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宮崎県内の高速道路整備について
内藤美津子

キーワード:高速道路、宮崎県

1 はじめに

昨年4月に発生した口蹄疫は、約29万頭にも及ぶ家畜が犠牲となるなど、我が国がかつて経験したことのない甚大な被害を及ぼしました。現在、被害を受けられた畜産農家の経営再開や、地域経済の復興対策の検討を進め、官民一体となって口蹄疫被害からの再生・復興に取り組んでいます。
この間、九州各県をはじめ、全国の皆様からの暖かい御支援・御協力を賜りました。この場を借りて、改めてお礼申し上げます。
また昨年、宮崎県の高速道路のうち、東九州自動車道の「門川~日向間」及び「高鍋~西都間」が供用開始となりました。この2区間の開通は、当初の開通予定から約半年前倒しの供用であり、口蹄疫に見舞われた沿線の方々にとって、今後の地域の再生、復興への大きな弾みになるものと考えています。
今回は、宮崎県民の悲願である高速道路について、東九州自動車道と九州横断自動車道延岡線の整備状況など紹介します。

2 遅れている宮崎県の高速道路整備
1)九州の高速道路の整備状況

九州の高速道路は、よく西高東低と言われます。
これは九州西側の九州縦貫自動車道と東側の東九州自動車道を例えたものです。九州縦貫自動車道は、平成7年の「人吉~えびの間」の開通により全線が開通しました。しかし、東九州自動車道は、平成22年度現在で供用率45%と大変整備が遅れています。このほか、西九州においては九州縦貫自動車道に加え、九州新幹線が平成23年3月に全線開通するなど、地域間の格差がますます拡大することが懸念されています。
また、九州の一体的な発展には、九州を東西に横断する高速道路も重要です。現在、熊本と延岡を結ぶ九州横断自動車道延岡線の供用率は9%しかありません。九州各県を高速交通ネットワークで結ぶことは、地域の活性化はもとより、救急医療や災害時の緊急輸送道路となるなど、地域の自立発展には欠くことのできない社会基盤となります。高速道路の効果を最大限に活用するためには、高速道路のミッシングリンクを解消し、ネットワークの機能を活かすことが重要です。
宮崎県内の高速道路整備は特に遅れており、その供用率は50%にとどまり、九州68%、全国70%と比べ大きく下回った、九州で最下位となっています。

2)東九州自動車道の整備状況

東九州自動車道は、北九州市を起点とし、福岡、大分、宮崎、鹿児島を結び、鹿児島市に至る全長436㎞の高速自動車国道です。
宮崎県内延長187㎞のうち、「門川~日向間」及び「高鍋~清武間」の53㎞が開通していますが、「延岡~延岡南間」※1約8㎞、「延岡南~門川間」※2約4㎞を併せても約65㎞が開通しているに過ぎません。
現在、西日本高速道路㈱により「日向~高鍋間」の整備が進められ、「日向~都農間」が平成25年度、「都農~高鍋間」が平成24年度の開通を目標としており、いよいよ宮崎市と延岡市が高速道路でつながるのが間近となっています。残る「大分県境~延岡間」、「清武~日南間」は、国土交通省により整備が進められ、「大分県蒲江~北浦間」及び「北川~延岡間」についてはそれぞれ平成24年度の開通目標が国土交通省より公表されています。


※1 国道10号延岡道路
※2 国道10号延岡南道路
共に、東九州自動車道の一部となって機能します。

3)九州横断自動車道延岡線の整備状況

九州横断自動車道延岡線は、熊本市と延岡市を九州の中央部で連絡する全延長約95㎞の高速自動車国道です。熊本県側は、「御船~山都間」の23㎞が国土交通省により整備が進められ、平成19年度に工事着手しました。
宮崎県側は、「蔵田~延岡間」※1約13㎞が国土交通省によって整備されており、既に「北方~延岡間」※18.5㎞が開通しています。また、平成20年度末に「高千穂~日之影間」※2約6㎞が事業化されました。


※1 国道218号北方延岡道路
※2 国道218号高千穂日之影道路
共に、九州横断自動車道延岡線の一部となって機能します。

3 高速道路の早期整備に向けた取組

高速道路整備予算を取り巻く厳しい状況の中、宮崎県の高速道路の早期整備を実現していくためには、行政、経済界、地域住民等が様々な立場から、高速道路の必要性や早期整備に対する熱意を、機会を捉えて必要な人たちに訴えていくことが重要です。
昨年も、政府予算案のとりまとめ時期を捉えて、関係自治体を中心とした東九州自動車道と九州横断自動車道延岡線の建設促進協議会が、地方大会での決議を経て中央政府に対して提言したのをはじめとして、沿線の経済界、市町村、議会などで設立する多くの団体によって活発な提言活動が行われました。
また、高速道路ネットワークが繋がっていない宮崎県をはじめとした10県の知事が一致団結し、「第一次的高速道路ネットワークの早期連結を目指す10県知事会議」を設立し、昨年10月には、元気な日本の復活へ向けた第3回政策提言を実施したところです。
その他、昨年3月、熊本・宮崎両県の商工会議所や青年会議所が連携した「九州横断自動車道熊本延岡間“命のみち”をつなぐ会」が発会し、九州横断自動車道延岡線の早期整備に向けた地域の想いを政府に届ける署名活動を展開し、25万6千人分の署名を国土交通省に手渡し、本路線の早期整備を求めました。
今後は、重点港湾に指定された細島港(日向市)を物流の拠点として生かし切るため、九州横断自動車道延岡線の基本計画区間である「山都~延岡間」について早期事業化を強く求めていくことが必要となっています。

4 おわりに

宮崎県にとって高速道路は、産業集積の進む北部九州地域や西九州地域との時間距離を短縮させ、企業誘致や人・物の交流を促進するとともに、災害時の緊急輸送道路としても機能発揮が期待される、大変重要な社会基盤です。今後とも、宮崎県内の高速交通ネットワークの整備をはじめとする社会基盤整備の早期充実に向けて、努力していきます。

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