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「東九州自動車道新直轄区間(曽於弥五郎~末吉財部間 L=11.1km)の供用に伴う管理体制について」
九州地方整備局 北園猛
1.はじめに

平成22年3月14日、九州の新直轄区間では初めての供用となる東九州自動車道の曽於弥五郎~末吉財部間11.1kmが開通した。
今回、東九州自動車道(曽於弥五郎~末吉財部間)の管理体制、他の関係機関との関わりや通常の国道の維持管理との違い等について紹介したい。

2.東九州自動車道(曽於弥五郎~末吉財部間)の概要

東九州自動車道は、福岡県北九州市から鹿児島県鹿児島市に計画されている延長約436kmの高速自動車国道である。
このうち、鹿児島県志布志市(仮称:志布志IC)から鹿児島県曽於市(末吉財部IC)までの区間(48km)は、平成15年12月の国土開発幹線自動車道建設会議において、無料の高速道路として国と地方の負担によって整備を行う「新直轄方式」に位置付けられ、平成16年度から直轄事業として当区間は整備を進めている。
平成22年3月14日に、既に開通している末吉財部IC(西日本高速道路㈱管理)と直結する形で曽於弥五郎ICから末吉財部ICまでの区間が開通した。

3.管理体制について
1)巡回・監視
道路巡回については、月曜日から日曜日まで毎日午前・午後各1回実施しており、夜間巡回は原則月1回実施している。また、CCTVカメラは当区間に5基設置されており、九州みち管理センター、九州地方整備局、大隅河川国道事務所、鹿屋国道維持出張所に映像配信されている。CCTVカメラで道路状況を掌握できる範囲は、約25%(延長比)である。

2)緊急時の管理体制
緊急時とは、交通事故、落下物、故障車、火災などの事象を想定したものであるが、まず警察(鹿児島県警高速道路交通警察隊)や消防(大隅曽於地区消防組合)あるいは当開通区間と直結している西日本高速道路㈱と連絡・協力体制が必要不可欠である。
また、当区間は中央分離帯をポストコーン等ではなくコンクリート製の剛性中央分離帯で完全分離しており、制限速度が80km/hであるため、走行車両も高速走行となり、二次災害防止のためにも迅速な対応が必要である。
よって、従来の国道の管理体制と比べてより高い管理水準が求められている。
上記の2点のため、警察・消防・国の三者で「緊急時の通報並びに出動に関する協定」、直結区間の西日本高速道路㈱・国の二者で「管理に関する協定、覚書」を締結し、関係機関の情報共有・協力体制を確保している【図-1参照】。
非常電話【写真-1、2、3】は、約1km間隔で上下線合わせて23箇所設置されており、警察・消防・国の3つの通報先【写真-3参照】に分類されている。通報者が受話器を取れば、大隅河川国道事務所のアラームが瞬時に鳴り、通報者が非常電話の番号を伝えることが出来ない場合でも、通報した非常電話の位置情報・通話履歴が大隅河川国道事務所内の端末画面【図-2】で把握でき、その位置情報を警察・消防に速やかに報告することとしている。

前述の迅速な対応への工夫として、受信者が通報を受けた際に対応漏れがないように、緊急時の対応時間や通報カテゴリー毎に10パターンのマニュアル【表-1(目次のみ掲載)】を事前に作成し、対応者が手順どおりに対応できるよう準備している。
また、救急車両や事故による渋滞車両の誘導を主な目的として剛性中央分離帯には約1km間隔で緊急開口部(可動式防護柵)【写真-4】を10箇所設置している。

3)異常気象時の管理体制
地震・大雨・強風・凍結などの異常気象時については、当区間と連結しているNEXCOと同様に一定の基準を設けて運用している。基準を超えると警察及び西日本高速道路㈱と協議の上、速度規制、通行止めを実施する体制をとっている。
また、気象観測装置として、風向風速計(菱田川橋)【写真-5】、路温計(西梶尾橋)【写真-6】を設置し、常時観測している。

4.おわりに

九州の直轄管理区間で、初めてとなる80km/h規制については、2次災害防止のため従来の一般国道の管理(2日に1回巡回)以上の対応及び迅速性が求められ、また、上下線完全分離の片側一車線形式の路線であることから、関係機関との的確な情報共有・通行止めの開始、解除の迅速性が求められる。
今後順次開通が予定されている新直轄区間の先駆けである当区間の管理について、西日本高速道路㈱・高速道路交通警察隊・消防からも引き続き助言・指導を頂き、情報伝達訓練等を行いながら管理体制のさらなる最適化及び強化を図りたい。

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