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地域高規格道路「都城志布志道路」の整備について


大 前 洋 之


キーワード:物流の効率化、広域ネットワークの形成、道路機能の強化

1.はじめに
宮崎県南西部に位置する都城市は、古来より南九州の拠点都市として、また交通の要衝として機能してきたが、一般国道の10 号、221 号、222 号、269 号に加え、主要地方道4路線が都城市の市街地に集中しており、慢性的な交通混雑を引き起こしている。
都城志布志道路は、都城市から曽於市を経由し、志布志市に至る全体延長約42㎞の地域高規格道路であり、九州縦貫自動車道宮崎線と中核国際港湾志布志港及び、東九州自動車道とを連結することで、都城・大隅生活圏をはじめ、広域の地域振興を支える、きわめて重要な道路として、平成6年12月、計画路線に指定された(図-1)。


2.都城志布志道路の整備状況
都城志布志道路は、図-2に示すとおり宮崎県側が約21㎞、鹿児島県側が約21㎞で計画されており、宮崎県側の約21㎞のうち、九州縦貫自動車道宮崎線の都城IC~五十町ICまでの約13㎞区間を国土交通省が、五十町ICから県境までの約8㎞区間を宮崎県が施工することとしている。
このうち、宮崎県施工区間の五十町IC~梅北IC間(写真-1)の約3.2㎞を平成23 年4 月19 日に暫定2車線で供用を開始した。
国土交通省施工区間の平塚IC~五十町IC間(写真-2)の約1.9㎞を平成24 年3 月24 日に暫定2 車線で供用を開始しており、鹿児島県側で既に供用を開始している末吉IC~有明北IC間の約8.3㎞と合わせ、平成25 年3 月末現在で約13.4㎞(約32%)を供用している。

   


3.都城志布志道路の整備効果
(1)物流の効率化
畜産の農業産出額は図-3に示すとおり、平成18 年度で、都城市が全国第1位、曽於市が第4位であり、都城・大隅地域は日本の食糧基地として重要な役割を担っている。


このため、志布志港(写真-3)では、取り扱う貨物の約8割が穀物類で、その穀物から配合される飼料のうち約50%(約138 万トン)が宮崎県内に運ばれていることから、宮崎県の畜産にとっても重要な港湾となっている(図-4)。

 


平成23 年5 月には、九州で唯一国際バルク戦略港湾の選定を受け、日本有数の農畜産地帯(都城市、大隅地区)への飼料供給基地として今後更なる機能の強化が見込まれており、都城志布志道路の整備により、図-5に示すとおり都城ICから志布志港間の所要時間が約30 分短縮されることで物流の効率化が図られる。
また、志布志港を介して国内外との結びつきが強化されることにより、都城・大隅地区の農・畜産業のさらなる活性化が期待されている。


(2)広域ネットワークの形成
江戸時代、南九州は鹿児島藩(島津氏)が治め、都城はその最大の私領として栄えた。
明治時代初期には、短期間ながら現在の宮崎県南部と大隅半島を県域とする「都城県」が置かれた。


また、大正14 年に国鉄志布志線が全線開通し、都城市と大隅地域は経済的にも強く結ばれていた。
昭和62 年には志布志線は廃止されているが、昔から地理的、歴史的に密接な関係があるこの地域にとって、廃止以降も都城市・大隅地域を中心とした生活圏を形成しており、文化、経済の交流も盛んである。
都城志布志道路の整備により、都城市、三股町、曽於市、志布志市のアクセス性が向上し、企業立地や観光振興など地域の活性化が図られる。
また、就業、教育、医療などの面で、3市1町の交流、連携の強化が期待されている。

(3)道路機能の強化
本県は全国有数の豪雨地帯であり、写真ー4のとおり、毎年のように浸水被害や土砂災害に見舞われている。
都城市の大動脈である国道10 号の交差点や市街地の主要幹線は、台風等の大雨で度々冠水し、貨物の輸送や緊急活動などの日常生活に影響を及ぼした。
(過去の冠水による国道10 号の通行止め時間)
 ・H16.8.30  約 4 時間
 ・H17.9.6   約 12 時間
 ・H23.9.20  約 4 時間

 


また、都城市内の幹線道路は渋滞が激しく、非常に混雑している。
志布志港から都城間では、大型車の交通量が多く、通学時の児童が危険にさらされているとともに、通過車両による振動等で沿道環境が悪化している状況である(写真ー5)。
都城志布志道路の整備により、都城市街地を通過する幹線道路の交通混雑緩和や沿道環境が改善され、災害発生時の緊急輸送や日常生活などへの悪影響が少なくなることが期待される。

 


4.梅北工区の整備について
梅北IC~(仮称)諏訪山ICの約2.5㎞区間については、梅北工区として平成23 年4 月1 日に整備区間に指定され、これまで用地買収を重点的に進めている。
現在までに約95%(面積ベース)完了し、平成24 年度には一部工事に着手した(写真-6)


(梅北工区概要)
  全体延長:L= 2.5㎞
  幅  員:W= 7.0(12.0)m
  設計速度:80㎞/h
  全体事業費:約42 億円
  主要構造物:橋梁4橋、函渠4箇所

 


梅北工区は大規模な構造物が少なく、図-8のとおり主に盛土構造である。
そのため、工事に着手すれば、比較的早期に完成することは可能であるが、梅北地区の多くが文化財区域に指定されており、図-7に示すとおり梅北工区で6箇所の遺跡を通過するため、工事着手前に文化財調査を行う必要がある。
平成24 年度に用地買収が完了した箇所から随時、試掘調査を行っており、遺跡が確認された大年遺跡について、平成24 年8月から本調査を実施している(写真-7)。
事業の早期完成には、埋蔵文化財調査の進捗が重要となるため、今後も関係部局との連携を図りながら事業を進めていく必要がある。


5.おわりに
都城志布志道路の完成は、都城・大隅地域の経済発展や広域ネットワークの形成など、様々な効果をもたらすことから地元の期待も非常に大きく、国土交通省、鹿児島県、宮崎県が協力して整備推進を図っている。
また、唯一未着手となっていた(仮称)諏訪山IC~末吉IC間の宮崎県「金御岳工区」と鹿児島県「末吉道路」についても、平成25 年度の新規事業化が認められたところである。
今後も、地域と一体となり、一日も早い全線供用に向けて事業を推進させていきたい。


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