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地域高規格道路「中津日田道路」について
大分県 井形徹
1.はじめに

中津日田道路は、大分県中津市と大分県日田市を結ぶ延長約50kmの地域高規格道路である。
このうち、起点の重要港湾中津港から中津市耶馬溪町大字大島までの約32kmについて、現在事業中であり、うち主要地方道中津高田線から国道10号までの3.6kmについては、平成21年3月に供用を開始したところである。
九州横断自動車道と建設中の東九州自動車道とを連結し循環型高速交通ネットワークの形成を目指す本道路は、地域住民をはじめ、産業界等からも、早期完成が期待されているところであり、その整備の状況などを報告する。

2.大分県北部地域の概要

大分県の県北地域は、福岡都市圏と北九州都市圏、大分都市圏の中間に位置し、古くは徳川幕府が九州の諸大名や九州6ヵ所の天領を監視するため天領日田(現在の日田市)に西国筋郡代を置き、「日田往還」(福岡・久留米・中津・大分・阿蘇など、各方面から日田へと通じる街道の総称)を通じて九州中の政治や経済、文化の情報はすべてこの地に集められていたことなど、それぞれの都市圏と深く関係していた。
現代では、県北地域を含む北部九州には、豊富な人材の存在、中国や東南アジアに近い地理的なメリットなどからトヨタ自動車九州(福岡県宮若市)、日産自動車九州工場(福岡県苅田町)、ダイハツ九州(大分県中津市)などが立地しており、年間150万台の生産体制を誇るカーアイランドとなっている。
その様な中、平成20年にはダイハツのエンジン工場が、久留米市に進出し、中津のダイハツ九州にエンジンを供給するなど、さらにその結びつきを強めている。
そのため、九州横断自動車道と建設中の東九州自動車道に挟まれた地域に位置し、それら高規格幹線道路を中間で連結し、北部九州の循環高速ネットワークを形成する本道路は、発展する北部九州の自動車産業等の支援も期待されているところである。

3.路線の概要と指定状況

本道路は、平成6年12月に計画路線指定を受け、(図-2)の区間毎に、(表-1)のとおり順次、調査区間、整備区間の指定を受け、平成8年度から事業着手している。
未着手の区間は、終点側の約19kmを残すところとなっている。

4.大分県施工区間の整備状況
(1) 中津港線②・中津道路(3.6km)
平成11年度から事業着手し、平成21年3月に暫定2車線で供用開始した。
国道10号と重要港湾中津港を結ぶ当該道路は、平野部を主に盛土構造で通過するため、多くの市道や農道と交差し、ボックスカルバートなどの横断構造物が多い構造となっている。
供用開始後から徐々に大型車の通行が多くなっており、周辺道路の渋滞緩和にも寄与している。

(2) 中津三光道路(3.0km)
平成26年度供用を目指し建設中の東九州自動車道(宇佐~中津~築上間28km)と中津三光インター(仮称)で接続し、国道10号や中津市街地を結ぶ当該道路は、平成21年度から工事着手し、現在の進捗状況は、平成22年3月末現在で17.2%、用地取得率は、56.7%であり、東九州自動車道の開通に合わせるべく、鋭意用地交渉や工事を進めている。

(3) 本耶馬渓耶馬溪道路(5.0km)
中山間地域を通過する当該道路は、用地買収や橋梁等の構造物の建設を終え、工事の進捗率は、平成22年3月末現在で82.4%であり、現在中央部の「はなぐりトンネル」1,869mの掘削工事とトンネルズリを利用した本体盛土工事を行っている。
当該トンネルは、耶馬溪層と呼ばれる凝灰角礫岩を主体とした地山を掘削しており、湧水は多いが切羽の自立性は良く順調に工事を進めており、平成23年1月には、トンネル工事を完了する予定である。

(4) 耶馬溪道路(5.0km)
山間部を通過し、現道の国道212号と接続する当該道路は、平成21年3月に整備区間指定を受け、直ちに、詳細な地形測量や道路予備設計に着手し、現在地元と設計協議中である。
山間部を通過するため、当該道路では、大分県下で最長となるトンネル(2.99km)を計画している。

5.中津港線・中津道路 開通イベント

平成21年3月20日に、中津港線②と中津道路あわせて3.6kmを全区間通じて最初に供用開始した。
供用開始に先立ち、工事中や用地交渉中、設計協議中である他工区のPRや県の道路事業のPRを兼ねて、県主催により開通イベントとして、3月14日に「ウォーキング大会」を開催した。
中津市にとって自動車専用道路の開通は、初めてのことで、また、開通後には立ち入ることの出来ない自動車専用道路を歩く事ができるためか、当日は、事務局の予想を上回る3,800人の市民に参加いただき、盛大なものとなった(写真-8)。
開通後のインターチェンジ出入口の通行方法の説明や、当該路線の時間短縮をはじめとする事業効果などの説明もでき、大変有意義なイベントとなった。

6.おわりに

大分県にとって、東九州自動車道をはじめとする高速交通ネットワーク整備は、地域間の交流を促進するだけでなく、産業・経済の発展、救急医療など、様々な面で県民生活を支える重要な施策であり、今後とも、県内の高速交通体系の整備をはじめとする社会基盤整備の早期充実に向け、努力していきたい。

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