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九州地方計画協会

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九州における道路バイパス工事の現状と課題

建設省九州地方建設局
道路部道路計画第一課長
並 河 良 治

1 はじめに
九州地方は,温暖な気候の下に,わが国のほぼ1割を占める面積に全国人口の約1割強(平成2年人口1,200万人)が定住している。
地理的には日本列島の南西部にあって,長大な海岸線等多彩な観光資源に恵まれているが,東京圏から約900km,関西圏からも約500km余と遠隔性,交通の体系の整備遅れ等によって,域内の一体的かつ均等ある発展が課題となっている。
地形的な制約から主要都市は古くから海岸線に発達し,各都市間は急峻な山岳地と複雑な海岸線で隔てられている。さらに,台風の常襲,雲仙・桜島等の火山活動をはじめとする特殊土壌等の自然条件により,域内の交通ネットワークの整備は大きく阻害されてきた。
九州地方の道路整備は,昭和29年に発足した第1次道路整備五箇年計画を契機に本格化し,昭和40年代前半にかけて九州の南北,東西を結ぶ国道3号,10号,35号,57号等の主要国道の一次改築が完了した。
昭和40年代からは,モータリゼーションや都市化の進展等に対処するため,都市およびその周辺での二次改築をはじめ,昇格国道や地方道の整備など多岐にわたる施策を展開してきたところである。
また,九州地方の道路網の骨格をなす高規格幹線道路網の整備は着実に進められており,九州縦貫自動車道および九州横断自動車道について,昭和40年代初頭から整備に着手し,強力に推進されてきた。九州では高規格道路の全体延長(1,500km)の約41%にあたる616kmが供用されている。
現在,九州地方建設局が直轄で整備を進めている路線は国道3号,10号のほか直轄指定区間の17路線であり,権限代行として指定区間外の国道222号のほか3路線の合わせて23路線を鋭意整備促進している(なお,平成5年度から西九州自動車道として整備していた国道202号が国道497号として追加された)。
このため,今後は,アジア太平洋地域との地理的近接性や多彩な自然豊富な歴史的文化遺産等九州の地域特性を生かし環境と調和のとれた地域主導による地域創り,自立的な経済圏の確立が重要であり,そのためには,広域的な幹線道路の整備が不可欠である。

2 平成4年度直轄国道の整備について
平成4年度の道路事業費は,改築,維持修繕,交通安全,共同溝,調査等約1,340億円でこのうち改築事業では高規格道路として,今回供用する国道10号宇佐別府道路等12箇所で事業を促進しているほか一般国道については,交通渋滞対策のバイパス・道路の拡幅・危険箇所の防災対策・橋梁の架替・キャブ事業(電線の地中化)等84箇所の事業を964億円をもって行っている。このうち平成4年度において供用(暫定を含む)された主な道路について紹介する。

(1)福岡10号 椎田道路
① 事業概要
椎田道路は全区間16.2kmのうち起点側2.6kmおよび終点側3.3kmを建設省による直轄事業として,また,中間部の10.3kmを日本道路公団による一般有料道路事業として事業を行ってきた。
このうち,平成3年3月15日に起点の辻垣インターから中村インターまでの間13.8kmについて暫定2車線で部分供用を図り,県道国見松江線を介して現国道10号と連絡した。
このため,ほとんどの区間で交通混雑の緩和がなされたが,未開通対応区間の豊前市松江地域において依然としで慢性渋滞をきたしていた。
全線供用は,平成4年12月25日に行われ,豊前市域の混雑も緩和されると共に,年末年始の交通に対しても渋滞することなく無事処理出来た。

② 事業の諸元
a 箇所の概要
路線名  一般国道10号 椎田道路
起点名  福岡県行橋いくはし辻垣つじがき
終点名  福岡県豊前ぶぜん荻田おぎた
延長・幅員 直轄区間 第3種第1級 延長L=5.9km 幅員W=25m
      公団区間 第1種第3級 延長L=10.3km 幅員W=19.75m
設計速度   80km/h
車線数   4車線(暫定時は2車線)

b 事業の経緯
昭和49年度  事業着手
昭和55年度  日本道路公団 事業認可
昭和61年度  工事着手
平成3年3月  部分供用L=13.8km
平成4年12月  全線供用L=2.4km
③ 事業効果
北大道路関係で平成4年度中に供用を図るのは当椎田町道路をはじめ豊前バイパス(部分供用),宇佐道路(全線供用),宇佐別府道路(部分供用)および九州横断自動車道(部分供用)があり,平成4年度末の北大道路全体の時間短縮効果は北大道路整備前と比較すると1時間短縮されたこととなる。

