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夢をアイデアに、アイデアをかたちに
社団法人 建設コンサルタンツ協会九州支部
顧問(前支部長)山本洋一

一枚のグラフが、当業界に少なからぬ衝撃をもたらしました。主要250社について、技術者の年齢構成を平成7年度と20年度で比較したものですが、業界の先行きに懸念を抱かせる兆候のいくつかを明らかにしました。まず1点目は、20代半ばを中心とする若年層のドラスチックな減少。2点目は、年齢層のピークが20代から30代に移行する間に、かなりの転職者があったこと。そして、3点目は、これらの結果としての急激な高齢化の進行。展望も魅力もない業界を若者が志望するわけはなく、また転職に歯止めをかけることも困難です。職業に対する誇りを取り戻し、技術者としてのモチベーションをいかにして維持、高揚させるか。手をこまねいているわけにはまいりません。
夢とアイデアに溢れたまちづくりに貢献したい、公共事業から失われつつあるロマンを復権させた
い。そんな熱い思いをもった会員有志が、「夢とアイデアがまちを変える」をスローガンに、平成14年度に立ち上げた「夢アイデア事業」が、約10年を経て、当支部の活動の大きな柱に成長しました。
一般からのまちづくりに関する夢アイデアの募集からスタートしましたが、その後、応募作品のプレゼン、意見交換などを内容とする交流会の開催・定例化、そして学生を対象とするまちづくりの人材育成支援事業へと展開してきたものですが、募集事業は8回、交流会は6回を重ねるに至りました。お寄せいただいたアイデアの総数は約440編に達し、何物にも代えがたい財産となりました。さらに数年前より、「アイデアをかたちにする」実現化事業への取り組みも始めましたが、その嚆矢として、地方部と都市部とが連携し、相互に協力しあって地域づくりのためのネットワークを築く「九州郷づくり共助ネットワーク研究会」(略称「共助研」)を平成20年度に発足させました。引き続き、島原半島での「ヤギ・羊ECOプロジェクト」、大分の「柴北川プロジェクト」などの支援に取り組んでいますが、最近では、昔のまちの写真を、同じ場所でプロジェクターで紹介する「思い出NAVI」が大きな反響を呼び、テレビをはじめ多数のメディアに取り上げられました。さしずめ夢アイデア事業から生まれたヒット商品といって良いでしょう。関心のある向きは当支部のホームページをのぞいていただければ幸いです。
やや旧聞に属しますが、昨年の流行語大賞のトップテンに、親がどこにいるかもわからない「無縁社会」、縁の無い社会という、なんともやりきれない言葉が選ばれていました。「無」を「夢」に置き換えなければなりません。夢が縁をつなぐ社会、夢で縁がつながる「夢縁社会」の実現。童謡詩人金子みすゞは「鈴と小鳥と それからわたし みんなちがって みんないい」と詠いましたが、これにならって、「海辺のまち、山あいのまち、そして私のまち、みんなちがって、みんないい」まちづくり。
夢をアイデアに、アイデアをかたちに。そして夢のあるまちづくりにつなげたい。社会資本整備のあり方に新たな展望を開くためにも、「九州から夢アイデアを全国へ発信する」という意気込みで、今後とも精力的に取り組みを進める所存です。

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