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西回り自動車道(芦北~津奈木)の開通式典
~地域と一緒に式典をひと工夫~
五反田信幸

キーワード:開通式、地域連携、西回り自動車道

1.はじめに
南九州西回り自動車道は、八代市から海岸沿いに水俣、出水、薩摩川内を経由して鹿児島市に至る広域ネットワークを形成する全長140㎞の自動車専用道路で、全線開通すると従来の約半分の所要時間2時間で走行が可能となります。
これまでに熊本県側で約29㎞、鹿児島県側で約54㎞が供用していますが、平成28年2月27日に芦北インター~津奈木インター間8.8㎞が新たに開通しました。本稿では、津奈木インターの開通に関連した津奈木町での取り組みについて報告します。

2.津奈木町の思い
津奈木町の人々が、八代市方面に行くための国道3号には「三太郎峠」という九州で一番の難所があります。
三太郎峠で最後に残された「津奈木太郎峠」をぶち抜くための津奈木インターの開通は、津奈木町にとっては永年の悲願でしたが、芦北インターの開通から7年近くも待たされました。

このように町民の皆様が待ち焦がれていた津奈木インターの開通に対して、津奈木町では、「ウォーキング大会」(2月20日開催、230名参加)、「つなぎマルシェ」(2月27,28日開催、1,000 名以上参加、物産、観光イベント、「西回り自動道」を通って津奈木町を訪れるドライバーへの歓迎パフォーマンス等)を独自におこないました。
また、開通式典のテープカット会場には、式典招待者の他、300名を超す地元の方々にお集まりいただきました。

3.出前講座の実施
このように津奈木インターの開通式典によせる津奈木町の思いは熱いものがありますが、開通式典が「道路が出来て良かった」という地元の喜びの場だけで終わらせるのではなく、開通する道路が今後の地域の活性化(ストック効果)を創出できることを意識する場にもしたいという思いもありました。
そこで、「高速道路が開通したら津奈木町がどう変わる」「高速道路を使って津奈木町をどのように発展させる」かを式典で発表するための準備として、将来、町に定住し、地域活力の原動力となる津奈木中学校を対象に出前講座を実施しました。

出前講座は、町を通して中学校を紹介していただき、2年生の社会科学習の一環として、2時間の枠でおこないました。
開通区間をバスで見学したあと、「芦北インター~津奈木インター開通による津奈木町のこれから」をテーマに6班に分かれてグループ討議と討議内容の発表をおこないました。
国交省職員がファシリテーターとして1班に1名ずつ付いておこないましたが、「高速道路が出来ると便利になるから始まり、高速道路ができる津奈木町を発展させるにはどうすればよいか」等々といろいろな意見が中学生からだされました。

4.開通式典で発表
開通式典では、「高速道路が開通すると、私たちが生活しやすい街になるとともに、町の産業を発展させ、みんなが来たくなるような町にしたい。そのための一つとしてPRキャラクター『たちぽん』を考えたこと」等を4名の生徒に代表として発表していただき、若者の熱い思いを伝えることができました。
また、後日、発表した生徒の一人から『今回の津奈木インター開通にあたり、国土交通省の仕事にも興味をもちました。高速道路や道について、考えたのも初めてでしたが、人々の生活にはなくてはならないもので、みなさんの仕事は、人のために役立つことだと思いました。』という手紙をいただきました。

5.おわりに
今回の開通式典については、概ね高評価をいただいたものと思っています。これもひとえに津奈木町をはじめとする地元関係者、津奈木中学校の皆様のご協力のおかげでございます。式典に参加していただきました全ての皆様に対しまして、本稿を借りて厚く御礼を申し上げます。

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