一般社団法人

九州地方計画協会

  • 文字サイズ
  • 背景色

一般社団法人

九州地方計画協会

  •                                        
ITを活用した水害危機管理のための河川情報の
収集,処理,配信について

国土交通省九州地方整備局
 河川部 河川管理課長補佐
宮 崎 寛 章

1 はじめに
情報通信技術の発達に伴って,世界的な規模で進行する社会経済の変化に的確に対応する必要から,政府は2000年に「IT戦略会議」の設置と「IT基本法」の成立を行い,2002年に「e-Japan重点計画」を決定して推進しています。高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を,国家戦略として迅速的にしかも重点的に推進し,「我が国を世界最先端のIT国家」とするべく省庁の枠を越え各方面において,さまざまな施策が展開されています。
政府においては内閣総理大臣を会長とする中央防災会議の「防災情報の共有化に関する専門調査会」の場において,国土交通省においては「防災情報等集約・提供推進委員会」の場において,国土交通省が保有する防災情報と,これらに係る地理情報システム(GIS)に関する情報の一元的な集約,提供を行うこととしています。
これら一連の延長線上に,ITを活用した水害危機管理のための「河川情報の収集,処理,配信」があり,道路局,河川局気象庁等の情報発信側の行政庁はもとより,地方自治体や広く一般国民まで情報を共有し,活用することによって災害の少ない社会の実現を目指すこととしています。

2 e-Japan重点計画
政府では国土管理の高度化として,防災上特に重要な箇所において,監視装置,情報提供装置,情報ネットワーク等からなる災害情報ネットワークを2003(H15)年までに整備し,国土保全施設等の遠隔制御,遠隔監視等を実現することとしています。更に,迅速かつ的確な情報の共有や提供により,確実な防災活動や避難等危機回避行動を可能とする等,災害発生の防止,被害の抑制,安全の確保を図ることとしています。
また,防災分野では情報の迅速な収集伝達を図り,国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するため,国・地方公共団体・住民を結びつける高度な情報通信システムを構築することとしています。
これらが,IT戦略本部が平成14年6月に出した「e-Japan重点計画」で,この一翼を国土交通省も担うこととしており,平成17年にわが国が世界最先端のIT国家となることを目標にしています。

3 水情報国土
こうした政府の方針に基づき,「e-Japan重点計画」と連動して,河川局では「水に関するあらゆる情報を収集整備し,国民がそれを共有し,活用することによって実現された,安全で多様な文化を持つ国土」と定義する「水情報国土」を目指すこととしています。
地方整備局における具体的な整備内容には次の項目があります。
(1)超高速大容量光ファイバーネットワークの整備
(2)CCTV,センサー等の整備
(3)河川GISの整備
 ① 流域及び河川基盤地図
 ② 河川現況データ
 ③ 水文・水質データ
 ④ 河川環境清報
 ⑤ ダムに関する諸量,水文観測データのうちダムに関わるデータ,環境情報等
 ⑥ 水循環情報に係るデータ
地方整備局にて整備する内容で③水文・水質データの中に,レーダ雨量データの活用があります。これは,洪水予報等リアルタイムの危機管理に重要な役割を果たすことから,この品質を全国統一し,全国合成システムにおいて地上雨量データを用いて補正を加え,オンライン合成レーダ雨量として配信することとなります。

4 統一河川情報システム
国土交通省では国土交通における高度な安全保障・防災の推進を目指して,ハード・ソフト両面から災害に強い国土づくりを行うこととしています。気象や災害等の情報を光ファイバー等を活用して集約し,分かりやすい気象情報・災害情報を防災関係機関を始め広く一般の国民が気軽に入手し,活用することが出来るように「防災情報センター」を設け,情報を提供することを目指しています。
この情報提供のためには,河川情報システムの統一が効果的となってきました。この背景としては,①危機管理体制の整備(集中豪雨や都市型水害等の予期せぬ災害への対応が必要),②自治体の災害支援体制の整備(地方建設局から地方整備局へ変わり,自治体への災害支援がますます必要),③情報の共有(本省―地方整備局―事務所一県を結ぶネットワークが平成15年度に概成し,県の情報が入手可能となる)等のニーズの高まりや条件が整備されてきたことがあります。
ここで,問題となるのが現在の河川情報システムでは,気象庁,道路局や都道府県データを追加したり,レーダ雨量の合成等には大幅な改修が必要でありしかも,各地方整備局とも同様な問題があることです。この対応として,ソフトをハードから独立させることによって,サーバに依存せずソフトを修正することができるようにすることや,ソフトの共通部分を機能ごとにブロック化することにより,改良する場合には必要なブロックだけの改良ですむようにすることや,データを画面上で追加・修正できるようになることがあります。河川管理の質の向上を図りつつ,ライフサイクルコストを低減させコスト縮減を図ることとなり,全国共通の「統一河川情報システム」の開発が,大変有用な方法となります。

5 効 果
水情報国土の予定では,平成15年から16年度で現行の河川情報システムと川の防災情報を統合し平成17年から全国共通の「統一河川情報システム」をインターネット上で配信する予定です。
この統一河川情報システムを整備すると,次のような効果があります。
① 河川局,道路局気象庁,都道府県のデータを統一して表示し,広範で多くの情報を入手できる。
② 地域ごとの関連情報を一覧でき見やすくなる。
③ 最新の情報をどこでも入手でき,水防管理者や自治体が自主的な危機管理ができる。
④ 各地整バラバラな画面で管理しているが,統一されどこの情報でも見やすくなる。

6 おわりに
近年の短時間で特定地域に集中する豪雨傾向は,今年も顕著に現れ7月19日には御笠川氾濫による博多駅周辺の水害や遠賀川流域で水害が発生しました。翌7月20日には水俣市で土石流災害が発生し,19名の方がお亡くなりになりました。いざという時の情報の大切さを改めて浮き彫りにした形となり,危機管理の重要性を示す結果となりました。
平成17年度からは,近年の情報化技術の発展により,自治体はもとより一般の方もインターネットを利用し,いつでもどこの情報でも簡単に利用できるようになります。政府のe-Japan重点計画の一環として,統一河川情報システムの整備を行い,河川管理の強化と災害対応の支援として,整備を進めて参りたいと思います。

上の記事には似た記事があります

すべて表示

カテゴリ一覧