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九州の河川で展開される多自然型川づくりの概念

私達は,生命・財産を守るためにこれまで川を洪水時に安全に,早く,多量の水を流す水路として整備をしてきた。
新しい川づくりは,洪水にも安全でかつ,河川本来のうるおいを有することを目的としたものである。そのためには,生態系への影響を最小限に抑えるような努力を行い,出来るだけその場所に息づく自然を残すことや,手を加えた場合でも元の自然環境へ復元できるような工夫をすることが大切である。
ここで重要なことは「私たち人間が,自然そのものを人工的に作ることは決して出来ない」ということである。従って,たとえ6割人の手が入っても,残りの4割は自然の力が仕上げを行うといった,川づくりが今後望まれる。つまりは,「河川のダイナミズム」を許容する川づくりである。
このことにより,瀬や淵の保全・再生や変化に富んだ水際あるいは,水際の植生が促される。そして今まで以上に,魚等の移動路を確保することも必要である。
これらの川づくりは,水際(低水護岸)や河床への工夫を行うことで,実践可能である。また,この範囲であれば,治水機能とのバランスをとることも,それほど困難ではないはずである。
先ずは,この水際(低水護岸)や河床で新しい川づくりをはじめよう。本来,川は魚や鳥,そして昆虫等のいろいろな生き物が息づき,四季折々の草花が咲き乱れる空間である。
私達は,常日頃ふれあうこの川の姿をもっと大切にしなければならない。洪水時には,しっかり堤内を守り,平常時には,多様な生き物が生息する。この本来の川の姿を大切にした川づくりが「多自然型川づくり」である。

(川づくり参考資料(案)・平成6 年3 月 建設省九州地方建設局河川部編)

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