(2)一般国道10号宇佐道路の開通について
① 事業概要
宇佐道路は東九州地域の主要幹線道路である一般国道10号のうち北九州市と大分県都大分市とを連絡する“北大道路”の一環として,計画された道路である。北大道路の整備の状況は,福岡県側は,豊前バイパスの約4.1kmを除く全区間で供用がなされ,大分県側についてもこれまでに中津バイパス,九州横断自動車道日出JCT~大分IC間,大分南バイパスで供用を図り,引続き宇佐別府道路等,未供用区間の早期供用に向けて事業の促進に努めているところである。
今回,全線供用する宇佐道路は,交通渋滞が慢性化する現10号の西側を迂回して,起点側を中津バイパス,終点側を現在事業実施中の宇佐別府道路と接続する延長5.1kmの4車線バイパスで,昭和57年度に事業着手し,昭和61年度に用地買収,昭和62年度からは工事に着手した。事業の推進にあたっては,地権者ならびに地元関係者の多大なご協力により,円滑な事業の推進が図られ,今回,宇佐市大字赤尾から同市大字山本に至る延長5.1km(取付部200m含む)の全線を供用開始するものである。
なお,今回供用される延長5.1kmのうち,バイパス部の延長4.4kmについては自動車専用道路の指定がなされ,交通規制速度は70km/hとなる。
② 事業の諸元
路線名  一般国道10号
計画延長  5.1km
都市計画決定 昭和63年9月27日(清水久々姥線)変更
事業区間 起点 大分県宇佐市大字赤尾字中原
     終点 大分県宇佐市大字山本字大場屋敷
道路規格  第4種第1級,第1種第3級
車線数  2車線(上下各1車線,暫定供用のため)
設計速度 60km/h,80km/h
標準幅員  30.0m,20.5m
③ 沿道環境
宇佐道路は景観整備特に,「人と道の調和」を考え,「地域の特性」に配慮した。植栽や高欄のデザイン等,歴史的文化的環境,自然環境を生かして景観整備を実施している。
今回開通する宇佐道路の通る宇佐市は宇佐神宮を中心として古くから文化の栄えた地域である。今回開通する区間の中においても宇佐神宮をイメージしたユニークな道路標識を市の負担も得て設置している。これは従来の標識柱を屋根付きの鳥居型式とし,その標柱に北大道路への案内に加え宇佐市街地宇佐神宮への案内標識を設置したものである。この標識は,一風変った雰囲気をかもし出し,一般市民にはなかなかの好評を博している。

(3)一般国道10号宇佐別府道路(院内~速見)の開通について
① 事業概要
宇佐別府道路は,大分県宇佐市から大分県速見郡日出町までの一般国道10号のバイパスとして計画された総延長22.7kmの自動車専用道路であり,北九州市と大分市を結ぶ北大道路の一部を形成する道路である。
今回開通する延長18.1kmの区間は,院内,安心院,山香,日出の4町にまたがり,院内インターチェンジを起点に,一般国道10号とほぼ平行に南下し,速見インターチェンジを終点としている。ジャンクション部の施工が遅れているが九州横断自動車道と直結する。
今回の開通により,一般国道10号の交通の混雑緩和および沿線地域の発展ならびに県北地域の産業・経済・文化活動の活性化に一層貢献するものと期待されている。
本道路は,安心院町から日出町間10.1kmを日本道路公団が施工し,院内町から安心院町間8.0kmについては土工,橋梁工事までを建設省で施工したのち,日本道路公団に引継ぎ公団にて舗装,施設工事を施工するいわゆる合併施行方式により整備された一般有料道路である。
② 事業の諸元
路線名  一般国道10号
計画延長 22.7km(うち今回供用18.1km)
事業区間 起点 大分県宇佐郡院内町大字小坂
     終点 大分県速見郡日出町大字南畑
道路規格  第1種第3級
車線数  2車線(上下各1車線暫定供用のため)
設計速度 80km/h
標準幅員  20.5m

料金は

となっている。

③ 事業効果
開通による時間短縮は宇佐市久々姥くうば(一般国道10号と宇佐道路との分岐点)から速見郡日出町小浦(一般国道10号と県道南端豊岡線の合流点)までを比較すると「一般国道10号」を利用した場合約70分,「宇佐道路」「宇佐別府道路」を利用した場合は約40分となり,時間で約30分,距離にして約11kmの短縮となる。
なお,宇佐別府道路の交通規制速度は70km/hである。

