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建設機械施工の安全対策アンケートについて

日本建設機械化協会 九州支部
 安全委員会 委員長
佐 藤 道 夫

1 はじめに
国土交通省九州地方整備局管内直轄工事の,過去4年間の工事事故一覧表のなかで建設機械等に関連する事故が約5割に及び,機械的機能の改善による災害防止効果に強い期待がかけられています。
また,IT化の急速な発展等社会環境の変化に対応する機械のチェックも課題となっています。
日本建設機械化協会九州支部の安全委員会としても,機械施工現場の実態を調査し出来る事から一つ一つ災害防止に役立てる目的でアンケートを実施したので,その一部をご紹介致します。

2 調査概要
調査は,支部独自のヒヤリ・ハットの経験や使用監視機能の評価等と,国土交通省が全国的に実施するミニショベルの運転員保護機構採用の補足調査を合わせて行い,現場に携わる260名から直接経験した事についての回答がありました。

3 建設機械施工のヒヤリ・ハットや事故の経験
(1)危険遭遇の経験事例
当支部独自項目の回答者,165名(平均年齢41歳)の9割近い142名の人が174事例の危険遭遇の経験をあげています。(表ー1参照)
特筆は,ショベルの対人危機が5割の58件あり,その中の56件が周辺作業員でした。また,その時の操作は,旋回中と後進中が明示分だけで約6割強を占めています。

(2)機械の安全機能についての要望
危機遭遇の経験者の7割から,次のような安全機能設置への要望があり,特に直接危険に曝される周辺作業員からも多くの要望がありました。
 
  作業員・物体接近感知警報  42件
  後方モニターやカメラ装置  19件
  音声等・作動警報      9 件
  架線接触防止の上空感知器  3 件
  ブーム未格納では走行しない 1 件
  バックホーの吊力制限警報  1 件
  その他           26件

別に,リース機械に設置して欲しい,リミッター解除出来ない機構,逆に『警報などを鳴らしてもやかましいだけ』等率直な意見もありました。

4 バックホーの接近警報等安全装置の適用性
何らかの安全装置使用経験(表ー2)は,37%で有効が77%でした。安全機能導入への期待は高く一応利用技術も存在しますが,夜間作業時の地元苦情など多様な現場での適応性や信頼性等導入の価値観,維持保守等の課題が伺えます。

5 ダンプ荷台やクレーンブーム未収納走行時の架線切断等事故防止について
(1)アンケートの結果
① 最低速の撒き出し作業(適法吊移動)時以外は荷台あるいはブームを収納しなければ走行しない自動制限について(人)

② 作業モードから走行モードへの切替確認ランプ(警報)の装備について(人)

(2)アンケートを受けその後の調査検討の経過
① 九州電力,NTT西日本訪問調査
九州電力における架線切断被害は,土木建築合わせて年間26件程の高圧配電線事故(低圧電線事故は別)があるとのことでした。
NTTでは,北部九州3県の年間約1,200件の断線事故中,約6割が車両系の事故で建設機械はその6割中の1割とのことでした。
もし,切断した場合の通信不能による社会的影響は光通信の発展等に合わせ年々大きくなって来ている。その補償費も,設備によって高い場合は1件1,500万円にも及ぶということでした。

② 国土交通省九州地方整備局管内の架線断線事故
直轄工事の,過去4年間の工事事故一覧表中に機械での架線断線事故が12件ありました。

③ 機能案の技術的検討と現場適応再調査未収納時の走行自動制限,走行緊急警報とも各表下の(検討案)について機械メーカーのアドバイスも受けて再検討し,国土交通省や協会本部の指導や協議を経た上で,更に両案の作業現場における適応性の調査検討を続ける予定です。

6 オペレーターと見張役の連絡方法

7 建設機械の標準操作方式に関する意見
平成5年に始まった操作の標準化については,事故防止に効果,リース機の機種指名が不要など肯定が6割,慣れるのに戸惑い等が4割でした。

8 あとがき
今回調査では,オペレーター兼世話役兼周辺作業員等多様な経験や役割を持つ人も多く,職種毎の特徴は薄れたが貴重な回答が得られ感謝しています。現場における安全や施工効率への強い思いの率直な意見を大切に,今後の検討に活かしたいと思います。

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