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コンクリート塊の舗装路盤への高度利用について
~その有効性を検証するための試験舗装の計画~

建設省九州地方建設局
 福岡国道工事事務所
 事務所長
藤 本  聡

1 はじめに
建設副産物のリサイクルを先導的かつ強力に推進するため,平成3年5月に九州地方建設局および各県,各政令市,関係公団等の14機関で構成する「九州地方建設副産物対策連絡協議会」が設置された。このなかにおいて,平成6年4月に西暦2000年を目標とした「リサイクルプラン21」が策定され,その達成に向け取り組まれてきたが,平成7年度に行われたリサイクルの全国実態調査では,目標としたリサイクル率60%に対して,九州では37%という全国で最も低い結果であった。このようなことから,従来の施策を見直し,抜本的に充実・強化すべく,平成9年10月に「九州地方建設リサイクル行動計画」が定められ,具体的に,かつ積極的に取り組まれているところである。
ここでは,この取り組みの一環として産業廃棄物に指定されている「コンクリート塊」について,骨材に再生し,さらにセメントや瀝青材で安定処理して,その価値を付加することで高度利用を図り,これまでの工法と合わせて用途を多様化し,利用の拡大ならびに効率化に資することを目的に,一般国道209号津福バイパスにおいて試験舗装を計画したので,その概要を述べるものである。

2 コンクリート塊の排出量と再利用の現状
コンクリート塊の排出量と再利用の現状に関する全国規模での調査は,平成2年度および7年度に実施されている。平成7年度における調査より,その現状をみると図ー1,図ー2および図ー3に示すとおりである。建設副産物は,全国で9,900万トン/年排出されており,そのうちアスファルト・コンクリート塊とコンクリート塊で7,200万トンと全体の73%を占めている。また,地方ブロック別にみると九州地方では1,000万トン排出されており,全国の10%を占めている。これら建設副産物の再利用については,再資源化施設の整備の進捗などからアスファルト・コンクリート塊とコンクリート塊の再利用の割合が大きく,それぞれ81%,65%となっている。この再利用の割合は,平成2年度調査時に比ベアスファルト・コンクリー卜塊で31%,コンクリート塊で17%増加している。

なお,コンクリート塊については,図ー4に示すとおり,全排出量の65%が再利用され,その大半は再生砕石として舗装の路盤に使用されている。

さらに,九州地方におけるコンクリート塊の排出量と再利用の現状は,図ー5および図ー6に示すとおりである。九州におけるコンクリート塊の排出量は387万トン(全国3,600万トンの10.8%)となっており,そのうちの再利用の割合は40.6%と全国の65%に比べかなり低い。九州のなかでも比較的再利用が進んでいる福岡,佐賀,宮崎3県でも全国平均に達していないのが現状である。

3 再利用の目標とその方策
九州地方における建設副産物の再利用(以下リサイクルという)が低迷していることから,前述したとおり「九州地方建設副産物対策連絡協議会」では,リサイクルをより具体的に実施すべく「九州地方建設リサイクル行動計画」を策定し,積極的に取り組むことになった。
その行動計画の目標は,表ー1に示すとおりである。このうち,コンクリート塊は,平成12年度にはリサイクル率を70%にすることとしている。

この目標を達成するためには,本計画のような利用法の多様化,高度化などの技術開発をもってこれを支える必要があるとともに,コンクリート塊を破砕して骨材化する再資源化施設の整備が必要である。後者については,リサイクル率の高い福岡,佐賀,宮崎県,とりわけその都市圏においては,施設整備が進み,コンクリート塊が安定的に供給されることから,その稼働率は高く,採算ベースに乗っていると考えられる。他の地域においても施設整備を急ぐことが肝要であるが,その際,コンクリート塊の排出が少量で定置式施設では採算性が見込めないことから,移動式の再生プラントで対応するなど地域の条件を考慮したきめ細やかな方策を採らなければならない。

4 試験舗装の計画
4ー1 計画概要
コンクリート塊の道路への再利用は「再生クラッシャラン」「再生粒度調整砕石」として主に路盤に用いられてきた。
ここでは,一般国道34号の橋梁撤去工事(境川橋,田手橋)で発生するコンクリート塊を骨材に再生し,これにセメントや瀝青材を中央混合方式(ドラムミキサー)によって安定処理することにより,舗装路盤への高度利用の可能性を明らかにするため,試験舗装を一般国道209号の津福バイパスの一部で(図ー7)実施することとした。施工は,平成10年12月~平成11年3月に実施するものである。

