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熊本県玉名市役所における『橋梁補修DIY』の実装方法について

玉名市役所 建設部 土木課
課長補佐
木 下 義 昭

キーワード:地方自治体、橋梁、メンテナンス、マネジメント、直営施工、橋梁補修DIY

1.はじめに
全国的な橋梁メンテナンスサイクル(点検-診断-措置-記録)の進捗状況は、定期点検の1巡目を終了したが、市町村の措置が遅れている。メンテナンスサイクルは措置が完了しなければ回らないため措置の遅延は問題である。玉名市役所(以下、本市)では、平成28年度から、職員が直営施工により橋を修繕する『橋梁補修DIY』1)を実践してきた。これは地方であっても調達できる材料や機器を用いて、自治体職員が手づくりのメンテナンスを実践する取組みの一つであるが、このようなメンテナンスサイクルの体制構築は容易ではない。本稿では、筆者が人口6 万人規模の市役所の制約条件に配慮しながら、調査と分析によってどのように直営施工を実践したのかについて示す。
なお、本稿における直営とは、市役所職員のみで行為を完了することを指す。

2.検討対象地(玉名市)の状況
(1)検討対象地の地理的特性と橋梁数
玉名市は、福岡都市圏と熊本都市圏の中間となる熊本県の北西部に位置し、JR 鹿児島本線、九州新幹線、九州縦貫自動車道、有明フェリーなどを近隣に有し、交通の便に恵まれた地域であり、人口約6 万5 千人、面積152km2(南北約17㎞、東西約14.5㎞)の都市である。南西部は有明海に面した平地となっており、北部から東部にかけては、標高200m 程度の山間部となっている。また、阿蘇の外輪山を源流とする菊池川が市域の北から南へ縦断して有明海に注いでいる。なお、本市の管理する橋梁は、令和3年10月末において834橋(取組み開始時の平成28年度当初は832橋)である。

(2)取組み開始以前の本市の状況
取組み開始以前の本市は以下の状況であった。
・省令に基づく定期点検の財源のうち、約6割には交付金を充当していたが、その充当残りの約4割に対する一般財源の捻出に苦慮していた。
・本市の技術系職員は全体の約6% しか存在しないにも関わらず、その配属先は農政・上下水道・建築・土木・教育委員会等と多岐に分散し、人員不足であった。
・本市における当時の橋梁メンテナンスサイクルの進捗状況は、定期点検の進捗率が市道橋全体のわずか2%(17橋)しか完了していなかった。これは、当時、国が目標とする定期点検進捗率40% に対し、大きく遅延していた。

3.財源不足の制約下であっても実現可能な直営による問題分析の実践
財源不足の制約下においては、橋梁メンテナンスサイクル遅延の問題分析を外注しようとしてもその予算確保が困難である。そのため、本市は直営での問題分析を行うしかない状況であった。

(1)担当者の苦悩を本音で聞き出す意識調査
省令・告示後2年が経過したにも関わらず、本市が橋梁メンテナンスサイクルを本格始動できない理由を調査するため、過去の担当職員に対して聞き取りを行った。対象者は2名、聞き取り方法は対談形式、抽出された意見(36の項目)をポストイット方式で整理した。さらに、回答者が本音を言えるよう回答内容は基本的に非公表とし、組織内への公表は、図- 1 のように集計したベン図および回答者の許可を得た意見のみにした。

図1 聞取り調査結果による問題点の分類図 

(2)意識調査結果による問題の深堀り
図- 1の調査結果を旧担当職員へフィードバックし、再度詳細な聞き取りを行ったところ、技術力不足から生じる橋梁メンテナンスサイクルへの不安感により、メンテナンス全般を俯瞰的に捉える視点が希薄化し、将来に影響する業務全体の把握が困難となり、財政力不足の詳細な内容(事例)を具体的に想定(想像)できない心理背景が明らかとなった。その結果、安易に想定できる目先の点検費用のコスト縮減だけに視野が狭まっていたのである。さらに、旧担当職員がメンテナンスサイクルを構築しようとしても、図- 1 の「その他の問題」に該当する学会等の示方書や専門図書がないことによる情報不足、市道台帳の不備、橋梁台帳の未整備、設計図書廃棄による基礎資料不足等の根本的な問題によって、業務の初動が妨げられていたのである。

