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河川における住民交流施設の整備について

国土交通省 九州地方整備局
 河川部 建設専門官
田 上 敏 博

国土交通省 九州地方整備局
 河川部 河川計画課
 計画第一係長
浦 山 洋 一

1 はじめに
平成9年の改正河川法で「河川整備計画」の策定が法制化され,計画策定段階から住民意見を聴取し,計画に反映することが義務化された。また,「21世紀の国土のグランドデザイン(五全総)」では,国土づくりの方策として「参加と連携」がキーワードとなっている。九州の河川でも,平成8年の「直方川づくり交流会(遠賀川)」の発足をスタートとして,各河川において,住民が河川整備に参画するシステムが確立されつつある。
また,平成12年12月の河川審議会答申「河川における市民団体等との連携方策のあり方について」では,行政側の体制として,市民等の対応部署の常設,積極的な情報提供,市民活動用の交流の場の設置と提供などの必要性が指摘されている。今後,各河川においては,河川整備計画策定時点だけでなく,住民が永続的に河川を考え,成熟した河川を実現するための体制づくりが必要となってくる。
このような背景のもと,先駆的な取り組みとして,白川と筑後川の2河川で「住民交流施設」を整備したので,その概要を紹介する。

2 施設整備のコンセプト
両施設とも次の3点のコンセプトにより整備した。
 ①河川および流域に関する情報発信の場
 ②子どもの自然体験など河川学習支援の場
 ③住民が河川について考え,議論する場

3 白川流域住民交流センター(白川)

4 三隈川交流センター(筑後川)

5 おわりに
人々の河川に対するニーズは大きく変化している。文化的共感を持つ人々の新しいコミュニティの場として,また,子どもの情操教育やストレス社会のなかの癒しの場として,注目されてきているのである。
住民交流施設は,これから迎える「環境と福祉」の時代に合った真に豊かな河川を実現するため,流域そのものを成熟させる一つのツールである。
このツールをより有効に活用していくためには,次のことに留意し運用していくことが重要であると考えている。
(1)関心層拡大と住民参画の仕組みづくり
河川が持つ課題を行政側だけで解決するには限界がある。より良い河川を実現するためには,住民の多くが河川に目を向け,河川は共有の財産という意識を持ち,住民自らが流域づくりを担うような仕組みを作っていくことが重要である。
(2)将来の河川を支える子どもの自然学習支援
子どもの人格形成の過程で自然体験を持つことは,常識を備え感性の豊かな人間を育成するうえで大きな要素である。子どもの自然学習を河川行政のなかで支援していくことは,将来の流域のリーダを育て関心層の拡大にもつながってくる。
(3)多方面との連携による効果の拡大
教育や福祉の場においても,河川をフィールドとして利用する機運が高まっている。施設運営を成功させるには,教育機関,地元自治体,住民団体など多方面での連携が必要であり,地域づくりも含めて取り組んでいくことが重要である。

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