平成25 年度の『九州防災・火山技術センター』における

大規模災害に係る支援・人材育成への取り組みについて


坂 井 佑 介


キーワード:大規模災害、災害対応、人材育成

1.はじめに
九州地方整備局では、風水害・土砂災害・火山災害等の大規模災害時における対応の高度化・効率化を図るため、従来の「九州防災センター」の 機能強化・拡充を図り、「九州防災・火山技術センター」を平成25 年7 月に設置した(図-1、2)。
当センターの主な役割として、平常時には、各種災害対応の訓練や研修を企画運営し、緊急災害対策派遣隊(TEC . FORCE 隊)の災害対応能力の向上を図るとともに、防災関係資機材の機能維持・向上・技術開発・配備計画の策定を行うことで、九州地方整備局の人材育成と技術開発による防災力強化に努めている。また、県及び政令市が主催する地域防災訓練に参加し、九州地方整備局が所有する災害対策機械等の能力・機能を自治体及び一般参加者の方に紹介するとともに、自治体と共同で実施する各種訓練を通じて、連携・支援体制の強化を図っている。また、災害時には、当センターがTEC ー FORCE 隊や災害対策用機械の派遣拠点となり、迅速かつ効果的な災害対応を行うとともに、技術的な支援・協力を行っている。
本稿では、設置初年度となった平成25 年度において、『九州防災・火山技術センター』が実施したTEC ーFOREC 派遣や各種訓練・研修等の大規模災害に係る支援・人材育成への取り組み内容について紹介する。


2.災害時のTEC . FORCE 隊と災害対策用機械の派遣
平成25 年度は、全国において、台風等による豪雨災害が頻発した。九州地方整備局では、災害からの早期復旧への支援のため、山口・島根豪雨災害において、TEC . FORCE 隊16 班73 名(延べ487 人・日)及びヘリコプターや排水ポンプ車等の災害対策用機械計8 台(図-3、写真ー1、2)、台風18 号による近畿地方豪雨災害において、TEC . FORCE 隊8 班33 名(延べ258 人・日)を派遣した(図-4、写真ー3)。また、台風26号による伊豆大島豪雨災害において、土砂災害危険箇所の緊急点検や施設被害調査のため、TECー FORCE 隊12 班28 名(延べ186 人・日)を派遣した(写真ー4)。これらの災害支援時に、九州地方整備局本局では派遣するTEC ー FORECE 隊員の調整や移動経路の確保等の手続きを行う一方で、当センターがTEC ー FORECE 隊の調査用資機材及び災害対策用機械の派遣準備をするといった業務分担を行うことにより、迅速な派遣が可能となっている。具体的には、台風26 号による伊豆大島豪雨災害において、九州からは遠く離れた場所であったものの、多くの死者をもたらした土石流の発生翌日に伊豆大島に到着し、災害発生直後における早期の支援活動を行っている。


3.防災訓練における自治体等との連携
当センターでは、県及び政令市が主催する地域防災訓練に参加し、九州地方整備局防災対策室と現地とのTV 会議システム等を活用した災害状況調査訓練(写真-6、7)、国道や河川等に設置したCCTV からのリアルタイムの映像を活用した災害状況調査訓練、災害対策用ヘリコプターの各機関への映像配信及び通信訓練(写真ー8)、衛星通信車・衛星小型画像伝送装置(Ku-SAT)・排水ポンプ車等の災害対策用機器の設営訓練、映像・音声の伝送訓練等(写真ー9)を行い、災害時における自治体との連携・支援体制の強化を図っている。平成25 年度は、九州5 県4 市の地域防災訓練に参加するとともに、当センターを活用した各直轄事務所等と個別市町村との訓練充実の支援 も行った。
また、鹿児島県における防災訓練では、海上自衛隊と連携した災害対策用機械の海上輸送訓練(写真ー 10)、宮崎県における南海トラフ巨大地震を想定した総合防災訓練では、県警察、宮崎市消防局、自衛隊等と連携した被害状況調査訓練を実施するなど、自治体のみならず、災害対応にあたる関係機関と連携した訓練を実施し、災害対応の円滑化・効率化を図っている。


4.研修による大規模災害時に係る人材育成
九州地方整備局の人材育成による防災力強化のため、当センターでは職員を対象とした研修・訓練等を企画・運営している。平成25 年度は、九州技術事務所の研修所において、TEC ー FORCE 派遣時における調査技術の向上を目的としたTEC ーFORCE 隊員研修(写真ー 11)、土砂災害防止法に基づく緊急調査で実施する土石流氾濫解析手法を演習により習得することを目的とした大規模土砂災害緊急調査研修を実施した(写真ー 12)。また、九州管内の直轄事務所に赴き、リエゾン(現地情報連絡員)やTEC ー FORCE 隊派遣時の活動内容を習得するリエゾン・TEC ー FORCE ブロック研修を6 ブロック11 会場、全12 回開催した。さらに、火山活動が活発な九州地方の特性を生かし、全国の地方整備局職員を対象として、鹿児島県桜島において、火山噴火緊急調査訓練を実施した。本訓練では、土砂災害防止法に基づく緊急調査で実施する現地調査について、火山噴火による降灰が続く桜島島内で、降灰量調査訓練及び浸透能調査訓練を実施している(写真ー 13、14)。九州地方整備局はもとより、北海道開発局、東北・関東・近畿・中国地方整備局、土木研究所から総勢33 名が参加している。参加者からは、「火山噴火による危険性を肌で感じることができた」などの意見が寄せられており、火山活動が活発な現場を身近に感じることで、火山防災担当者の防災意識を高めるよい機会になったと考えられる。


5.おわりに
近年、集中豪雨の頻発や火山活動の活発化、南海トラフ巨大地震の懸念の高まりを受け、九州地方整備局では、更なる防災力の強化に取り組むとともに、管内のほぼ全ての市町村と災害協定を締結することで、災害対応における自治体との連携・支援体制を強化している。九州防災・火山技術センターでは、平成26 年度においても、平常時には先述した訓練・研修を実施し人材育成や自治体との連携強化を図るとともに、災害発生時には迅速かつ効率的な災害支援を行い、地域の安全・安心確保に努めていく所存である。