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小丸大橋架け替え事業
~歴史的意義のある旧橋の活用と新橋架替えについて~
                            宮崎県 甲 斐 重 隆
 
 1 はじめに
 主要地方道石河内高城高鍋線は、木城町石河内を起点とし、高鍋町中心部の国道10号菖蒲池交差点に至る実延長18.8㎞の幹線道路である。ところが、一級河川小丸川を渡河する旧小丸大橋は、戦後間もない昭和23年に架設された連続トラス橋で部材の腐食による老朽化が著しく、幅員も狭いため大型車の通行が規制されていた。このため、小丸川を挟む南北の交通は約1.3㎞下流の国道10号高鍋大橋に集中し、慢性的な交通渋滞が生じていた。
 これらの問題を解決するために、小丸大橋の架け替えを含む全体区間970mについて平成8年度から道路整備を進めてきた。このうち、小丸大橋は平成10年度に着工し、平成15年7月4日に開通した。開通後は、旧橋の撤去を行い平成18年5月に全事業が完了した。
 

左岸下流から見た旧橋

写真-1

 
事業の概要
      橋   長  340m
         員    6.0(16.0)m
      構造形式  4径間連続PC箱桁橋
      事業期間  平成8年度~17年度
      事 業 費  5,685百万円 (取付道路を含む)
 
2 環境・景観の検討
 小丸大橋は,木城町石河内を起点として高鍋町中心部の国道10号菖蒲池交差点に至る児湯地域の幹線的な役割を担う道路に属し,一級河川小丸川を跨ぐ橋梁として計画され,高鍋町中心市街地に近接することから,環境および景観に配慮した形状,構造,施工の検討を行った。
 ① 環境への配慮
 全径間張出し架設工法を採用したことにより(橋台側の側径間部は除く)、河川断面内への影響を仮桟橋設置のみに抑えることができ、1級河川である小丸川への影響を最小限にすることができた。
 ② 景観への配慮
 景観的には虹をイメージした姿になっており、静かで雄大な川面にアーチを描く美しい橋である。親柱を小丸川上流産出の自然石を利用し、中央部上流、下流に憩いの場となるバルコニーを設け、高欄の配色を景観に配慮したものとするなど、地域に愛される橋になるように工夫したところである。堤防道路との連絡も良く、照明灯も設置してあるため、地域の方々の安全な散歩コースになっており、朝夕、にぎわいをみせている。
 
・PC変断面箱桁,斜ウェブの採用
 川面に対してアーチを描く変断面箱桁を採用し,景観へ配慮した主桁形状として,一般的な直ウェブではなく,斜ウェブを採用した。
・バルコニーの設置
 近隣住民の散歩道となることを考慮し,橋梁中間位置に憩いの場となるバルコニーを設置した。
・鋼製排水溝の採用
 主桁を景観に配慮した形状としても,路面排水の横引管等が桁外に設置されると,景観を損ねることになるため,景観性を重視して,鋼製排水溝を採用した。
 
3 計画、設計及び施工上の特徴
 小丸大橋は小丸川を横断する橋長340m、幅員16.0mのPC4径間連続箱桁橋である。本橋梁の特徴は、基礎工として支持層が被圧帯水層であることを考慮してケーソン基礎を採用したこと、上部工では広幅員ながら1BOXの箱桁を採用している点である。
 ケーソン基礎の施工では、作業室内の掘削作業を、安全性、効率性を考慮して圧気下での作業を避け、機材の遠隔操作による無人化施工を行っている。また、上部工はワーゲンを用いた張出し架設工法により施工を行なった。
 