(3)意識調査結果によるボトルネックの抽出
自治体職員だからこそできる前節のような旧担当職員(同僚)への詳細な意識調査とその深堀りにより、省令・告示後2年が経過しても、橋梁メンテナンスサイクルが遅延する心理背景が明らかとなった。これには本市の技術系職員の技術力不足が大きく関係しており、技術力不足から不安感が募り、萎縮する心理背景も重なっていた。それは、アバットやピア等の用語を技術系職員の大半が知らない実状が表していた。そこで、他部署の技術系職員も含めた広範囲の職員に橋梁が難しいと感じる理由を聞き取ったところ、橋梁等の専門業務への精通不足、いわゆる経験不足をほぼ全ての職員が回答した。経験の蓄積は容易でなく、その機会も少ないため、橋梁メンテナンスに対する経験不足がボトルネックだと考えられた。

(4)時間制約下で実践した直営の現地踏査
本市の場合、遠望目視点検を建設コンサルタントに発注し、その業務が完了していたため、本市職員は橋を適切に管理できていると誤解しており、現場に橋があるにも関わらず点検していない橋が存在することに着眼していなかった。そこで、筆者は、橋梁数の正確な把握と現状分析こそが最優先だと考えた。しかし、本市は熊本地震の災害復旧業務と橋梁メンテナンスを同じ課で実施する組織体系のため現地踏査に専従できなかった。このため、災害対応で現場に赴いた際、その現場周辺の市道橋を道路台帳網図と遠方目視点検結果を用いて300橋ほど現地踏査し、移動時間を縮減した。その結果、以下のような現状がわかった。
・道路橋示方書によらない橋が多い。
・架設当初の施工が不適当な橋が多い。
・車の通行不能な市道がある。
・道路台帳網図に登載漏れの橋梁があり、遠方目視点検時も見過ごされている。

(5)過去の実績によるメンテナンスの限界分析
(a)措置費用に充当できる予算面に生じる限界
表- 1 は過去に完了した補修工事における点検から補修完了までに支出した費用実績である。平成28年5月時点では、防災安全交付金を用いて補修工事が完了した実績は市道橋寺田橋の1橋であった。表- 1 より、補修設計費用は点検費用の約18 倍、補修工事費用は点検費用の約43 倍必要であり、点検費用よりも補修設計費用および補修工事費用(以下、措置費用)が高額であった。その中でも、最も多くの費用を要するのは、点検ではなく、措置費用のうち補修工事であった。つまり、当時の本市が問題視していた点検費用の財源確保より、措置費用の財源確保こそが重要な懸念事項であった。したがって、予算面で生じる限界とは措置費用、特に補修工事費の予算確保の限界である。
この傾向を照査するため、継続した費用分析を実践した。令和元年6月までに防災安全交付金を活用して補修工事が完了した8橋に対して、同様の費用分析を行った結果を図- 2 に示す。このような地方自治体における実際の費用実績の分析によって、本市の場合、橋梁補修においては点検費用より措置費用に多くの費用を要し、特に補修工事費用は72% を占め、最もコストを必要とする傾向が明らかとなった。

表1 市道橋寺田橋の補修実績

図2 玉名市道橋8橋の橋梁補修費用の構成割合

(b)優先順位の明確化で生じる限界
前節の予算面の限界を踏まえ、限られたリソース(人・財源)で橋梁のメンテナンスサイクルを実施するためには、優先順位を設定した予算投資が効果的だと一般的に言われている。限られた予算をどのように配分するべきかについては、様々な意見が上がったため、その意見を踏襲し図- 3のように予算配分をイメージ化し、以下の3 案に設定した。[1] 案(優先順位の高い橋に予算を優先的に配分する案)。この案は、リソース(人・財源)を選択と集中により、効果的に予算投資する案である。その反面、等しく税金を納税する市民目線で見ると、納税に対する不平等感が生じる。[2] 案(市道橋梁全体に予算を平準化して配分する案)。この案は、市民へのサービスの平等化を図る案である。その反面、第三者被害が懸念される橋や長大橋のように、優先順位の高い橋へのリソース(人・財源)不足が生じるため、その対策が遅延する。[3] 案([1] 案と[2] 案の折衷案)。[1]案、[2] 案ともにメリットとデメリットがあるため、ある一定の基準等を設け、その基準以上の橋梁にリソース(人・財源)を集中する案である。