(4)西九州自動車道(福岡前原道路)および一般国道202号今宿道路が開通
① 事業概要
西九州自動車道は,国土の均衡ある発展と活力ある経済・社会確立の根幹施設として計画された高規格幹線道路であり,福岡市を起点として,唐津市,伊万里市,佐世保市等を経由して武雄市に至る延長約150kmの自動車専用道路である。
福岡前原道路は,この西九州自動車道の一部を形成するもので,昭和63年度から建設省と福岡県道路公社の合併事業として建設を進めてきたが,このほど完成し,福岡県内最初の西九州自動車道として暫定2車線で供用した。
また,一般部の一般国道202号今宿道路は,周辺地域の交通混雑の緩和や沿道生活環境の改善,交通安全の確保を目的に,建設省で整備を進めているもので,昭和49年度以来逐次供用を図っており,福岡前原道路と同時に延長2.3kmが供用して,総供用延長が20.5kmに達した。
その位置および一般図を図ー4,図ー5に示す。

② 事業の諸元
開通日:平成5年3月26日
開通区間および延長
 自動車専用部:福岡市西区大字周船寺から前原市大字東 延長=8.0km
 一般部:福岡市西区大字飯氏から前原市大字波多江 延長=1.7km
     前原市大字有田地内 延長=0.6km

自動車専用部の通行料金は,軽自動車等150円,普通車および中型車200円,大型車300円,特大車550円である。
③ 工事概要
昭和45年度に一般国道として事業化し,整備を進めてきたがその後昭和63年度に西九州自動車道(一般国道の自動車専用道路)として事業化され建設省と福岡県道路公社が一体となって「合併施行方式」によって整備したものである。延長8.0kmのうち福岡側1.2km,唐津側1.8km計3.0kmを直轄にて施工し,中央部を福岡県道路公社で施工し完成供用したものである。
また,一般部については,今宿道路として直轄で整備を進め,今回福岡市域および前原市域計2.3kmを暫定2車線にて,完成供用したものである。
事業費は建設省が約140億円,福岡県道路公社が約225億円,合計約365億円(今回供用部分)となっている。
④ 事業効果
今回の福岡前原道路の開通により,既に開通していた一般国道202号今宿道路,二丈浜玉道路および唐津バイパスと合わせ,福岡市と佐賀県唐津市を連絡する延長42.4kmのバイパス全線が開通した。
これにより,福岡市天神~唐津市間の所要時間が約30分短縮され,福岡都市圏と佐賀県北地域との交流がより活発となり,両地域の産業・経済・文化活動等の活性化に一層貢献するものと期待される。
また,国道202号現道等周辺道路の混雑が緩和され,既成市街地の沿道環境の改善や交通安全の向上に大きな効果が期待される。

⑤ 開通記念行事
開通区間にあたる福岡市西部から前原市一帯は,古くは「魏志倭人伝」に登場する古代国家「伊都国」の中心地域であり,古代のロマンを秘めた遺跡,遺構が数多くあり,また,玄海国定公園等の自然に恵まれた地域である。
現在では,福岡都市圏西部地域の生活中心拠点として発展しており,今回の供用によって交通条件が向上し,その拠点性が益々高まるものと思われる。
開通に先立ち3月21日(日)に記念行事「ふれあい西九州街道フェスティバル」が開催され,物産自慢市やクイズウォークラリー,ふれあいステージ,プレイテント村等のイベントに家族連れの人々の歓声が背振山系にこだまし本道路への期待の大きさがうかがえた。

(5)福岡3号 久留米大橋
 ① 事業概要
久留米大橋は,九州の交通動脈である一般国道3号(北九州市~鹿児島市)が九州屈指の大河筑後川(一級河川)を横過する橋梁である。
旧橋は,昭和9年に架設され昭和44年に歩道部を増設したもので,近年のモータリゼーションの進展に伴い,交通量の増大および自動車の大型化のなか,幅員狭小,老朽化のため,架替えが望まれていたもので,昭和59年度に河川改修事業と調整を図り架替えの事業を実施したものである。(供用 平成4年11月)
② 事業の諸元
事業延長 L=800m
橋梁延長  L=402m
幅  員 W=10.75m うち歩道部 W=2.5m
道路規格 4種1級 V=50km/h
橋の等級 一等級(TL-20)
事業費  約39億円
旧橋撤去  L=325.3m
     W=7.5m+2.0m=9.5m
     上部工:ゲルバー式鉄筋コンクリー卜桁
     下部工:逆T式,壁式鉄筋コンクリート橋台・橋脚

