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孫の為に樫の木を植えよう

株式会社福山コンサルタント
代表取締役社長 
福 山 俊 郎

日本国民の真摯な努力により,我が国の経済はめざましい発展を遂げましたが,それが国際収支のアンバランス,貿易摩擦として,欧米諸国から非難され,その対応策を強硬に迫られるに至りました。国家間の利害関係が交錯しているので周囲との関係調整に瞬時も目が離せないのです。
さらに近年,太平洋地域の経済発展のテンポが欧米を凌いで来た感があります。これは,この地域における文化と,民族の持つ活力とが欧米との交流により刺激されたからでありましょう。欧米文化がアジアに影響していた時代から,逆にアジア文化が欧米へ流入し,新しい文化が創造されて行くかに見受けられます,特に中国や韓国の工業経済の発展には目覚ましいものがあります。
この様な激しい移り変りの中にも,経済が豊かになるにつれ,規格の統合による大量生産から,細分した多種多様生産への傾向が強くなり,人々の思考も多様化し,文化・経済のあり方が激変して参りました。
見通しのつかぬ不安な一面,ここからどうゆうものが生まれて来るのか,一人一人の人間の生き方がどう変って行くのか,大変面白いものになって行くのではないか,何か期待のもてる時代になりそうです。
価値の多様化というものは,一人一人の考え方の相違に基づくものだから,客観的にどれが正しいのか,絶対なのか言えなくなります。理論よりも,感覚的なものが強調される21世紀となりそうです。
ここで「人は何故生きるのか」という,人生哲学を見直さねばならぬ時が来たようです。
いままでは,単独に個人のあり方を探求することでやって来られたが,今からは現実に直面している社会,経済機構の中で,どう生きて行くべきかを問わねばならぬ時代と変わって来ました。
現代社会は,一つの人間の歴史の流れの中にあるもので偶然性の集積ではなく,必然的にある方向をとっているように見受けられます。しかしながらその渦中にある人は,中々その本質が掴み難いところに人間生活の難しさがあり,人間の歴史の不可解さとなるものです。そこが生き生きとした人間生活の流れそのものであるとは言えないでしょうか。
「早く収穫したいならば野菜を植えるがよい。だが,樫の木を植えようとするときは,その木陰を孫に感謝されるつもりでなければならない」といわれます。
生物の世界を見れば,個体一つ一つが優劣をもっていることがわかります。他の強い動物から襲われた時,すぐ喰われてしまうものと,最後まで逃げおおせるものがあります。
人間の世界もそうですが,人間には向上心があり努力があります。
目前の生存競争に目を奪われてがむしゃらに突進するだけでなく,時々は一歩おいて,子孫の為に樫の木を植えなければならぬ時が来たのではないでしょうか。

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