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【特集】平成29年7月九州北部豪雨災害について

水資源機構の被災地支援について

水資源機構 筑後川局
企画調整課長
仲 道 貴 士

水資源機構 筑後川局
企画調整課 副参事
松 木 浩 志

キーワード:平成29 年7月九州北部豪雨、復旧支援、水資源機構、指定公共機関

1.はじめに
平成29 年7 月九州北部豪雨(以下、本豪雨という)では、福岡県の筑後地方から大分県西部に線状降水帯が形成され、7 月5 日の昼頃から夜遅くにかけて猛烈な雨が降り続いた。朝倉では1 時間降雨129.5㎜、日降水量516.0㎜とこれまでの観測記録を更新し、九州で初めて大雨特別警報が発令される事態となった。本災害は洪水だけでなく、同時多発的な斜面崩壊による大量の土砂や流木の流下を伴う三重苦の災害であり、人的被害や多数の家屋被害が生じた。被害額は福岡県で約1,941 億円(8/20 時点)、大分県で約300 億円(8/22 時点)と見積もられている。
本稿は、本豪雨において水資源機構が行った、被災地支援の取り組みについて報告するものである。

2.被災地支援の取組
2.1 職員の派遣
甚大な被害が出た福岡県朝倉市、福岡県東峰村からの要請を受け、水資源機構は、7 月6 日17時に緊急災害対策支援本部を設置。被災した朝倉市、東峰村へリエゾン(災害対策現地情報連絡員)を派遣し、支援に必要な情報収集を行った。また、全国の水資源機構事務所から職員を派遣し、被災地域の早期復旧を支援した。リエゾンは延べ83名、支援要員は延べ120 名に達する規模であった。図- 1 に水資源機構が行った被災地支援の概略箇所を示す。

2.2 支援内容
(1)UAV ( ドローン) 等による現地調査
被災した自治体からの要請を受け、被災状況の概要を把握するため、ドローンと職員を派遣した(写真- 1)。水資源機構職員自らドローンを操縦し、孤立集落へ向かう道路啓開のための情報、村道・河川・農業施設・家屋の被災状況等の情報を速やかに収集することができた。なお、ドローンによる調査は九州地方整備局から派遣されたリエゾンと調査範囲等を調整して協働で実施した。

道路、河川、家屋の被災状況調査(写真- 2)を自治体職員と共に行い、災害旧申請書類を作成するなどの支援を行った。

(2)流木、土砂の仮置場提供、仕分け作業支援
本豪雨で発生した流木や土砂の処分のための仮置場として、水資源機構寺内ダム管理所が管理する敷地(約20,000㎡)を提供。搬入されてくる流木、土砂の仕分け作業を支援した。10 月末時点で土砂6,900m3、流木5,000m3を集積(写真-3)。流木についてはこれまで約15,000m3を搬入・処分している。

(3)ポンプ車による給水支援等
農林水産省九州農政局からの要請を受け、耳納山麓土地改良区の農業用水の緊急取水のため、機構が所有するポンプ車を派遣した(写真- 4)。また、避難所の仮設トイレ等の洗浄水の補給のため、散水車を手配した。
本緊急取水の支援について、農業用水の安定的な供給の確保に貢献したことに対し、耳納山麓土地改良区の理事長(うきは市長)より感謝状を受領した。

3.おわりに
水資源機構は災害対策基本法に基づく指定公共機関に指定されており、これまでも災害に係る支援要請を受けて各地で災害支援を行ってきた。今回の支援は水源地域(水のふるさと)の被災に対して、「地域のために」を念頭に全国の職員が一丸となって、これまでにない規模で取り組んだ初の事例である。
平成29 年9 月19 日に国土交通省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省から「独立行政法人水資源機構の見直し」において、水資源機構の技術力を活かした災害支援等に引き続き適切に務めるよう示された。今後も引き続き、水資源機構の本来の防災業務を適切に行うのみならず、技術力を活かした支援業務に努めて参る所存である。
本豪雨で被災された地域の皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興を祈念致します。

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