③ 対地元,工事,景観上で配慮した事項
久留米市の表玄関としての顔をもつ当橋は,市民の関心も高く,特に当工事箇所は“CCIモデル事業”として建設事業のイメージアップに努めた結果,地元住民の理解も得られ特に支障もなく順調に工事は進んでいる。
当地区は,筑後川リバーサイド基本計画に基づき,整備が図られているため,当工事でも良好な景観の保持と調和を図るべく,橋梁の親柱,高欄や歩道舗装,道路照明灯などの美装化に努めた。

④ 事業効果(供用後)
今回の供用により,交通の円滑化が図られ,歩行者の安全性が確保出来る等地域における生活環境の改善が図られた。地域の産業・経済の振興,発展に大きく寄与するものと思われる。

(6)国道3号松橋バイパス全線供用
① 事業概要
一般国道3号は,北九州を起点に福岡市,熊本市を経由し鹿児島市に至る延長432.3kmの主要幹線道路であり,九州西部地域を南北に貫く大動脈として沿線地域の産業・経済・文化・観光等の発展に大きな役割を果たしている。
松橋バイパスは,宇土・松橋地域の交通混雑解消を図る目的で計画された道路で延長は6.7kmである。
昭和63年度に宇土市花園から下益城郡松橋町豊福間の4.8kmを供用し,平成4年7月に起点の宇土市新松原町から同市水町まで1.3kmを順次供用し,平成4年12月9日に全線暫定2車線で供用を図ったものである。
本バイパスの供用により,現3号は通過交通が排除され,宇土市,松橋町地区の交通混雑が解消された。
なお,松橋バイパスは,昭和47年度事業着手以来約21年の歳月をもって全線供用したもので地元の期待も大きいものがある。

② 事業の諸元
a 箇所の概要
路線名  一般国道3号松橋バイパス
計画延長  L=6.1km 幅員W=21.5~25m
起  点 宇土市松原
終  点 下益城郡松橋町豊福
構造規格  3種1級 設計速度80km/h
総事業費 約160億円 暫定2車線供用

b 事業の経緯
昭和47年度  事業着手
昭和50年度  工事着手
昭和53年度  部分供用 L=1.3km
昭和60年度  部分供用 L=0.6km
昭和62年度  部分供用 L=0.9km
平成元年度   部分供用 L=2.0km
平成4年度   完成供用 L=1.9km
③ 軟弱地盤対策工法
起点側は有明平野が広がり,地層は有明粘土層に対比される粘土・シルト層であり,N値が0~1回を示す非常に不安定な層となっていた。この軟弱な粘土層に函渠・橋梁を構築するため,種々の基礎工法を検討し沈下抑止の効果が期待され満足する工法として,最終的に深層処理工法を大規模的に採用した。

④ 事業効果
当バイパスの全線供用開始(暫定2車線)により交通混雑の解消に伴う時間短縮,快適性の向上,更には周辺都市との連絡の強化により地域の振興に大きく寄与する。
また,現3号沿線からは通過交通が排除されることにより,市街地等に入り込む通過交通量が減少し,交通混雑の解消や安全性の確保等生活環境の向上が期待できる。

(7)国道57号菊陽バイパス全線完成
① 事業概要
一般国道57号は,大分市を起点に熊本市を経由し長崎市に至る延長214kmの主要幹線道路であり,中九州を東西に貫く大動脈として沿線地域の産業・経済・文化・観光等の発展に大きな役割を果たしている。
熊本市から阿蘇間は観光ルートとしても重要な路線であり,近年のモータリゼーションの進展とあいまって交通量は増加の一途をたどり,慢性的な交通渋滞が発生しており,その対策として菊陽バイパス延長6.7kmが計画されたものである。
菊陽バイパスの供用は平成2年8月に菊陽町津久礼から熊本市弓削までの間2.4kmが一次供用を図り,平成4年4月14日に,大津バイパスの終点の一部0.9kmの区間ともあわせ菊陽町中尾から菊陽町津久礼までの4.3kmを完成,4車線で供用したものである。
菊陽バイパスの全線供用により,交通の緩和はもちろん,特に大型店舗団地からの発生集中交通で輻輳の著しい菊陽地区の交通混雑が軽減された。

② 事業の諸元
路線名  一般国道57号菊陽バイパス
計画延長  L=5.1km,幅員25~40m
     (自)菊池郡菊陽町中尾
     (至)熊本市竜田町弓削
構造規格   3種1級
設計速度   80km/h

