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福岡都市高速2号線堅粕地区鋼橋架設工事の
計画と施工について

横河・桜井東日本建設工事
共同企業体所長
里 村 博 昭

1 まえがき
都市内の交通および郊外から都心に流入する交通に対処するため,福岡都市高速道路は福岡北九州高速道路公社により昭和46年から整備が進められてきた。この計画は市の海岸線に沿って東西方向に走る高速1号線14.8km,1号線の中間の千鳥橋ジャンクションから南に向かう2号線5.7km,および2号線の豊ジャンクションから空港方面に接続する3号線0.6kmで構成され,総延長は21.1kmである(図ー1)。
このうち,高速1号線の一部5.9kmを昭和55年10月に供用して以来,順次供用を重ね,現在1号線11.9km,2号線4.1km,3号線0.6kmの合計16.6kmを供用し,平均日交通量も60,000台を数えるに至っている。本架設工事である堅粕地区高架橋は,2層式単純鋼床版箱桁の橋梁で現地の立地条件として本橋に直角方向に山陽新幹線および鹿児島本線が往来しており,橋軸方向に国道3号線が走っている。このため架設方法として,JR営業線および道路交通支障を最小にするため,施工性,経済性,安全性を考慮した架設計画および施工について報告を行なう。

2 橋梁諸元(跨線部)
路線名  福岡都市高速2号線
道路規格設計速度 第2種2級 60km/h
径間長  Ⅱ,Ⅲ測線 65.0m(2P44~2P45
支間長  Ⅱ,Ⅲ測線 64.850m(2P44~2P45
有効幅  8.0m
斜 角  θ≒120°
型 式  単純鋼床版箱桁
舗 装  アスファルト舗装 t=80mm
床 版  鋼床板
設計荷重 TL-20
横断勾配 ⅰ=1.12~1.67%
縦断勾配 ⅰ=2.9%,2.7%
下部構造 A型鋼製橋脚(2基)H=32.5m
鋼 重  571t

3 架設概要
本枠は,施工範囲として,2P44~2P47間 Ⅱ,Ⅲ測線の上部工桁架設工事である。2P44~2P45はJR鹿児島本線および山陽新幹線の営業線上にあり,路線真上の作業を少なくし,しかもより安全性を考慮,Ⅱ測線(下層)については,手延機による自走台車および駆動式送りローラー併用による送り出し工法とし,Ⅲ測線(上層)については,Ⅱ測線架設後,軌条を敷設し移動ベントによる送り出し工法にて,夜間新幹線の保安作業間合と在来線の線路閉鎖工事時間帯に架設を行なった。
この手延機や鋼桁組立てのため2P42~2P44を先行架設し,手延機の解体については2P45~2P47桁架設が,ⅡⅢ測線とも国道3号線直上にあるため支保工設置が不可能なため別途作業用地にて地組を行ない国道3号線を2車線規制,トレー運搬し,油圧クレーン160tによる相吊架設で行った。

4 2P44~2P45 Ⅱ測線(下層)の架設
(1)
2P42~2P44Ⅱ測線既設床版上に軌条L=120mを組立,台車を利用し遂次桁組立を行ない,手延機を同様送り出し桁に連結して組立(L=54.8m)後,桁を送り出す。
桁の送り出しは,自走台車と駆動式送りローラーにて,夜間JR線停止後行なった。送り出し完了後,手延機を解体し脚上梁に降下設備(ジャッキングホイスト90t×3台・2ケ所)にて降下を行なった。以下本架設の施工フローチャート,主要機械,送り出し工程表(送り出し時間工程)を図ー5~8および表ー1~3に示す。

(2)架設方法
① 軌条設備は既設床版上へ4条L=125m枕木基礎で敷設した,送り出し曲線がR=3,000mと,かつ単純合成鈑桁であるため床版耐力の検討も行なった。
② 台車として桁組立用自走台車160t2台と従走台車100t2台および80t2台にて行ない,反力チェックのため台車上に油圧ジャッキ100tを設置出来る構造とした。
③ 桁の組立はトラッククレーン油圧160tを街路専用帯内に据付け,単材を吊り上げ床版上台車設備にて逐次連結する方法をとった。
④ 手延機L=54.8mの2基は主桁組立完了後,ℓ=7.2m単位で地組しブロック架設を行ない,台車にて遂次主桁に連結組立を行なった。また連結構は主桁と同時に工場製作し最終的に送り出し完了後現場切断し仕上げ施工とした。
⑤ 桁の送り出しは線形がR=3,008mで,下部構造がA型鋼製橋脚で2層式になっているため送り出し高さ,幅員方向の規制を考慮し,既設床版上の耐力内での送り出しゆえに送り出しは3点支持による送り出しとなった。
 送り出しのチェックポイント
 a.送り出し方向⇒ 2P44 B2P45 測量
 b.床版の耐力 ⇒ 台車上および送り装置反力チェック
 c.たわみ処理 ⇒ 2P45にてたわみを滑車仕込みでウインチにて巻上げ処理
⑥ 桁の降下は2P44,2P45 A型橋脚上梁に降下設備を設けた。
桁の型式が斜角になっているため受台の反力アンバランスが考えられたので,左右の反力の違いとして2:1の割合にジャッキ設備90t×3台を各橋脚に設備した。

5 2P44~2P45 Ⅲ測線(上層)送り出し架設
Ⅲ測線の架設はⅡ測線送り出し完了後Ⅱ測線上に軌条設備とⅢ測線既設床版上に軌条設備を設け,本既設床版上にて,Ⅱ測線同様桁の組立ておよび連結桁の組立を行なった後,Ⅱ測線上の移動ベント設備と桁組立用自走台車と並走して送り出しを行なった。送り出しは夜間新幹線の保守作業間合および在来線路閉鎖工事時間帯の一夜で行ない桁の降下についてはⅡ測線と同様な設備で施工を行なった。

6 あとがき
以上上部工架設方法について述べたがJRの営業線および国道3号線直上という市街地での特殊性を必要とされる架設であったが昭和63年12月末で無事完成し平成元年3月供用開始された。最後に本工事を行なうに当り御指導をいただいた福岡北九州高速道路公社および九州旅客鉄道(株)ならびに関係官庁,地元の皆様方に深く謝意を表する次第です。

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