一般社団法人

九州地方計画協会

  • 文字サイズ
  • 背景色

一般社団法人

九州地方計画協会

  •                                        
一般国道326号(仮称)南田原1号橋の設計と施工

建設省佐伯工事事務所所長
碇  公 男

九州地方建設局企画部都市調査課長
(前建設省佐伯工事事務所副所長)
徳 永 和 幸

建設省佐伯工事事務所
建設監督官
小 野 義 春

ピーエス・オリエンタル特定建設工事共同企業体
作業所長
平 野  厚

1 まえがき
一般国道326号は,宮崎県延岡市を起点として,一般国道10号と重複しながら,東臼杵郡北川町,大分県大野郡三重町を経て,同郡犬飼町に至る延長84kmの重要な道路である。この道路は権限代行により,当該地区の基盤整備と道路交通の安全確保等を目的に整備を急いでいるところです。
本橋は,一般国道326号大分県南海部郡宇目町地内において,北川ダムを横断する湖面橋として計画された橋長292.1mの3径間連続のPC斜張橋である。ここでは,本橋の設計施工について記述する。

2 工事概要
2-1 概 要
工事名:大分326号南田原1号橋工事
工事箇所:大分県南海部郡宇目町大字南田原地先
完成予定年度:平成4年度
事業費:
下部工 約10億
上部工 約20億

2-2 設計条件

3 設計計画の概要
a 基礎形式
当初,基礎形式は経済性・施工性を踏まえ,直接基礎形式を採用した。直接基礎とすることで地震時のP1,P2橋脚の挙動がほぼ同一となる(表ー1)。

P1橋脚フーチング施工に先立つ追加ボーリングおよび載荷試験より当初CH層と評価されていた支持岩盤が巨大な転石を含む強風化層(D層)と判明した。従って,基礎形式は長期的な安定性を確保し,施工性および,工事用道路にも支障を及ぼさない深礎杭形式に変更した。
また,解析方法として,弾塑性解析による平面モデル解析および,一部転石のバネ評価をした立体解析を行った。
杭径については,φ2.5m,φ3.0m,φ3.5mにて比較検討を行い,最も経済的なφ3.0mを採用した。
b スパン割り
PC斜張橋のスパン割りの決定は,他の橋梁形式と同様,まず地形・水深・地盤条件・環境などから経済性・施工性を踏まえた橋脚位置を決定することで決まる。
本橋は,ダムの水位と地形・地質調査の結果等を踏まえ主径間長を170.0mとする3径間とした。側径間長については主径間長の半分程度とするのが一般的であるが,周辺から臨む橋梁の景観美を配慮して60.0mとした。
c 主桁の断面形状
一般に主桁の断面形状は,スパン規模・橋の種類(歩道橋・道路橋)・斜材の吊り面数・耐風安定性などを考慮し,選定される。
断面形状には箱桁・端げた(エッジガーター)。スラブ(ホロースラブを含む)などが考えられる。
本橋では次の事項を考慮して,斜ウェブを有した2室箱桁断面とした。
① 桁自重をできるだけ軽くする。
② 捩り剛性が大きな断面とする。
③ 耐風安定性を考慮し,ウェブを斜めにし,ウインドノーズを設ける。
d 構造形式
本橋については,フローチングタイプとピン支承(連続桁)タイプについて比較した。その結果,経済性に優れるフローチングタイプ(オールフリー)を採用した(表ー2)。
同形式の橋梁にPenang橋(マレーシア)・呼子大橋(佐賀県)・Pasadas-Encarracion(アルゼンチン)などがある。

e 主塔形状
形状は門型,A型,逆Y型に分類される。形状は斜材配置を配慮して選定するが,道路幅員構成を変更しない場合斜材の張り方は2面吊りとなり,施工性を配慮すると門型タイプが望ましいが,ここでは主塔の形状が景観を左右するので,慎重に検討した結果,主塔高を設計施工の可能な限り低めにおさえた逆Y型とした。
f 斜材形状
形状はハープ型,ファン型,ラジアル型に分類されるが,耐震上ファン型が有利となることから現在多用されている。主塔の形状と斜材定着位置・主桁径間長と斜材間隔などの細部構造を検討しハープ型とファン型の中間的な形式であるセミファン型とした。なお,逆Y型で2面吊りのPC斜張橋は国内で始めてである。
g アップリフトの対処法
本橋のスパン割りは,中央径間170mに対して,側径間60mと,かなり短スパンとなっており,端支点に常時の状態で負反力が生じる構造となっている。
橋台構造は,逆T形式を基本として,この端支点に生じるアップリフトに十分対処できる構造が必要となり,構造性・施工性・経済性に関して比較検討を行った結果,施工も容易で経済性の面でも有利となる鉛直ケーブル(下部工で施工済)で橋台と上部桁をつなぎ橋台をカウンターウェイトとする方法を採用した。さらに,この鉛直ケーブルが破断した場合,落橋の恐れがあるため,主桁よりH鋼の突起を出しパラペットの開口部に挿入する安全装置を設けることとした。

4 耐震設計
設計の手順を下記のフローに示す。

本橋における動的解析は,応答スペクトル法によって行い,スペクトル曲線としては,「道示・耐震設計編(S55年度版)」の1種地盤・減衰定数h=5%のスペクトル曲線を用い,入力加速度はa=150galとした。

