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大分駅付近連続立体交差事業の取組について
大分県 竹中克敏
1.はじめに
大分駅付近連続立体交差事業は、道路と鉄道を立体交差化することにより、都市交通を円滑化し大分駅周辺地域の都心機能強化の役割を担う事業であり、南北市街地間の交通が円滑になり、踏切事故の危険性も解消され、市街地の一体的発展の促進が期待されています。

2.事業の概要
・事業主体     大分県
・高架区間     日豊本線 3.65km
久大本線 1.92km
豊肥本線 1.60km
・除去踏切     日豊本線   10箇所 (内歩道2箇所)
久大本線    3箇所 (内歩道1箇所)
・大分駅部     ホーム面数    4面
路線数       8線
ホーム長  133m~165m
・運転所の移設 大分電車区南側に併設
通路線の新設
・総事業費           約600億円
・現在の状況   豊肥・久大本線高架切替 (平成20年度)

本稿は、平成23年度末の日豊本線高架切替に支障となる跨線橋のうち、主に昨年度、撤去をおこなった春日陸橋の撤去工事に関する取組事例について紹介します。
【春日陸橋】
全面通行止め期間:平成21年7月から平成22年3月まで約8ヶ月
日交通量:約1万2千台
【大道陸橋】
全面通行止め期間:平成23年1月から平成23年8月頃まで約7ヶ月
日交通量:約5万台

3.跨線橋撤去時の渋滞対策について
跨線橋の周辺は、マンション等建物が立ち並び、仮橋等の設置が困難なため、通行止によって跨線橋撤去を行うこととしました。この跨線橋撤去工事中の交通規制や撤去後の踏切設置などによって、市内の交通に影響を及ぼすことが想定されるため、平成17年度から行政並びに民間の関係機関で構成する『大分駅付近連続立体交差事業交通円滑化検討部会』を設置し、各々の意見や提案等を集約することにより、効果的な交通処理対策の実施を検討してきました。
部会では、交通処理計画の問題点・課題を抽出し、迂回路の整備や問題のある交差点の改良等ハード対策の検討、また、時差通勤やパークアンドライド等の公共交通機関への乗換を呼びかけるソフト対策に取り組み、またそれらの取組を広報する活動も行っています。

4.春日陸橋撤去工事概要について
都市計画道路王子町椎迫線の春日陸橋は交通量が多く(約1万2千台/日)、通行止め期間の短縮が求められる工事でした。
また、春日陸橋周辺は、住宅が密集しており、周辺に小中学校があるため、騒音・振動対策及び安全対策が非常に大きな課題でした。
《工事概要》
○工事期間 平成21年3月~平成22年3月
○施工延長 L=約277m (内橋梁区間 L=約154m)

5.周辺安全対策
【事前調査】
迂回路案内や安全対策を検討するための事前調査として工事箇所周辺の細街路において自動車・自転車・歩行者の通行実態調査を行いました。
【安全対策】
実態調査結果から適切な迂回誘導を検討し、通行量の増加が予想される細街路については、交通整理員の配置や区画線の更新等の対策を行いました。

6.事前周知
通行止めの事前周知や迂回路の適切な誘導を行うために、(表-1)のとおりテレビCM等(図-1)様々な手段で事前周知を行いました。

7.広報効果の検証
春日陸橋撤去工事に関する広報の効果を検証し、今年度から撤去工事を予定している大道陸橋通行止め時の対策に反映するため、周辺地区を対象にしたアンケート調査を行い以下のような結果を得ました。
(調査内容)
配布部数   2,100部
回答部数  512部
回答率   24%
(調査結果)
(表-2)はPR方法ごとの効果についてまとめており、①報道・イベント③テレビ・ラジオ広告④新聞広告⑥ポスター⑨横断幕⑯各道路に工事サインの設置、に効果があった(50%以上)と回答がありました。
(表-3)は大道陸橋撤去に向けた効果的なPR活動方法をまとめており、
・マスメディアを活用したPR
・横断歩道橋に横断幕を設置する
・交通マップを配布する
について、比較的効果があることがわかりました。
(表-4)は大道陸橋撤去工事に関する知りたい情報やサービスをまとめており、
・大道陸橋撤去の工事期間
・的確にルートを変更できる迂回路情報
・市街地における、リアルタイムな混雑状況
についての情報提供が必要であることがわかりました。

8.おわりに
春日陸橋の通行止め期間中、周辺住民の方々にはご理解とご協力をいただき、また施工業者には工程を工夫していただき、さらに気象条件に恵まれた事により、予定より一ヶ月以上早く道路の供用を再開することができました。
また、通行止めによる大きな交通の混乱も無く無事に完了することが出来ました。
平成23年1月からは、約5万台/日の交通量がある大道陸橋の撤去工事に着手します。
大規模な通行止めとなり、広範囲の交通に影響を及ぼす事が予想されることから、これまで検討を重ね、準備をしてきたハード対策、ソフト対策、広報活動等に加え、春日陸橋撤去工事で得た経験を生かし、より効果的な渋滞対策を行って参ります。

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