図3 限られた予算の配分イメージ

財政部局を交えて将来の予算配分を検討するなかで、仮にどの案を採用したとしても、管理する側の建設部局の実務者は、業務遂行過程において、新たな問題に直面するリスクがあった。そのリスクを以下に示す。リスク[1] 架設当初の設計図書がない場合、不足分を補うためには、詳細な調査費用にコストを費やし、優先順位の低い橋の予算が不足するため、その対策が遅延する。リスク[2]第三者被害の観点から、落橋対策や剥落防止は必要であるが、過度に優先順位の高い橋に予算を集中投資すると、優先順位の低い橋の予算不足が生じて、その対策が遅延する。リスク[3] 市町村は市道橋梁数が多いため、発注等の事務量が多いにも関わらず。慢性的な技術系職員不足、技術力不足を抱えており、業務遂行の急激な加速は困難なため、優先順位の低い橋の対策が遅延する。
リスク[1]、[2]、[3] において共通するのは、優先順位の低い橋の対策(措置)が遅延することである。国や県にくらべ市町村は、優先順位の低い橋の保有数が多く、そのような橋が地域の小集落の生活圏を構成する特徴がある。この市町村の実情を鑑みると、優先順位の明確化により、優先順位の低い橋の劣化に対する措置を遅延すべきではない。さらに、小規模の橋梁は地域の小集落に密着しているため、地域の生活圏においては重要であるにも関わらず、市道橋全体を相対的に考えると優先順位が下がる傾向にある。しかし、地域に密着した地方自治体の技術系職員こそ、優先順位の低い橋の劣化を無視できない立場にある。つまり、限られた予算でマネジメントする場合に生じる限界は、地域には必要な小規模橋の優先順位が相対的な観点では低いという限界である。
本節で示したとおり、優先順位の明確化等のソフト対策単体で健全化するのは非常に困難である結果が明らかになった。その他の限界として、地域建設業の縮小(土木業者数の減少)、地域住民の高齢化に伴いすでに縮小している住民参画(奉仕活動)、集約化に伴う撤去と一体的に行う道路整備の新たな予算確保困難が明らかとなった。本稿の対象地となる玉名市は、人口約6 万人規模の地方自治体であり、本市で生じた問題は、同様の予算制約等の問題を抱える地方部の市町村に多く顕在化する可能性が高いと考えられる。

(6)本市の課題と求められる能力
直営の意識調査を用いた現状把握と問題分析による本市の問題は『橋梁メンテナンスに対する経験不足の蔓延』である。同様に、直営の現地踏査を用いた現状把握と問題分析による本市の問題は『確実な措置の進捗』である。そして、本市の橋梁メンテナンスの限界を分析すると『優先順位の低い橋の措置進捗』が問題であった。
したがって、本市職員に対し、本市が求める能力とは、最前線の現場において、橋梁補修の施工に精通し、縮小傾向にある施工業者へ適切な施工指導ができる能力であり、机上の能力だけでは不足していた。さらに、行政面の実務能力として、財政部局等との折衝や手配により、予算等を確保できる折衝能力が必要である。この2 点の能力を総じた『現場力』が必要だと考えられる。

4.直営施工の実践
本市には、最前線の現場における高い実務遂行能力を有する『現場力』を必要としていたが、高額な費用で優秀な人材を補充する財源はなく、現場能力向上に費やす研修期間の時間経過を悠長に待てないとともに、それらの研修費の予算確保そのものが困難である。このため、筆者は、実際の業務を進めながら『現場力』を身に付けるOJT(On the Job Training)が有効だと考え、直営施工を立案した。その内容を以下に示す。

