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新技術・新工法(材料)の情報提供について
(イントラネットによる「新技術情報提供システム」について)

九州地方建設局企画部技術管理課
 施工調査係長
山 本 佳 久

はじめに
建設事業への新技術の積極的な導入を図るために,「パイロット事業制度」を活用し積極的な新技術活用事業を実施していますが,これらをより効率的に実施するためには,民間における新技術の開発の状況,事業実施状況,並びに実施後の評価情報等を的確に把握する必要があります。
また,現場が抱える技術的課題など,新技術に対する現場からのニーズを積極的に外部に発信することにより,技術開発に方向性や目標を与えることが可能となります。
このような考え方に基づき,民間の新技術情報(シーズ情報),現場ニーズ情報,使用後の評価情報等の流通を促進し,技術開発の最終目的である,「現場で広く活用される」ことです。
しかし,現在数多くの新技術・新工法・新材料が日々開発されており,またこれらの技術情報紙は数多くあり,どの技術・工法(材料)を使えば良いのかで実務担当者(コンサルタントや設計積算者等)が,積極的に活用できないのが現状ではないでしょうか。
九州地方建設局においては,民間等において開発された新技術・新工法・新材料等の情報を適宜提供していただき,「新しい建設技術(新工法・新材料)」(九州建設技術開発会議)の情報誌(写真ー1)にて,設計から施工,管理に携わっておられる方々に広く提供することを目的に平成5年11月に初版を作成し現在第4版を編集し,新技術の採用と普及ひいては意識の向上と技術開発の啓発に努めてきたところです。

1 建設技術開発にかかわる諸制度
建設分野における研究開発を促進するため,産・学・官が連携して研究開発を実施する制度や民間の研究開発を促進するため,以下の各種制度をつくり,積極的に現場での展開を図っています。
(1)総合技術開発プロジェクト(昭和47年度発足)
建設技術に関する重要な研究開発課題のうち,特に緊急性が高く,対象分野の広い課題を種々の角度から総合的に評価し,国が主体となり,大学・民間と密接な連携組織を設置し研究開発を行い,その評価と評価結果を公表および関係機関への通知を行う。
(2)建設技術評価制度(昭和53年度発足)
国が行政ニーズに基づき決定した課題に対して,民間が研究開発を行い,その成果について国が評価,公表を行うことにより研究促進を図る。
(3)共同研究(昭和61年度発足)
従来行政サイドのニーズで行ってきた課題を官民双方のプロポーザルにより課題をすり合わせ建設省研究機関と民間企業が共同で研究を行う。
(4)共同開発(昭和61年度発足)
共同研究の地方建設局版とも言えるもので,行政ニーズの開発課題を民間の技術力,アイデアを導入して開発を行う。
(5)民間開発建設技術審査・証明制度(昭和62年度発足)
建設技術評価制度を補う制度として発足したもので,民間において自主的に開発された建設技術を建設大臣の承認した公益法人が審査し,その結果を評価公表する。
(6)パイロット事業制度
① 技術活用パイロット事業(昭和62年度発足)
新たに開発された技術を直轄工事において試行し,現場適応性・歩掛調査・施工調査を実施すると共に,個々に実施したものを地建全体としてとらえ,その導入の促進を図る。
② 特定技術活用パイロット事業(平成2年度発足)
早急に普及を図っていくテーマを国で選定し,全国一斉に実施し,歩掛調査を含め各側面からの検証を土木研究所と連携して,加え普及方針策を定める。
③ 試験フィールド制度(平成5年度発足)
実験室レベルでの技術の有効性が確認された技術途中段階の技術で,将来に向けて事業執行上のニーズの高い課題を直轄現場で技術の信頼性を確認する。

2 新技術情報提供
民間等において開発され提供された新技術・新工法・新材料等の情報を技術情報誌として,「新しい建設技術(新工法・新材料)」(九州建設開発会議)を発刊し積極的な技術開発の取り組みと活用・普及に向け活用しているところですが,多種多様の新技術・新工法・新材料,並びに,日々最新の開発がなされ情報媒体である印刷物では対応が困難であること。又,工事工種の体系化の整備に伴い,統一した体系に合わせて多種多様の新技術・新工法・新材料を利用する側の立場から活用し易いように体系化に合わせた整理を実施すると共に,掲載内容の充実と併せて,各制度による導入状況(活用状況)・類似技術(工法)等の適用範囲・技術(工法)の特徴・経済比較等を逐次提供できる情報の媒体として電子情報を用いることとしました。
なお,「新建設技術情報ガイド(試行版)」として全国で収集された約1,200技術についても電子情報を用いることとしました。
今後段階的にシステム開発を行うこととしており,
(1)第一段階(平成9年度)
地建版「新しい建設技術」と全国版「新技術情報ガイド」の約2,000技術を電子媒体として,かつ体系化に合わせた整理を行い,イントラネットを介しで情報提供を実施する。
(2)第二段階(平成10年度)
掲載内容の充実・各制度による導入状況(活用状況)・類似技術(工法)等の整理と適用範囲·技術(工法)等の特徴・経済比較・実施後の評価等を分析し掲載する。
(3)第三段階(平成10年度以降)
インターネットを利用した技術情報の整備を実施するための環境整備等。
今後も,民間等において開発され提供された新技術・新工法・新材料等の情報は,九州地方建設局企画部技術管理課内の「技術開発推進窓口」および九州技術事務所で逐次受け付けており,電子情報として更新掲載していきます。

3 イントラネットによる「新技術情報提供システム」画面と九州地建イントラネットメインメニュー画面
(1)新技術情報提供システム

(2)九州版「新しい建設技術(新工法・新材料)」約800技術と,全国版「新技術清報ガイド(試行版)」約1,200技術を入力されています。

(3)工事工種の体系化の整備に伴い,事業区分、工事区分,工種区分,種別区分と選定していくことにより,入力された約2,000技術の中から対象技術の絞り込みが可能となります。

(4)全国版,九州版の約2,000技術の中から対象技術が選定され,対象技術件数・対象工法名・主な用途の内容がでてきます。これにより,数多くある技術の中から選び出す手間が省け,対象工法選定の簡素化がされます。

(5)選定された対象工法の詳細内容が掲載されるとともに,写真等も収録しています。

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