5 耐風設計
本橋においては,まず,数値解析法による動的照査として,阪神高速道路公団の「耐風設計における動的照査法(案)」により,固有振動解析結果を用いて,渦励振および,各フラッターの発振風速・最大振幅などを机上で算出し,照査した。
さらに,安全を期すために低風速減の応答を調査することを第一の目的として,風洞実験を実施した。
a 風洞実験
斜張橋は,吊橋と同様にフレキシブルな構造であり,その耐風安定性には充分な配慮が必要である。特に偏平な主桁断面を有する斜張橋では,低風速域で発生する渦励振が橋梁の安全性や機能性に大きな影響を与える。これらを照査するため縮尺1/30の主桁部分模型について風洞実験を行った。実験の結果,風速8.0m/s以下の範囲であれば主桁断面は良好なフラッター特性を示すことが確認された(写真ー3)。

尚,本橋の主桁断面の特徴であるオープン下面の効果を把握するため,これを塞いだ箱桁断面を併せて実験したが,本橋で採用した2主桁箱桁の方が耐風安定性は良好であった。
また,H3.7月に発行された「道路橋耐風設計便覧」(日本道路協会)により,架設時・完成時の動的安定性を照査し安全と評価できた。

6 構造解析
構造設計は,施工時から完成時までの各構造系について静的フレーム法による解析を行った。しかし斜張橋のようなフレキシブルな構造物の設計では,静的解析のみでは不十分で,地震時解析については応答スペクトル法による動的解析を行い,この結果にもとづき照査した。また,主塔の靱性評価をするために部材断面の曲げ降状と曲げ破壊を考慮する非線形解析により安全性を確かめた。

7 施工概要
a 施工順序
施工の基本的な順序は,通常の張出し施工する斜張橋の場合と同様であるが,主塔製作,柱頭部主桁製作,柱頭部より張出し架設して主桁を完成していくものである(図ー4)。
一般的にこの規模の斜張橋では工程上主塔と主桁を同時施工とするので有利とされるが,主塔を完了し張り出し施工としたのは,主塔施工時に主桁施工によるアンバランスモーメントによる主塔の倒れが過大であり,製作精度を確保するためにこの影響を排除するためである。
また,張出し施工に対して側径間側を2ブロック先行施工としたのは能率的な施工工程を確保するとともに張出し施工時に主塔のアンバランスを最小に抑える目的である。

b 主塔の施工要領
主塔の施工は総足場工法で14ロット(1ロット高=3~4m)に分割施工する。足場は写真ー4に示すように逆Y型主塔の上下の2段で構成する。上段足場は斜材の施工にも利用されるため,斜材の最終張力調整作業終了後解体される。揚重設備は主にタワークレーンを利用し,昇降設備は工事用エレベーターおよび昇降階段を使用している。

c 主桁の施工要領
柱頭部施工後,移動架設台車を組立て,張出し架設により斜材配置間を2ブロックに分割し(ブロック長:主径間側3.5m,側径間側2.5m),図ー5の作業順序により順次主桁製作をしていく。この間,必要に応じて斜材張力調整を行う。側径間張出し架設終了後,橋台と主桁を連結し,主径間部の張出し架設を最終ブロックまで継続する。その後中央閉合部を吊り支保工により施工し,斜材の最終張力調整を経て橋体が完成する。

d 斜材の架設および緊張作業
SEEE工法F-PH型ケーブルを利用するが,このケーブルはマルチシステムのため,工場にて製作し所定の長さに加工されたプレハブケーブルを,現場搬入後,それぞれのケーブル構成に組立てられる。組立は写真ー6に示すタワークレーンやウインチ等を利用する。

緊張作業は,主桁施工時に大部分の緊張力を導入する一次緊張工,施工時の張力バランスを保つための施工時張力調整緊張工,最終構造系の張力を導入するための最終張力調整緊張工の段階があるが,いずれの場合も桁側より緊張する。一般的に緊張は塔側よりするのが作業能率は良いが,逆Y型主塔として2面吊りとしたため主塔側にジャッキスペースを設けられなかったためである。桁側よりの緊張を能率的にするため,緊張台車・ジャッキ据付け装置等さまざまな工夫をした(写真ー7)。

8 計測管理
PC斜張橋を安全に施工し施工精度を管理するには,主桁の応力が一種の荷重としての性格を持つ斜材張力に大きく影響を受けるため,張力導入の精度とその径時変化の把握が重要である。PC斜張橋は施工時においても高次の内的不静定構造であり,斜材張力・主桁の鉛直変位・主塔の変形など膨大な量の情報を分析し的確に施工へ反映していくことが主要になる。そのため,構造解析・データーの分析・管理目標値の設定等に,コンピューターや各種センサーなどを利用する。
図ー6,表ー3に,計測概要図と計測項目を示す。

9 おわりに
本橋は,上部工着工後約一年を経過し,設計施工上の各種の問題を解決し主桁張出し施工に着手しているところであり,いろいろな計画が実践されている段階である。本報告は計画段階のところも多く,詳しくは他の機会に結果も含めて紹介したしい。
なお,原稿の取りまとめにあたり,新構造技術㈱,ピーエス・オリエンタル特定建設工事共同企業体にご協力を承った。紙面をかりて,お礼申し上げる。

上の記事には似た記事があります

すべて表示

カテゴリ一覧