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九州技報 第41号 トピックス

側方移動した橋梁の補修工事について

九州地方整備局 佐伯 康夫


1 はじめに
一般国道3号は、北九州市門司区を起点とし、鹿児島市に至る延長約455kmの主要幹線道路であり、九州を縦断する大動脈となっている。
そのうち軟弱地盤帯を横断する高架橋(位置図参照)においてジョイント部路面に段差等の損傷が発生していたため調査したところ橋台が側方移動し上部工(主桁)と接触していることが確認され、ひずみ測定結果から側方移動が確認された。
また、その段差により地域住民から騒音・振動に対する苦情も寄せられていた。
よって今回、側方移動の防止対策および路面補修等を行ったので対策工事の報告を紹介する。

 

位置図
2 現橋の概要
橋梁は、昭和48年竣工、橋長192.2m、幅員9.25m、鋼単純合成鈑桁(6連)ラーメン式橋台、RC張出式単柱橋脚である。
 
3 損傷状況
 ① A1橋台が桁と接触している(写真-1、写真-2)
 ② 埋設ジョイント部に亀裂があり路面と段差が生じている(写真-3)
 ③ 端部床版にコンクリートの剥離および遊離石灰が見られた(写真-4)

写真-1 A 1橋台
主桁とパラペットが接触している
 

写真-2 A1橋台部(固定支承)

写真-3 路面状況
埋設ジョイント部の凹凸

写真-4 床版剥離状況

 
4 損傷の原因
① 本橋が、遠賀川下流域に発達した軟弱地盤帯を横断しており橋台背面を盛土施工していること等により橋台が側方移動したためと考えられた。
② 桁端部のRC床版が剥離し、伸縮装置の支持耐力が不足したものと考えられた。
③ 車両通過による繰り返し荷重および、伸縮装置からの漏水が考えられた。
 
5 対策の目的
橋台の側方移動により下部構造と上部構造が接触した状況となっており、今後、橋台の側方移動が進展した場合、主桁の座屈が懸念される。
そこで、今回上部構造と下部構造を面接触させる対策を行うことで、今後、橋台の側方移動が発生した場合においても、主桁への作用力を分散させ橋梁の損傷を未然に防止する。(図-1)

図-1(1)


6 対策方法
◆側方移動対策
・端横桁をRC構造巻立て、下部構造と面接触させる構造とする。
・対策箇所は、全径間を対象とする。
・橋台の側方移動により損傷している支承については、対策実施前に取替を行う。

図-1(2)
◆床版連結
・桁端部のRC床版が劣化しており、桁端部の断面修復、伸縮装置の取り替えでは同様な損傷を繰り返すと考えられるため、恒久的な補修対策として床版連結工を採用した。
・床版を連結することにより伸縮装置を省略しノージョイントとすることにより騒音、振動の低減を図った。
 
7 端横桁巻立て構造
・振動、騒音を軽減する事もひとつの目的であるため、旧JHで標準化されている桁端部の剛性を高める端対傾構(横桁)のRC巻立て構造を採用
・主桁と、端横桁巻立て構造の一体化は、スタッドジベルによる方法を採用
・また、耐震補強3ヶ年プログラムにより、変位制限装置を設置する必要があるため端横桁巻立てを利用しアンカーバー構造により対応した。
 
8 対策状況
◆端横桁巻き立て
鋼桁と端横桁(RC巻き立て部)との一体化を図るためスタットジベルを設置。(写真-5)

写真-5 端横桁巻き立て配筋状況

 

◆変位制限装置
・橋軸直角方向の変位制限構造のため、端横桁内にアンカーバーを埋め込み設置。(写真-6)

写真-6 変位制限装置アンカー

 

・当初アンカーバー削孔はハンドハンマであったが、端横桁とパラペットの隙間は300mmほどしかなく狭いため安全に正確な削孔を行うためコアによる削孔を行った。

変位制限完成状況

◆ コンクリート打設
・打設高、作業スペース、ひび割れを考慮し、コンクリート打設を1時施工、2時施工の2ブロックに分け打設を行った。(写真-7、写真-8) (図-2)
・連結床版部においては品質、事故防止の両面から24時間規制にて作業を行った。(写真-9)
・巻き立て上部は床版はつり部から打設を行った。(写真-10)

図-2 コンクリート打設施工図

 

写真-7 コンクリート打設状況

 

写真-8 コンクリート打設後

写真-9 規制施行状況

写真-10 桁連結状況

 
9 おわりに
この橋梁部は、これまで近隣住民より騒音がするなどの苦情が多かったが、今回の工事により静かになったなどの意見を頂くことが出来ました。
また今回、補強・補修工事を行うにあたりご指導頂きましたました九州共立大学 前田教授に敬意を表します。
 
参考文献
平成17年度遠賀川橋外1連耐震補強設計業務
(道路橋示方書・同解説、土木研究所資料第1804号 橋台の側方移動に関する研究、西日本道路株式会社 設計要領 第二集 橋梁編)
 
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