流れを活性化させ、産業の発展基盤を整えることが求められている。
特に、本格化する人口減少社会の中で地方創生が最重要課題である。現在約117万人ある人口が、2060年には76万人程度まで減少するとの試算もある中、本県の総合戦略では、人口減少に歯止めを掛け、地方に元気を取り戻すため、土木建築部が、減災・防災対策や広域交通網の整備など地域間競争の基盤整備を担っている。
このため、新たな計画では、旧計画の基本理念を継承しつつ安心・活力・発展の3分野に国土強靱化や地方創生といった時代の潮流への対応を織り込みながら施策を推進する。



3.新たな計画の特徴
(1)ストック効果
新たな計画でも、これまでと同様「広く県民にわかりやすく」を基本コンセプトにしている。旧計画においても一部でストック効果を記載していたが、新たな計画では、ほとんどの施策に採り入れ、これまでの成果を明らかにした。今後の取組による将来像がイメージしやすく、県民に対して、わかりやすく事業効果を伝えることができる。
また、昨年9月、安心・活力・発展の大分県づくりを支えるインフラストック集をとりまとめた。幅広い分野から22事例を紹介しており、大分県H.Pで公開しているので是非ご覧いただきたい。


(2)土木未来プロジェクト
各施策の事業の中から、喫緊の課題への対応、ダイナミックな変化をもたらす大規模事業、新たな視点での取組を土木未来プロジェクトと称して、「九州の東の玄関口」の強化や社会資本の集中的メンテナンスなど8つのテーマ毎に取りまとめた。時代の潮流に対応し、重点的に取り組む内容を明確にした。

(3)建設産業の担い手の確保・育成
本県においても建設業就労者の減少や高齢化が著しく、とりわけ若者の入職促進は喫緊の課題となっている。新たな計画では「地域を守る建設産業の担い手の確保・育成」を人づくりの推進として位置付け、社会保険未加入対策の推進や工事発注の平準化、適切な工期の確保、適正な設計労務単価の設定など就労環境の改善等にあわせて、次世代を担う学生や子供たちを対象に、建設業のイメージアップにも積極的に取り組む。



4.おわりに
今後、パブリックコメントを反映し、本年3月の県議会の議決を経て策定となる予定であるが、毎年、進捗状況をフォローアップしながら着実に計画を実行し、世代を超えて恩恵を受けることのできる県土づくりを県民とともに進めていく。
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