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東九州自動車道(大隅地区)における
連続鉄筋コンクリート舗装の施工について
岩熊真一

キーワード:東九州自動車道、連続鉄筋コンクリート舗装、情報化施工

1.はじめに
東九州自動車道は、北九州市を起点に大分県、宮崎県を経て、鹿児島市に至る延長436㎞の高速自動車国道である。
本路線は、九州縦貫自動車道及び九州横断自動車道とともに、九州の高速道路ネットワークを形成し、東九州地域の産業・経済・文化の振興と均衡ある発展を図り、また交通混雑の緩和、輸送時間の短縮など沿線諸都市の生活向上・活性化に資するために計画されたものである。
このうち、志布志市(仮称:志布志IC)から曽於市(末吉財部IC)までの区間48㎞は、新直轄方式にて大隅河川国道事務所が整備を進めている。

鹿児島県の肉用牛及び豚の産出額は、全国1位であり、かごしまブランドの『鹿児島黒牛』や『かごしま黒豚』は、全国でも高い評価を受けている。特に、鹿屋市周辺は県内でも有数の畜産地域になります。出荷のほとんどは陸路で輸送され当該区間の整備により畜産品の輸送コストが軽減し、定時性(信頼性)が確保されることから商品競争力も一段とアップし、地場産業の活性化も期待される。
当該区間は、平成22年3月に曽於弥五郎IC から末吉財部ICまでの区間11.1㎞が供用し、鹿屋串良JCTから曽於弥五郎IC までの区間17.7㎞は、平成26年12月21日に供用予定である。平成26年12月21日供用予定の鹿屋串良JCT、野方IC、曽於弥五郎IC の施工途中の航空写真を写真-1~3に示す。

本稿では、施工中である鹿屋串良JCT から曽於弥五郎IC までの区間で、採用した連続鉄筋コンクリート舗装の施工について報告することとする。

2.連続鉄筋コンクリート舗装の概要
連続鉄筋コンクリート舗装は、縦方向鉄筋を連続的に配筋することで、コンクリート版に生じる横収縮ひびわれの発生を、縦方向鉄筋の拘束によりひび割れを分散させることにより、横目地の設置がいっさい不要となるコンクリート舗装である。横目地が無いことで、走行時の乗り心地が良くなり、通常のコンクリート舗装に比べ周辺環境に及ぼす振動や騒音を軽減する効果がある。
また、連続鉄筋コンクリート舗装は、水道等の占用工事による掘り返しの必要が無く、縦方向距離の長い区間を連続して施工するような、高速道路、空港舗装等で適用され、東九州自動車道(鹿屋串良JCT~曽於弥五郎IC)においては、道路舗装の長寿命化を図るため、耐久性の優れたコンクリート舗装の積極的な採用を検討し、騒音等の沿道環境を考慮しなければならない区間、地盤の不等沈下の恐れがある高盛土区間、橋梁部等を除く、主に切土部の約8.9㎞連続鉄筋コンクリート舗装を採用した。鹿屋串良JCT~曽於弥五郎IC区間のアスファルト舗装、コンクリート舗装の延長を表-1に示す。

舗装構成は、舗装計画交通量1,000(台/日・方向)以上、路床の設計CBR12 以上より、路盤厚を、経済性を考慮し、粒調Fe 石灰処理路盤15㎝、コンクリート版25㎝とした。今回採用した舗装構成を表-2、標準断面図、配筋図を図-1~3に示す。

連続鉄筋コンクリート舗装の施工方法は、新技術であるスリップフォーム工法(NETIS QS-980058-V)を採用した。スリップフォーム工法は、締固め装置と整形装置を備えた自走式施工機械を用い、型枠の設置の必要がなくコンクリートを所定の形状に締固め・整形しながら成型装置を移動させて構築する工法である。型枠工が省略出来ることにより工期短縮が図れる。

3.連続鉄筋コンクリート舗装の施工方法
3-1 施工方法
連続鉄筋コンクリート舗装の施工状況を写真-4に、施工フローを図-4に示す。

①鉄筋組立:鉄筋を所定の本数、位置(間隔)に配筋し要所を焼きなまし鉄線で結束し安定させる。スペーサーは、新技術である連続鉄筋コンクリート舗装用支持スペーサー(NETIS CG-110019-V)を採用した。
②コンクリート製造, 運搬:プラントで製造したコンクリートをアジテータトラックで施工現場まで運搬する。
③荷下し・敷均し・締固め・成型・表面仕上げ:ホッパーにコンクリートを荷下し、コンベアで舗設箇所へ直接供給する(写真-5)。供給されたコンクリートをバイブレータで流動化しながら締固め、スクリューオーガで均しながらコンフォーミングプレートに押し込み、成型されたコンクリート版の表面をオートフロートにて平坦に仕上げる(写真-6)。図-5に各種機能の概念図を示す。

④表面仕上げ(人力):平坦性に影響を与えるような縦方向の小波が少なくなるように、人力フロートで仕上げる。
⑤粗面仕上げ:表面水がなくなり次第、ホウキ目を入れ粗面に仕上げる。
⑥初期養生:コンクリート中の水分の揮散を防ぐために、被膜形成型の養生材を散布する。
⑦後期養生:養生マットを設置し、養生期間中は常に湿潤状態を保持する。

3-2 情報化施工
連続鉄筋コンクリート舗装における情報化施工は、スリップフォームペーバに新技術であるAF/SFNav(NETIS QS-120033-A)を搭載し、施工機械を自動制御することにより、センサーロープを設置する必要がなく、ステアリングや舗装の仕上がり高さが容易に調整可能である。情報化施工システムの概要図を図-6に示す。

スリップフォームペーバの前方に2台のトータルステーション(以下、TS)を配置し、機械の左右に取り付けてあるプリズムを追尾して得た機械の位置情報と、機械に装備したスロープセンサを用いて、ステアリングと高さを制御することにより、施工機械の走行位置と舗装の仕上がり高さを制御する。また、TS(盛替用)を施工機械後方に据え、舗装の仕上がり高さを検測することにより、計画高からの誤差を容易に確認することができる。情報化施工の状況を写真-7に示す。

従来型のセンサーロープを用いた施工と比較(図-7)すると、センサーロープを用いた曲線部の施工では、センサ台を5m間隔で設置すると、スリップ側の線形(エッジ成型ライン)をなめらかな曲線に再現することが難しい。

それに対して情報化施工システムを使用すると、線形データを1m 間隔で作成することが可能なため、なめらかな曲線を再現することが可能となった。完成した連続鉄筋コンクリート舗装の状況を写真-8に示す。

4.さいごに
大隅河川国道事務所で整備を進めている東九州自動車道の区間では、今回、初めて連続鉄筋コンクリート舗装を採用したことから開通後の維持管理の課題等把握につとめ、今後の連続鉄筋コンクリート舗装の設計、施工等に反映出来ればと考えている。

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