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土質工学会技術賞に輝く鹿屋分水路トンネル
-九州地方建設局大隅工事事務所-

鹿屋分水路トンネルは鹿児島県大隅半島の肝属川中流域の鹿屋市街地を避けて計画された鹿屋分水路のうち,しらす台地の下を貫通する大断面のトンネル(延長1,609m)で,昭和61年3月着工し,今年月に竣功しました。この内容については「九州技報」でも創刊号,第5号,第8号の3回に亘って掲載したところです。
この鹿屋分水路トンネルの業績に対して,社団法人土質工学会では,この程,平成2年度の技術賞を九州地方建設局大隅工事事務所(代表者 亀江幸二所長)に授与されることになり,去る5月23日,亀江所長が上京して,土質工学会総会の席上で栄えの受賞をされました。
土質工学会の技術賞は,土質工学に関する技術の進展に顕著な貢献をしたと認められるものに対して贈られるもので,わが国の土質工学会の分野における権威ある賞であり,「九州技報」としても誠に喜びに堪えないものであります。
このトンネルは,全線に亘って水に弱いしらすの地下水位下の大断面(約100m2)掘削という全く未経験の工事であること,滞水層であるぼら層が近接していること,台地上には人家が密集し土被りも薄いことなどの特殊な条件下にあり,それから発生する問題に対し,種々の調査・試験・解析を重ねて,①地下水位下のしらすの掘削はウェルポイントによる水位低下が有効で,両側壁導坑に敷設することとし,浸透流解析により配置を決めたこと,②地表面沈下や復水後の水みちとなる空隙を生ぜしめないため,覆エ方式は支保エ建込直後に型枠を用いて地山に密着した一次覆工コンクリートを打設する工法とし,また,全面に防水シートを用いたこと,③ぼら層とトンネルの離れは,浸透流解析の結果から20m以上必要と判断して,トンネルルートの検討を行い,止むを得ず20m以内に近接する区間は,地下連続壁による地下水遮断工法を用いたこと等の独特な工法を採用し,また,工事にあたっては地下水の変動とトンネル内及び地表の変形に関して,独自に作成した管理基準に従って安全管理に努めた結果,予想以上に順調に,工事完成を見たのであります。
今回の受賞は,九州地方建設局大隅工事事務所,職員の方々の努力の結集であり,また,「鹿屋分水路工法検討委員」(委員長 山内豊聡九州大学名誉敦授)の先生方の御指導並びに関係した調査・設計・施工の各業者の方々の協力も大なるものがあったと云えましょう。

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