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電子入札の取り組みについて

国土交通省 九州地方整備局
 企画部 技術管理課長補佐
後 田  徹

1 電子入札の概要
国土交通省では,平成13年10月から一部の直轄事業(建設工事および建設コンサルタント業務)において,電子入札の本運用を開始しました 。
電子入札システムは,一般競争入札,公募型指名競争入札等のさまざまな入札方式に対応したもので,従来「紙」により発注者・受注者との間でやり取りしていたものを,インターネットを利用して,競争参加資格の確認申請,確認結果の受理,応札,応札結果の受理等の一連の入札手続きを電子的に行うものです。
競争参加条件を満たす者は,誰でも容易に入札に参加することができます。電子入札では,受注希望者は,自社にいながらインターネットを利用して入札に参加できるようになります。

2 電子入札の効果
電子入札を導入することにより,品質の向上や競争性の向上が図られる他,受注者の移動や書類作成の費用が削減されます。さらには,「情報が入手しやすくなり競争性が量的に増加する」「海外も含めた多彩な技術提案を得やすくなり,競争性が向上する」「競争参加者の人件費,移動コストが減少する(実質,建設コストの縮減)」「自動処理が可能となり,重複入力等により事務負担が軽減され事務処理の迅速化が図れる」「その他,紙資源や,人・物の移動によるエネルギー消費が軽減される」といったさまざまな効果が期待できます。

3 電子入札の2大要件
電子入札において2大要件として「公正性」と「本人性」があげられます。現在の入札箱では,入札から開札まで健をかけ,発注者が事前に開封したりできないよう,法律で第三者の立ち会いを求めています。電子入札では,入札から開札までの期間が長いため,この間に不正が入り込む余地がないようにしなければなりません。
国土交通省の電子入札システムでは,発注者が事前に開けられない機能として鍵管理サーバーを保持しています。関連するソフトウェアの公開も行っており,公正性が第三者にて確認できるようになっています。透明性向上のための電子入札で,この部分を不透明にしたままでは官製談合とすら言われかねません。公正性の開示は,電子政府に伴う新たな説明責任といえます。
また,現在の入札書には,法的に効力を有する社印が押印されています。これによって入札後の否認や疑義を防止していますが,電子入札によっても同等の信頼性がなければ,受注者にとって安心して参加することができなくなります。国土交通省の電子入札システムでは電子認証や電子署名法に基づいた設計により本人性を確保しています。
電子署名法に基づくとは,電子署名用の秘密鍵を受注者しか保有していないことを意味しています。法に基づかない場合は,発注者側にも同一の鍵が存在することが考えられ,この場合,架空入札やなりすましなども起こりうる可能性があります。また,「本人」が誰なのか断定することすらできなくなり,落札者が否認したり,他業者が入札無効を主張したり,会計検査等で原本性を確認できなかったりといった混乱を招いては,制度として成立しませんので,法的根拠は重要となります。

4 電子入札計画
(1)国土交通省の取り組み

(2)九州地方整備局の取り組み
① 平成13年度の取り組み状況
平成13年度は,工事で11件(一般競争6件,公募型5件)を実施しました。これらの結果を受け,案件の登録,指名通知,開札,紙入札,運用体制,情報提供等について検討を行い,電子入札をさらに充実させていくことにしています。

② 平成14年度の実施方針(案)
a 工 事
・分任公募型以上(2億円)の工事については,全て電子入札で実施。
・平成15年度からの本格実施を踏まえ,請負者の電子入札システムの整備状況等を鑑み通常指名以上の工事でも各事務所1~3件程度実施。
b 業 務
・簡易公募型以上の業務については,全て電子入札で実施。
③ 説明会の実施
平成14年度以降の電子入札の取り組みについて発注者・受注者向けの説明会を,平成14年2月に4回実施しました。参加者は,建設会社1000人,コンサルタント400人,その他(自治体等)250人,計1650人の参加がありました。

5 電子入札の準備
(1)準備手順(受注者用)

(2)機器環境(受注者用)
① ハードウェア要件
 a パーソナルコンピュータ

 b ICカードリーダー

② ソフトウェア要件

(3)いざという時の対応のために
① 考えられるケース

② 対応方法例(停電の場合)
「長時間復旧見込みがたたないとき」や「すぐに復旧出来るとき」に応じて,それぞれ入札書提出前に発注者へ連絡し,紙入札へ変更したり,システム上の時間延長を行ってもらう等の対応が考えられます。
③入札書提出・開札時の注意点
入札書の提出は,トラブルが起こった場合,紙入札に変更できる程度の余裕をもって行います。(最低24時間前には入札書の提出を行っておくことを推奨しています。)

(4)電子入札システムのインストール
e-BISCセンターから配布する電子入札システムインストール用のCD-ROMを使用して,九州地方整備局の各事務所にて,それぞれインストール作業を行います。

(5)操作練習環境
平成14年度の早い時期にe-BISCサーバを使用した模擬入札による練習や電子入札システムチュートリアル(Web版)を使用した練習を行い,電子入札導入の効率化に努めます。

6 標準化のメリット
国土交通省では,税金による公共事業の執行プロセスを国際的・全国的・長期的視点にたって,国民にとっての利益が最も大きくなるように電子入札の普及方策を検討してきました。
その結果,CALS/EC地方展開アクションプログラムにおいて,「標準化を進めながら迅速な普及を図る」との方針を決定しています。
この方針に基づき,平成13年7月に電子入札コアシステムコンソーシアムが設置され,活動を進めています。
コンソーシアムは,これまでに「公共発注機関における導入コストの縮減を目指した新アーキテクチャーの採用」,「入札参加企業が複数の認証局から認証サービスを選択可能な仕組みづくり」,「公共発注機関への提供価格および提供時期」等,公共発注機関のニーズを踏まえた仕様策定の作業を進めています。また,システムの設計・開発が適正になされているか否かを評価するため,「第三者機関によるシステム監査」も実施しています。
国土交通省では,2000年度より電子入札ソフトウェアを無償提供していますが,同コンソーシアムはこのソフトウェアを発注者が割り勘で改良し,汎用的で高機能なものとする取り組みです。地方公共団体にとっては安価に電子入札が導入できるのはもちろん,同時に標準化も進展することとなります。標準化のメリットは,中長期的にみると莫大なものとなります。

7 おわりに
電子入札が受発注者双方にとって今以上に利用しやすく,効率的でメリットの大きなものとなるように,平成13年度の実施状況も踏まえて充実させ,平成15年度には直轄においては全案件を対象として電子入札を行うことにしています。
今後は公共事業の大半を占める地方自治体等への展開が求められています。
電子入札システムの標準化を進めながら迅速な普及を図るために,国土交通省においては,地方自治体等への円滑な電子入札システム導入に向けた支援を行っていくことにしています。

・国土交通省(http://www.mlit.go.jp)
 ◎電子入札準備手順書
  内容が更新された場合はこちらで確認出来ます。
 ◎その他電子入札関連情報についても掲載されます。

・e-BISCセンター(http://www.e-bisc.go.jp/)
 ◎電子入札専用ソフトに入っているマニュアルや手順書が更新された場合にはこちらから確認出来ます。

・電子認証局(http://www.tdb.co.jp/ca/)
 ◎電子入札用電子記証サーピス説明書
 ◎ICカード設定マニュアル
  上記資料の内容が更新された場合にはこちらで確認出来ます。

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