 3-1 基礎工及び下部工の特徴
 本橋の橋脚位置では、GL-25m付近の十分に締まった砂礫層(N値50以上)で、その層厚も約15mあるdg層(砂礫層)を支持層とした。このdg層(砂礫層)は、調査の結果、被圧帯水層(被圧水頭GL+3m)であることが確認されたため、被圧帯水を考慮した基礎工形式の検討を行った。
 支持層の深さから判断すると、基礎工形式は杭基礎とケーソン基礎が考えられる。
 杭基礎では、場所打ち杭と既製杭に大別されるが、前者は支持層である砂礫層が、被圧帯水であるため、その伏流水により杭先端部のコンクリートが流失し、所定の支持力が得られない可能性が高い。また、既製杭の施工方法については、周辺環境への配慮のため中掘り工法にて行うものとし、中掘り鋼管杭で検討した。
 検討の結果、本橋梁の荷重規模では構造として成り立たない。したがって、ケーソン基礎を採用した。ケーソン基礎においては、支持層の状況を直接目視確認でき、沈下管理が容易であるニューマチックケーソン(ピアケーソン方式)を採用し、施工に際しては安全性、省力化等を考慮し、無人化施工(県内初)としている。
 
 3-2 上部工の特徴
 上部工は、本橋のような広幅員となると一般的に主桁のBOX数は2BOXを採用することとなる。しかし、2BOX主桁はケーブル緊張時に作業員のBOX間の移動ができず、作業効率が悪く、中央のウエブ分だけ上部工重量が増す、というデメリットがあることから、1BOX主桁の検討を行った。1BOXとした場合、床版支間が6m以上となり、床版設計用断面力の道路橋示方書の式の適用外となることから、FEMによる解析を行ない、検証を行なった。上部工のケーブル方式は、部材厚を薄くすることで下部工への死荷重負担低減を図ることができる、内外併用ケーブルを採用している。
 また,ウェブに傾斜をつけることにより、景観が向上する他,下床版コンクリートの軽減、図心位置変化によるPC鋼材料の低減等が考えられる。そこで、ウェブ傾斜を数種類仮定し、最適傾斜の検討を行った。
 桁形状に斜ウェブを採用したこと及び内外併用ケーブルの採用により、上部工の重量が約700t軽減でき、約5千4百万円のコスト縮減になった。
 

図―1 全体概要図

 
 4 旧橋の活用
 旧橋は昭和21年9月に着工され、昭和23年3月に竣工した。構造はワーレントラスで、当時世界でも、ドイツにある同形式の橋に次いで2番目となる珍しい橋梁形式であった。終戦直後の建設工事で、財政、資材(セメント、鉄材)、労働力が極端に不足していたため、予定工期を大幅に遅れるなど、難工事であったと記録に残っている。
 トラス部材等鉄材の大部分は新田原旧陸軍飛行場(新富町)の格納庫の資材を流用したもので、所々に弾痕の跡をとどめている。取り壊しにあたって下部工の橋脚、井筒基礎部分には主鉄筋代わりにL型鋼材が使われており、帯鉄筋、スターラップ類がほとんど見られないなど、現在の橋梁の技術水準からみると隔世の感がすると共に当時の技術者の労苦が偲ばれる。供用開始後55年を経て取り壊されたこの旧橋の歴史的意義を後世に残すため、左岸側交差点の一角に、旧橋トラス部材、親柱をモニュメントとした橋詰め公園を設置した。また、旧橋脇に建設されていた側道橋(鋼箱桁橋)は比較的新しかったことから、撤去の際に、箱桁材の一部を隣接土木事務所の側道橋桁材として有効活用した。
 

写真-2

 

写真-3 鋼箱桁を測道橋に再利用(吐合橋側道橋)

 
 5 整備効果
 旧橋は老朽化により平成4年から大型車の通行規制を行っていたが、小丸大橋の完成供用により、懸案であった大型車の通行が可能になった。
 本改良区間は東側(下流)にある国道10号のバイパスの役割を担う幹線道路である。国道10号は宮崎市から新富町・高鍋町を経て川南町・都農町を縦走し日向市に至るが、高鍋市街地では約2万5千台/日の交通量があり朝夕の通勤時には、長い渋滞を招いていた。小丸大橋の完成により、小丸川を渡る国道10号高鍋大橋との車両が分散し、国道10号高鍋市街地で約800台/日の交通減で渋滞緩和が図られている。
 

写真-4 右岸上流から見た小丸大橋

 

写真-5 開通直前の新旧小丸大橋(H15.7)

 
 児湯地域は農畜水産業が盛んであり、今後は、物流拠点と消費地を結ぶ東九州自動車道高鍋インターチェンジ(平成22年度供用予定)へのアクセス道路としての本路線の利活用用が期待される。
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