③ 沿道環境
菊陽バイパスは,熊本市から阿蘇を結ぶ火の国ラインと位置づけ緑化樹については,赤のイメージをもつ花木等で修景した。また阿蘇方面への景観は,雄大な阿蘇外輪を望み麓からすそ野にかけては田園が広がるほか景観がすばらしいこともあり,沿道の樹木高さについても配慮した。
④ 事業効果
全線開通により,交通混雑の解消,交通安全の確保に大きく役立ち,更に走行性の向上による時間短縮,快適さの向上が期待でき,また,環境施設帯を設置するなど環境に配慮している。それとともに,沿線は新たな発展を遂げ,地域の振興に大きく寄与するものと期待される。
供用により,旧57号沿線は通過交通が大幅に。減少し,騒音等の軽減,安全性の確保等生活環境も向上した。

(8)長崎205号針尾バイパス
① 事業目的
一般国道205号は佐世保市から東彼岐町に至る延長25.4kmの幹線道路である。
佐世保市早岐では,一般国道35号,202号,205号の幹線道路が集中しており,慢性的な交通渋滞が発生しており,さらに近年では,「ハウステンボス」「長崎オランダ村」,「バイオパーク」等長崎県の目玉となる新しい観光拠点も開発され,日曜,祭日などには終日交通混雑を起こしている。
針尾バイパスは,このような交通混雑解消のために計画されたもので,既に供用している西九州自動車道武雄佐世保道路や,現在施工中の同佐世保道路と結ぶ総延長5.9kmのバイパスである。このうち,佐世保市大塔町から同市指方町までの3.7kmについては平成元年4月に暫定2車線で供用した。
さらに佐世保市指方町から同市南風崎町間までの22kmについては平成4年8月に暫定2車線で全線供用を図ったものである。

② 事業の諸元
a 箇所の概要
路線名 一般国道205号針尾バイパス
起点名 佐世保市大塔町だいとうちょう
終点名 佐世保市南風崎町はえのさきちょう
延 長 直轄区間 第3種1級
設計速度 80km/h
車線数 2車線(完成時は4車線)

b 事業の経緯
昭和48年度 事業着手
昭和54年度 工事着手
平成元年4月 部分供用 L=3.7km(1工区)
平成4年8月 全線供用 L=5.9km
③ 景観上で考慮した事項
当バイパスは,“ハウステンボス”のアクセス道路となる事から,ヨーロッパを意識しながらも現地との調和を図った景観を基本にとらえ設計を行った。
景観設計を行うにあたっては,現地の状況を踏まえて内部景観,外部景観という大きく2つに分け検討した。外部景観については,周囲との調和を図ることとし,内部景観については,ヨーロッパを意識したものを取り入れることとした。特に高欄および車両用防護柵・親柱・中柱・照明灯・歩道舗装・切土面緑化について検討し,施工した。
④ 事業効果
今回の針尾バイパス供用により,交通渋滞の解消とともに,時間短縮が図られ,“ハウステンボス”へも道路が直結され,地域の振興に大きく寄与するものと期待されている。
また,現道205号線沿いからは,通過交通が排除され,早岐市街等へ入り込む通過交通量が減少し,安全性の確保や生活環境の向上が期待出来る。

(9)一般国道10号鍋田局改完成
① 事業概要
一般国道10号は本州との玄関口である北九州市を起点に大分市,宮崎市等東九州の海岸沿いを経由して鹿児島市に至る延長約450kmの重要な幹線道路で東九州地域の文化・経済・社会活動を支える上で大きな役割を果たしている。
鍋田局改は,急峻な崖地で崩壊の危険地帯および線形不良のため過去に正面衝突,追突,横転事故が多発し,交通環境の悪化をもたらしており,幹線道路としての機能が低下したため,地域間の交流を阻害し,ひいては,地域発展の大きな障害となっていた。
このような逼迫した交通事情を早急に改善し,地域の健全な発展を促すために,昭和61年度から建設を進め,このほど完成した。今回の完成によって,交通の立地条件が向上し,地域の発展に一層貢献するものと思われる。

② 事業諸元
幅員構成  車道部9.5m(2車線)
      歩道部2.5m(片側)
③ 景観に配慮した事項
吉四六大橋は,周囲の景観にマッチするように高欄や親柱には周辺地域のシンボルマークがデザインされ,歩道舗装,照明施設はグレードアップされている。

④ 事業効果
供用に伴う旧道は,町道として管理されており,長距離大型車両の休憩場所としても利用されている。
また,供用後は道路利用者に安全で,車両のスムーズな走行を提供している。

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