4ー2 舗装構成
(1)路床土のCBR
試験舗装は,上層路盤を対象に比較検討するものであり,他の条件はできるだけ同一にする必要がある。したがって本試験舗装工区のようにバラツキが大きい路床土(0.7~79.4%)については,置換え工法により支持力を均一にすることとした。その材料は,現場近くで安価に入手できる材料(設計CBR3)を選択した。
(2)試験舗装構成
試験舗装の構成については,設計CBR=3,設計交通区分=C交通を条件として,アスファルト舗装要網に準拠し設計した。その結果は,図ー8に示すとおりである。
上層路盤について,①再生セメント安定処理(1,6工区)②再生セメント瀝青安定処理(2,7工区)③再生粒度調整砕石(一次破砕+補足材)(3,8工区)④再生粒度調整砕石(二次破砕)(4,9工区)⑤粒度調整砕石(5,10工区)の5種類の工法を採用し,さらにそれぞれ上下車線で厚さを5cm変えることとした。(以下,各工法の略称名は,図ー8の凡例に示すとおりとする。)

4ー3 有用性の評価
(1)構造評価
前述の1~10工区について,図ー9に示す構造力学理論により多層弾性構造計算を行い,路床上面の鉛直ひずみ(式ー1)と路面の鉛直方向変位(式ー2)を算出し,その値から路床の破壊回数(式ー3)を求め,耐用年数を推定した。結果は表ー2に示すとおりであり,セメントやセメント瀝青による安定処理工法(1,2,6,7工区)は,他の工法(3,4,5,8,9,10工区)と比較して優れた構造を有し,高度利用の可能性が期待される。この有用性の最終評価については,試験舗装の施工後にFWD(Falling Weight Deflectometer,落錘式たわみ測定器,基本概念は図ー10)によるたわみ量から,各層の弾性係数(E)を求め,このEを式ー4に代入し,等値換算係数(an)を算出することにより,各工法の比較検討を行うことで検証したい。

(2)CO排出量
近年,地球環境が問題となっており,道路舗装工事においてもCOの排出量を抑制することが大きな課題となっている。本試験路盤におけるCO排出量を表ー4に示す原単位により算出すると図ー11に示すとおりとなる。これによると,リサイクル材は新規骨材に比較してCO排出量が小さいことがわかる。

(3)経済性
経済性については,図ー12に示すとおりであり,再生セメント安定処理については,通常工法と比較して約10%節減できる。一方,2工区と7工区の再生セメント瀝青安定処理については,瀝青材料の単価が高いために,経済性は若干劣る。

5 おわりに
コンクリート塊の路盤材への有効利用を図るため,その技術的な裏付けを得ることを目的とした試験舗装についてその計画意図とその内容を述べたが,限られた条件の中での試みであり,全ての条件を網羅した内容ではない。今後さらに,一般国道202号福岡外環状道路第4工区などで実施した各種安定処理路盤の構造についても評価し本試験舗装のデータと突き合わせを行い検証の精度を高めたいと考えている。
いずれにしても,試験舗装の工事はこれから年度末にかけて実施するものであり,完了後直ちに検証のための調査を行い,前述した①リサイクル率の促進,②コストの縮減,③CO排出量の削減にいかに寄与できるか総合的にデータの解析・取りまとめを行い実用化への道筋を付けたい。この結果は,続報として本誌に掲載できれば幸いである。
終わりにあたり,本試験舗装の計画に際し,指導を賜った九州大学工学部松下博通教授に対して深く謝意を表す次第である。

参考文献
1)建設副産物リサイクル工法推進会議:総合的建設副産物対策(現場での実効ある対策の推進のために)平成10年版
2)九州地方建設副産物対策連絡協議会:「九州地方建設リサイクル行動計画」平成10年10月
3)㈳日本道路協会:アスファルト舗装要綱 平成4年改訂版
4)姫野賢治他:「パソコンによる舗装の多層弾性構造解析」ASPHALT,VOL.32,№161 1989年
5)井上武美他:「舗装用路盤材料の等値換算係数の検討」第23回土質工学研究発表会,昭和63年6月
6)土木研究所資料「資源・エネルギー消費,環境負荷の算定手法の開発と実態調査報告書(その2)-資源,エネルギー消費最及びCO排出量の積み上げ計算-」建設省土木研究所,材料施工部科学研究室,平成6年3月

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