(1)提案書による組織内への意識共有と増員
橋梁メンテナンスの体制を再構築するには、組織内に対しメンテナンスの重要性を啓蒙するとともに、危機意識を共有することが重要だと考えた。さらに、直営の現地踏査により、既存資料(遠方目視点検結果や道路台帳)の不確実性を認識したため、基礎資料の再収集が必要であり、その調査にはマンパワーが必須だと考えた。そこで、本市の組織内に向けた専用の提案書を作成し、短期的な人員確保を稟議した。提案書は公文書ではない非公表資料とし、職員目線でメンテナンスサイクルの必要性、メンテナンスサイクル1周分にかかる概略費用、不足するリソース(人・財源)の推定、および橋梁長寿命化計画と現状の乖離を示した。その提案書を用いて、課内への打診、部内への打診、企画・財政部局への打診を経て、平成28年6月には市の企画審議会において、本市全庁を相手に協議する機会を得た。その結果、年度途中(平成28年9月)にも関わらず人員増員を達成した。技術系職員は本市で全体的に不足するため中途採用職員2名と再雇用職員1名の計3名の増員であった。この増員により、総数5名の体制が整い、2班体制の現地踏査が可能となり、玉名市内の正確な市道橋の位置、橋梁数、幅員、橋長および現場写真等の基礎資料を再収集し、現地踏査の調書を作成し記録した。

(2)地域特性の分析による直営施工の立案
橋梁メンテナンスに対し、本市の地域特性を分析すると①国道と県道であっても片側2車線の道路がないことからわかる玉名市内の交通量が少ない道路特性、②橋長5m未満かつ単径間のRC橋(RC 函渠を含む)が市道橋の約7割を占める地域特性、③ 1級河川下流域の玉名市は平野部の用排水路を跨ぐ橋が多く、河床から橋の桁下までの高さが低い立地条件、④過去の橋梁補修の発注実績を調査すると補修工事の大半は左官工による断面修復を選定している補修実績、⑤最低限の施工品質および施工の安全性確保に寄与できる施工に関する有資格者を保有する職員特性、⑥直営で設計、積算、監督する舗装や側溝工事が発注土木工事の半数を占める高い直営率がわかった。
このため、対象を優先順位の低い小規模橋梁の軽微な損傷に絞り、本市のインハウス能力を総動員すれば、品質を保ちつつ低コストで橋梁の修繕にチャレンジできると考え、本市の技術系職員による直営施工を立案した。

(3)直営施工の実現性を高めるために行った施工対象の厳格化
直営の橋梁修繕を安易に実践し、損傷拡大、事故等が起きないように施工対象の厳格化が重要である。その施工対象の抽出条件を以下に示す。
・施工する職員の安全性を確保するため、大型車はもとより普通自家用車の通行がほとんどない橋を選定した。
・有資格職員(1級土木施工管理技士)を配置しても、資格で実務を担保できる範囲に限りがあるため、劣化損傷の緊急性が少なく(判定区分Ⅱ)劣化損傷の軽微な箇所から断面修復等を始め、徐々に対象範囲を拡大することにした。
・直営施工に伴う二次的なリスク軽減に配慮するため、はつりにより緊張力の低下リスクがないようPC橋の主桁は直営施工しない。他にも、構造上重要な支承周りは基本的に直営施工しないことにした。
・効果的なターゲットを選定するため、コンクリート構造物の劣化に共通する劣化因子である水2)をターゲットに選定した。
その他にも、事前の試験施工を実施し、直営施工の実現可能性を示した。

(4)橋梁補修DIY の実施状況と効果
前節までに示した詳細なプロセスにより実装可能となった橋梁補修の直営施工(橋梁補修DIY)は、本市における手づくりの橋梁メンテナンスの中核を占める取組みである。その施工状況を図-4 に示すとともに、効果を以下に示す。
・橋梁補修DIY は、材料費と機械損料のみで実施できるため、修繕費のコスト縮減に寄与できる。
・橋梁補修DIY は実橋に対し、計画から経過観察までの全てを実体験できるためOJT の効果が高く、その経験によりOFF-JT の理解を深め、インハウスエンジニアの現場力向上に寄与できる。
・橋梁補修DIY により修繕可能な事象であれば、日常点検、定期点検および地域住民からの通報等により、不具合を発見した際、入札や業者手配を要さずとも速やかに修繕できるため、橋梁修繕の即時性向上に寄与できる。
・予防保全は日常から細やかにメンテナンスすることが効果的だと考えられる。橋梁補修DIY は入札、業者手配、高額な予算を要さずとも予防保全が図れるため、きめ細やかな予防保全が可能となり、橋梁長寿命化に直接的に寄与できる。

