一般社団法人

九州地方計画協会

  • 文字サイズ
  • 背景色

一般社団法人

九州地方計画協会

  •                                        
別大国道の6車線化等
事務所事業概要について

国土交通省 九州地方整備局
大分河川国道事務所 副所長
春 田 義 信

1 別大国道の経緯と今後
別大国道は別府市(人口123,519人)と大分市(人口443,548人)を結ぶ重要な国道であり,71,000台/日の交通量を賄う大動脈である。沿線には4月1日にリューアルオープンしたうみたまご(旧マリーンパレス)やボスザルと日本で最初に名付けた高崎山自然公園などがあり観光振興にも寄与する道路でもある。

(1)別大国道の整備
別大国道の拡幅工事は,昭和7年から14年にかけて別府市大字浜脇から大分市大字生石(L=7.4km)間の現道拡幅と舗装工事を行ったのが最初である。改良前の道路幅員としては6m程度確保されていましたが電車軌道と併用だったため実質の道路幅員は3m程度しかなく,電車優先だったようで道路の一刻も早い改良が望まれていました。

改良後の道路は車道幅員9m,歩道幅員2.6mと当時としては画期的なアスファル卜舗装がなされた道路でした。
昭和14年当時は300台/12h程度の交通量でしかありませんでしたが,戦後の急速な高度経済成長に加え高崎山自然動物園(S28),マリーンパレス(S39)が開園し,別大国道は観光道路としての重要性が増し昭和46年には38,000台/日までに交通量が増大しました。そのため一次改築で確保した交通容量を遥かにオーバーし一刻も早い拡幅が望まれていました。しかし,別大電車の軌道と海に挟まれた地理的条件から膨大な事業費が予想されていました。そんな中,昭和36年に死傷者67名を出した仏崎の電車埋没事故や度重なる災害等により昭和47年に路面電車の廃止が決定し,別大国道の拡幅事業が行われる事となりました。

昭和47年から昭和53年にかけて軌道敷きの改良及び海岸部への拡幅を行い2車線から4車線への二次改築が行われました。
その後も改良工事を行ってきましたが,平成に年号が変わる頃には,61,000台/日にまで交通量が伸び,一度事故等が起こると数キロにおよぶ大渋滞と拡幅後も幾度と無く起こる災害により,抜本的な拡幅が必要となり,より海側に張り出した6車線化の工事を行うこととしました。
別大国道の6車線化は国・県・市全ての機関で最重要課題として位置づけています。工事は平成5年から,地域の方々からも改善要望の強い区間「田ノ浦~生石間(L=3.9km)」で先行着手しましたが,特に海側の歩道については,改良前は1m程度で田ノ浦ビーチ等に歩いていくことも離合する事も困難だったものを,今回の改築で歩道3.5m,自転車道3.0m,植栽帯1.5mと全幅8.0mで整備を行っています。
また,平成12年度から別大国道景観整備検討委員会(委員長:亀野辰三大分高専教授)を設置し,ホームページとアンケートによるPI手法で植栽を決定,さらに東別府~生石間(L=7.0km)に設ける5箇所の景観拠点では,東屋(休憩施設)等のデザインを広く一般公募して意見を取り入れています。

上記のような住民参加型の整備を行ってきましたが,平成16年2月に「田ノ浦ビーチ~生石間」を地域の方々の協力のもと,別大マラソン当日に供用でき,新たな別大をアピール出来ました。
また,この完成により大分側の交差点付近では渋滞がほぼ解消され,朝の通勤ピーク時で別府~大分の両市役所間で62分から30分へ短縮され,走行環境が大幅に改善されました。これにより渋滞損失額も年間約24億円もの改善が見込まれています。また,沿道騒音も昼夜間でオーバーしていましたが,交通量の多い昼間で56dBと環境基準を達成し沿道環境の改善に寄与しています。

(2)今後の整備方針
平成16年度には,うみたまご前の交差点を含む田ノ浦~高崎山問(1.3km)を開通させる予定です。別大全体からすれば部分完成ですが,ソフト・ハード両面の整備が進み,別大国道も観光道路として新たなスタートを切ることになります。
残りの高崎山~東別府間(L=1.8km)は,平成19年度を目標に,一定の効果が発揮できるよう整備したいと考えています。大分にお越しの際は是非別大国道をご利用いただき,その変わり様を体感してみてください。

2 事務所事業概要
大分河川国道事務所では,下記事業についても整備を行っていきますので,事業(工事)の進捗については当事務所のホームページ(http://www.qsr.mlit.go.jp/oita/)のちゃくちゃくプロジェクトにて公開していますのでご覧ください。

(1)戸次・犬飼拡幅
大分市南部の渋滞緩和および並行して流れる大野川の水害対策として現道拡幅工事を行っています。
現在は,平成16年12月の供用を目指し隣接する犬飼バイパスの新犬飼大橋を佐伯河川国道事務所と共同で架設中,さらに大分市内側の取り付け工事を行っています。

(2)天瀬改良
日田市と大分市を結ぶ国道210号において,急峻な山岳地帯で落石等の危険な箇所を多数抱えた天瀬地区で,防災対策としてバイパス(L=1.0km)工事を行っています。
現在,工事発注に向けた調査・設計及び一部改良工事を行っており,平成20年以降の早い時期の完成を目指します。

(3)日田バイパス
日田市内を貫く国道210号においてラッシュ時の渋滞解消策として,昭和63年度より工事着手しています。計画延長(L=5.3km)のうち大分側3.1kmは完成し渋滞解消に貢献しています。残り2.2kmについても現在,トンネル工事を行っており,平成18年度の完成を目指します。

(4)柿ノ木峠道路
宇佐市と熊本市を結ぶ国道387号の院内町・玖珠町間(L=12.6km)の権限代行区間で昭和56年度より工事着手しています。現在,9割近く完成しており院内地区(L=1.4km)の改築に着手中で,平成19年度末の完成を目指します。

(5)竹原峠道路
大分県と福岡県にまたがる国道442号の県境に位置する竹原峠の大分県中津江村側(L=1.0km)の権限代行事業を実施しています。竹原峠は幅員が狭く大型車の離合が出来ないことや,冬季の積雪による通行規制が毎年30日程度続くなど,地域間交流を阻害していました。地域間交流の推進が地域住民の要望でもあり,規制解消に向け現在トンネル新設工事を実施中で,平成17年度末の供用を目指します。

(6)古国府拡幅
大分県が事業を進めている「JR日豊本線等大分駅付近連続立体交差事業」の関連工事として,4車線化の事業を推進し渋滞緩和を目指しています。現在は,鉄道の高架切り替えに備え,鉄道をオーバーしている国道10号を切り下げるため,交通切り回しのための仮橋設置を行っており,平成24年度の完成を目指しています。

3 おわりに
大分河川国道は,大分市内をはじめ県北西部の渋滞解消をはじめとし道路利用者の利便性・快適性の向上を目指し上記事業を推進しているところです。平成20年度には二巡目国体もあり,今後も求められる道路機能を限られた予算で発揮すべく,コスト縮減等工夫しながら道路整備を着実に進めていき大分県の発展に寄与していきたいと考えています。

上の記事には似た記事があります

すべて表示

カテゴリ一覧