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技術士試験合格までの体験記

福岡市総務企画局 部長
 (水資源対策担当)
加治屋 義 信

技術士試験の日まで残すところ40~50日となりました。そうした時期であることを意識しながら多少ともお役に立てる体験記としてお話してみたいと思います。

1 体験論文での対応
体験論文の問題はほぼ毎年同じ内容であるので事前にどれだけの答案を準備できるかが合否のポイントとなることは,ご承知のとおりです。
体験論文の設問は,①業務の概要,②技術的問題点,③技術的解決策,④現時点での評価,将来への展望,等で構成されます。論文の構成も概ねこのような設問の主旨に沿って構築すれば,書き易いし,試験官も理解し易いと思います。試験官という第三者に,自分(技術者)の創意工夫を理解させ易い文章にする為の推敲を繰り返しました。書く試験ではなく,読ませる試験であると思います。
③,④,は重要な部分ですが,技術士法でいう「高等の専門的応用能力」が試されている箇所であります。(技術士法の一読をお薦めします。)
③については,技術士法に基づく技術士の定義に沿って,一従事者でなく業務を任された責任者としての立場を明確にした上で,技術者としてどのように工夫し,判断,解決したかを述べました。
④については,技術は日進月歩ですが技術者として自分が過去に携わった業務をどのようにフォローしているか技術者の姿勢までを問われているものと考えられますので,関連する新技術の動向,新規施策等を勉強して,これらを参考にしながら記述しました。
論文は,先輩技術士,家族等第三者に読んで貰い意見を頂いたことが,好結果に繋がったと感謝しています。

2 選択問題への対応
建設一般,専門とも過去の出題を整理して出題の傾向,パターンを見極めました。
建設一般は,社会資本整備,技術開発,環境保全,社会動向を睨んだテーマ等5問について論文を準備しました。論文作成にあたっては,市販テキストの解答例,建設関係の専門誌,新聞を参考にしました。これらのテーマは,それぞれ関連し合っていますので,一つを書き上げると後は半分以下の労力で作成できました。想定問題をバリエーションを持たせて仮定してみても準備した論文の小項目を組み合わせれば,試験場でも何か書けるという感じがしました。
専門は,基本的テーマ,最新テーマあわせて30問程度について資料を集め,切り貼りで整理しました。論文の暗記にあたっては,私は単行本程度に縮小しホッチキスで製本して持ち歩きました。

3 傾向と対策
過去問をみると建設一般では建設月報(MCM:建設省刊行)の政策クローズアップの特集事項,専門では国の審議会への諮問・答申に係る事項から多くが出題されていますので一読をお薦めします。資料は官庁・役所にあります。
ご健闘をお祈りします。

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(株)建設技術研究所
 九州支社 技術第二部
森  正 明

まじめに仕事をやっていれば合格するよ,と言われ,それを言葉どうりに受け止め,受験回数だけを重ねてしまいました。まじめに仕事をし,まじめに試験勉強をして合格するものなのに。
まじめに試験勉強を始めるに際しては上司からの強烈なプレッシャーがありました。経験記述は受験申込みまでに完了。建設一般は10問,専門課題は20問を準備。7月までに論文完了。8月は所定の時間内での記述練習を,といった具合に。
しかし,上司からの指示も合格ラインもハードルが高い。最初の年はそれぞれ6問,11問を準備したが不合格。それでも2年目は準備課題も増え,ハードルが見えた気がしました。今度こそ,と思うも失敗。なぜ合格しないのか。自分の論文のどこがダメなのか。合格論文と比べてもみました。判りやすい文章で,紙面の8割程度を埋めること,とは耳にたこができるほど聞かされました。試験は高度の技術的応用能力を試すもの。それを判りやすく,所定の文字数以内で完結すること。そればかり考えて受験したのが今回でした。
午後の課題は3問あり,いつも時間不足に泣いていました。そこで今年は,課題毎の骨子を考えたあとは思いつくままに書きつけ,残りの時間で完結させる,というテクニックも用いました。
筆記試験合格後の口頭試験は極く平凡な内容で,九州技術士センターの講習会のおかげで比較的落ち着いて受験できました。間もなく試験制度が変わるとのこと。ラストチャンスと思い,暑い夏に向け,有意義に過ごして頂きたいと思います。

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建設省 大隅工事事務所
 調査第一課長
田 中 勇 一

建設環境で受験し,2度目での晴天の霹靂となった。1回目はそれなりに勉強したつもりであったが,論文でなくレポートだったとの反省である。再度の受験では,自分の考えを積極的に打ち出したものに推敲し,飲みながらも関係図書の目通しや要点の整理と思索で準備した。
経験記述では,1題詳述から2題詳述へと出題が変った。2題目については付け焼き刃さながらに河川水質改善のハード・ソフト論の展開で原稿用紙は埋めたものの,果たしてこれが技術論文か,との反省が残った。
採点ミスでなければ,次のような点が評価されたのであろうとほくそ笑んでいる。
①高度の技術内容ではないが,ナマの言葉で論じた。(せざるを得なかった)
②日頃の業務を通しての住民参加,アカウンタビリティーを論文構成の主軸においた。(環境問題を論ずるには不可欠)
受験当日の留意点を2,3……
①9時から17時までの,肉体労働である。
柔らかい鉛筆,汗拭きタオル,弁当の準備でリラックスして受験を。
②午後は途中でトイレに行く。
腕の回復と頭のリフレッシュを。
技術士受験はマラソンを走るようなもの,走り終わったときのビールの味は格別。合否を問わず,技術の行く末を思索し自己啓発できたことは確か。
何をもって建設技官と称するかの命題は続き,河川部門での挑戦を期している。ご笑覧あれ。

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