図4 本市職員による直営施工(橋梁補修DIY ) の実施状況

(5)直営施工の断面修復の施工品質照査
自治体職員は左官技能者として、特級技能士を保有する一流の熟練工でないため、直営の左官施工の施工品質を照査することは、市民への説明責任の観点からも重要である。本市では、この照査を第三者である熊本県コンクリート診断士会に依頼することで、客観的な照査を行っている。具体的には、専門施工業者の断面修復と直営施工の断面修復の品質を比較するため、再劣化が懸念される断面修復材の付着状況に対して、同じ検査手法で双方を調査したところ、直営施工が専門施工業者と同等の施工品質を有していた。
なお、照査には費用を要するため、コスト制約の範囲内で、照査箇所を抽出し実施している。

5.おわりに
最新の道路メンテナンス年報において、1巡目点検により判定区分Ⅲ・Ⅳの橋梁に対する市町村の修繕完了率は約32% であり、依然として低い状況にある。一方、本市は国の個別補助金を用いた橋梁補修を実施するとともに、『橋梁補修DIY』やそれを補完する分離発注3)など、多くの取組みを実践しており、判定区分Ⅲ・Ⅳに対する修繕完了率は95% である。このような中、本稿では、本市が成果を挙げている『橋梁補修DIY』について、地方自治体の管理者の立場で、どのようにして構築したのかを示した。橋梁メンテナンスサイクルにおいて、その中心から点検- 診断- 措置- 記録の全てに関わることができるのは、筆者ら職員(インハウスのエンジニア)だけである。本市の取組みは、図- 5 が示すようにメンテナンスサイクルの中心軸から、一見遠回りに見える直営施工という歯車をあえて逆向きに回す取組みを進めることで、メンテナンスサイクル全般を助力する仕組みである。したがって、課題が山積する地方自治体だからこそ、インハウスエンジニアが自ら改善点を見つけ、一般的な答えに固執することなく自らが改善を継続することが重要だと結論付ける。
筆者はこのようなインフラメンテナンスの最前線での経験を生かし、土木学会インフラメンテナンス総合委員会内のアクティビティ部会委員ならびに地方インフラ・メンテナンスネットワーク[通称:LIMN(ライモン)]の委員として、地方自治体職員への支援を始めている。地方自治体の現状や課題は、個々の自治体において多種多様であるため、本稿で示したとおり、管理者自身が自らの自治体の現状を可能な限り詳細に把握することが必要だと考えられる。そのためには、自らの自治体の現状を詳細に分析するため、管理者が本音を言える場(コミュニティー)の提供が必要だと考えられる。したがって、今後も地方自治体職員の立場で、インフラメンテナンス最前線で苦悩する自治体職員との繋がりを深めていく所存である。
最後に、本市独自の取組みは、国土交通省や土木学会から下記の受賞・表彰を受けているが、それらは一緒に取組んでいる同僚の協力があればこその成果である。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

図5 自治体職員による中心軸からの助力イメージ図

主な受賞内容
(1)令和元年11月 国土交通省 第三回インフラメンテナンス大賞優秀賞
(2)令和3年6月 土木学会賞論文賞
(3)令和3年7月 土木学会建設マネジメント委員会 グット・プラクティス賞

参考文献
1)木下義昭:自治体職員が直営施工を実践する手づくりの橋梁メンテナンスの構築,土木学会論文集F5(土木技術者実践),Vol.76,No.1,pp.52-65,2020
2)轟俊太郎,石田哲也,田所敏弥,上田洋:コンクリート中の鉄筋腐食に与える水とコンクリート中の中性化の影響,土木学会論文集E2( 材料・コンクリート構造),Vol.75,No.4,pp.226-238,2019.
3)木下義昭,佐川康貴:地方自治体における橋梁修繕に対する防災・安全交付金の活用制約と直営施工を補完する分離発注の実践,土木学会論文集F4(建設マネジメント),Vol.76,No.2,I_180-I_191,2020

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