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国道197号 昭和通りの再整備 「リボーン197」について

大分県大分土木事務所
道路建設課 課長補佐
赤 嶺 雄 一

キーワード:リボーン197、自歩道、バリアフリー

1.はじめに
国道197 号の昭和通りは、中春日交差点から舞鶴橋までの約2.1㎞の区間で、沿線には県庁、大分市役所が並び、大分市の中心部を横断する幹線である。市内中心部では大分駅の高架化に続き、平成26 年春には、JR 新駅ビル、県立美術館のオープン等、新たな整備が進んできている。
昭和通り周辺には公共施設や学校、店舗等が集中し、通行者が非常に多く、歩行者・自転車が交錯している状況である。また、バリアフリー重点整備地区内にあり、安全でバリアフリー化された道路として再整備が望まれていた。
そのため、昭和通りを県都の顔となる幹線道路へと再生(リボーン)するため、平成27 年度に「リボーン197 協議会」を立ち上げて検討を開始した。そして、翌年の提言を受け、平成29 年度より事業着手し、現在、平成33 年度の完成に向け取り組んでいるところである。

2.リボーン197
2.1 リボーン197協議会
事業実施に先立ち、学識経験者、福祉、交通、教育、沿道関係、行政等の委員から構成されるリボーン197 協議会を平成27 年度に立ち上げた。
協議会は、都市計画への見識が高い亀野辰三教授(大分高専:当時)や柴田久教授(福岡大学)を中心に計7 回開催され、全体的な景観整備方針と自転車歩行者道の舗装等のデザイン、植栽の樹種、昭和通り交差点四隅広場のデザイン等のテーマについて検討し、平成28 年11 月14 日に最終提言としてとりまとめて頂いた。
昭和通り工区の景観整備方針として、①全体的に統一感のある通り ②歩きやすく、日常的に利用しやすい通り ③住む人にとって誇りに感じられる通りを目指している。
この方針に基づき、以下のように計画した。

2.2 自転車歩行車道の再整備
歩行者、自転車が交錯していた自歩道について通行部分を明示できるよう、自転車通行帯は透水性の脱色アスファルトを採用した。
この舗装は脱色バインダーを使用し、施工直後は濃い茶色だが、施工後徐々に脱色が進み、最終的に透明化することで骨材色が現れ、ブロック舗装に近い、落ち着いた色調となるものである。

歩行者通行帯は、透水性のブロック舗装とし、色はグレーで、全体的に自然に溶け込む色合いである。
自歩道幅員は現況が植樹帯を含んで6.3m であるが、これを車道側からそれぞれ、1.5m の植樹帯、2.0m の自転車通行帯、2.8m の歩道として整備を行う。

2.3 道路付属物の意匠
当工区では、横断防止柵と道路照明を設置するが、デザインコンセプトとしてはどちらもシンプルなデザインかつ周囲の景観と調和したものを選定した。色彩は、大分市景観形成ガイドラインに従い、ダークブラウン色を採用した。

2.4 街路樹の選定
すっきりと広々とした空間を確保するため、既存の中木・低木を撤去し、緑陰が創出されるよう高木のみ配置することとし、樹種については、新緑から紅葉まで楽しめるケヤキを選定した。

2.5 昭和通り交差点広場の整備
昭和通り交差点の四隅には広い広場があるが、どれも休憩施設として活用しづらい状況であった。
整備後の利用を踏まえた設計を行うため、まず、この四隅広場各エリア毎のデザインコンセプトを検討した。通学する高校生や周辺の商店街等行き交う人々が憩えるような広場、アート展示可能なスペース、音楽イベント等に利用できる舞台広場というようなコンセプトを決め、これに基づき設計を行った。

広場と通路部は、歩道と同じ平板ブロックを採用することとした。緑地部は芝生とケヤキ、シマトネリコを基本とするが、北西の広場は季節感を出すため、春秋に花をつけるソメイヨシノ、ハクモクレン、キンモクセイや紅葉が楽しめるイロハモミジを配置する。
各広場の緑地周りには人が座れるよう御影石張のロングベンチを設置、座面の下部にはLED 照明を付け、夜間の賑わい創出を図る。
また、北東広場には、アート展示に使える木デッキを設置する。

2.6 城址公園前の歩道整備と車線減少
城址公園は、豊後府内藩主の居城であった府内城跡を公園として整備したものである。城址公園お堀前の歩道には古いクロマツが植えられており、城址の景観の一部として市民に親しまれているが、根元では舗装がでこぼこしているうえ、特に大きく曲がった松が、建築限界を侵しており、通行者にとって危険な状況となっている。
パブリックコメントの結果ではクロマツを残してほしいという意見が多かったことから、曲がった一本は公園内に移植、他のクロマツは残すこととした。併せて、バス専用レーン一車線分を自歩道に取り込むことで自転車通行帯を確保する。
この結果、クロマツを含み4.5mの自歩道が6.3mに拡幅される。この区間については、車線減少、自歩道の暫定拡幅工事を平成29 年度に実施したが、減少後も特に渋滞等の影響は出ていない。

2.7 横断歩道橋撤去
事業区間内には三つの横断歩道橋があるが、どれも利用者は少なく、老朽化が著しい状況であったことから、バリアフリー化を進めるため、順次撤去の方針となった。
平成29 年5 月に県庁前歩道橋を、10 月に市役所前歩道橋の撤去工事を行った。残る舞鶴歩道橋は今年度撤去を予定している。

3.事業概要と進捗状況
(事業区間)大分市寿町~大分市舞鶴町
(事業費)約11 億円
(事業延長)1.7㎞
(自転車歩行者道幅員)6.3m
(事業期間)平成29 年度~平成33 年度
昭和通り全体の内、大分県立美術館前の自歩道整備済みの区間を除いた約1.7㎞を事業区間として設定した。

進捗としては、起点の寿町1 丁目交差点から昭和通り交差点までの整備を平成30 年7 月に完了、昭和通り交差点四隅広場の完成式典を行った。
毎年8 月に、昭和通り交差点から大分駅前の通りで、「大分七夕祭り」という盛大な夏のイベントが開催されるが、今年は、リニューアルした交差点広場がイベント会場として利用され、多くの来場客で賑わっていた。

4.おわりに
現在、昭和通り交差点から県庁前までの自歩道の工事を実施中で、今後も引き続き早期完成に向け取り組んでいく。
大分県では、平成30 年10 月に国民文化祭を開催し、平成31 年10 月にはラグビーワールドカップの開催も予定されている。昭和通りは、前述した七夕祭りの他、大分国際車いすマラソンのスタート会場等様々なイベントの舞台となっているので、子供からお年寄、障がいのある方も安心して通れる道づくりを目指していきたい。
最後に、リボーン197 の計画を策定するため、一年半にわたりご検討を重ね、ご提言をいただいたリボーン197 協議会委員の皆様を始め、工事関係・設計コンサルタントの皆様など、ご協力いただいた多くの方々にこの場を借りて、心から深く感謝申しあげる。

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