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簡易遠隔操縦装置(ロボQ)の開発

国土交通省 九州技術事務所
 所長
藤 本  昭

国土交通省 九州技術事務所
 機械課長
河 﨑 英 己

1 開発の経緯
国土交通省九州地方整備局九州技術事務所では,㈱フジタとの共同開発により汎用建設機械に現地で簡単に着脱できるコンパクトタイプの簡易遠隔操縦装置(以下「ロボQ」)の開発を行った。
開発の背景には,日本列島は土質や地形が複雑であり,かつ前線の停滞や台風による集中豪雨を受けやすいことから,斜面崩壊や土石流災害による小規模な土石災害が頻繁に発生している。このような土砂災害に対しては迅速な復旧活動が必要になるにもかかわらず,二次災害の恐れもあり,非常に効率の悪い作業となっていることがある。また,遠隔操縦専用の建設機械は,数が少ないうえ大型であるため,被災地への輸送に機械の解体・組立が必要となり,緊急時に早急な対応ができない等の問題があった。

2 ロボQの特徴
現在,九州技術事務所には,バックホウ用のロボQが4台,ブルドーザ用が1台導入されている。それぞれの搭載状況を写真ー1,写真ー2に示す。
特徴としては,以下のようなものが挙げられる。
・汎用の建設機械に改造を加えることなく遠隔操縦することが可能。
・建設機械の運転席への着脱が,短時間で簡単にできる。
・持ち運びが容易なサイズに分割できる。
・モニタリング装置により,遠く離れた場所からでも容易に操縦できる。

3 出動実績(大分県朝見川土砂災害)
(1)現地災害状況
平成12年5月に大分県朝見川右岸の斜面が高さ20m,幅20m,深さ5m,体積約2,000m3が崩壊し,内500m3の土砂が延長約25mにわたって河道内を埋塞していた。(写真ー3参照)
崩壊面が直立で,クラックが確認されることから,二次災害の恐れがあり有人施工が極めて危険な状況であった。
そこで,大分県からの要請によりロボQ(バックホウ用)の出動となった。

(2)ロボQ(バックホウ用)稼慟状況
5月31日に九州技術事務所を出発。雨天の中,約3時間で大分県別府土木事務所へ到着。到着後,現場状況説明,ロボQ概要説明等の打合せを行い,現地へ急行した。
現地到着後は雨天のため,運搬してきた作業車をバックホウに横付けし,ブルーシートをかけるなど,作業環境を整え装着作業を開始し,2時間15分で装着完了し,試運転を行った。
6月1日より本格的に「ロボQ」による復旧作業が開始され,6月12日に「ロボQ」での災害復旧作業は終了した。稼働状況を表ー1および写真ー4に,復旧後の状況を写真ー5に示す。

(3)考察
今回の出動は「ロボQ」にとって初めての災害出動であった。過酷な作業条件の中の,復旧作業であったが,故障もなく,無事故で安全に作業を完了することができた。

4 おわりに
これまでの調査結果,及び災害出動により,本開発装置は,「汎用建設機械を改造することなく,短時間で装着し遠隔操縦する装置の開発」という目標に対し十分な性能を有する成果を得ることができた。現在は,この「ロボQ」の装置の高度化を図り,施工効率を上げることにより,災害現場だけでなく通常土木工事への導入をめざし,検討を行っているところである。また,九州地方整備局管内の防災計画により,管内4ブロックヘ計画的に導入を行い,迅速な災害復旧対応と危険区域内の安全を図るために運用していく予定である。

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