一般社団法人

九州地方計画協会

  • 文字サイズ
  • 背景色

一般社団法人

九州地方計画協会

  •                                        
コンクリート二次製品の標準化と施工単価の導入について

九州地方建設局
企画部技術管理課

九州技報第17号に,平成6年12月1日建設省より公表された「公共工事の建設費の縮減に関する行動計画」について,縮減の視点から九州地建として取組むべき課題等について紹介したが,平成7年度から九州地建,九州各県土木部,管内のコンクリート二次製品製作メーカーであるコンクリート二次製品業界代表者から構成される「コンクリート二次製品・設計積算合理化検討委員会」により検討している「標準化」と「施工単価の導入」の取組みについて紹介するものである。

1 検討委員会設置の経緯
「公共工事の建設費の縮減に関する行動計画」(平成6年12月1日策定)の目的を達成するため,九州地方建設局企画部技術管理課では複雑で地場特色の強いコンクリート二次製品を標準化することによってコンクリート構造物の省人化,省力化が進められるうえ,施工の安全性と品質の確保および経済性が追求され,さらに施工単価(製品単価と床堀・埋戻しを除く据付け費の単位当たりの単価)としてとらえ,設計積算の簡素化・合理化へ対応するため,九州地建,九州各県土木部,コンクリート製品関係団体の協力を得て,「コンクリート二次製品設計・積算合理化検討委員会および作業部会」を設置し,具体的な検討を進める必要があるとの結論に至ったものである。

2 委員会の目的
九州地区に流通しているコンクリート二次製品は一般的に多品種で少量生産の傾向にあると言われており,工事現場における施工の省人化,省力化に対応して,コンクリート構造物のプレハブ化は緊急の課題となっている。
このため,官・民双方でコンクリート製品の仕様と規格の標準化を早急に進め,さらに,施工の省人化,省力化を目指したコンクリート構造物のプレハブ化,既存製品の長尺化,大型化および新規製品の開発を促進することにより,施工の安全性および品質の確保を図ることとし,この標準化されたコンクリート二次製品および開発された新製品について「施工単価」としてとらえ,建設関連業界に広く普及させ,もって建設費の縮減に努めることを目途としている。

3 委員会の検討課題
検討委員会は以下の事項について検討する。
(1) コンクリート構造物のプレハブ化・既存製品の長尺化,大型化による省人化,省力化の達成
(2) コンクリート二次製品の生産性の向上
(3) コンクリート二次製品の新製品の技術開発
(4) コンクリート二次製品の設計・積算の簡素化
以上の検討課題を踏まえ具体的に,(1)コンクリート二次製品の標準化の検討,(2)施工単価の決定手法,(3)既存の製品,新製品の普及方法の検討を行うこととしている。

4 委員会の構成
委員会の検討課題に対し,九州地建の企画部,河川部,道路部,九州各県の土木部技術主管課(室),およびコンクリート製品業界代表者からなる委員会と標準図面作成作業部会・施工単価導入検討作業部会を設置(表ー1),平成7年6月20日第一回委員会作業部会を合同で開催し検討課題・方針等が了承され作業に着手したものである。

5 委員会の検討内容について
平成7年度について委員会は4回開催され,その検討内容については以下のとおりであった。
(1)「施工単価導入の既存製品および新規製品の標準化」と「標準図面の作成方法」,「施工単価の調査手法」について
1)施工単価を導入する製品については,九州管内で使用されているコンクリート二次製品の出荷状況調査について,製品業界へ調査を依頼,また,発注機関に対し標準化要望の調査を行い凡用性が高く要望の高い製品について初年度9種目を対象とし,新規製品については市場にまだ出回っていないが長尺化,大型化製品で汎用性が高く普及を図るべき製品として二製品を選定し施工単価を導入することとされた。
 要望調査の段階で初年度対象製品以外については次年度以降検討対象製品とされた。
2)標準図面の作成について
 施工単価の導入の検討と平行して,対象製品の標準図の作成を行った。考え方としては数種類ある品目を,施工単価の採用にあたって設計担当者,施工現場の技術者が形として理解できるよう,また,十数種の同種製品を代表断面として作成することであった。特に管渠型側溝,横断暗渠については略六角形,略四角形として2つのタイプに作成した。
3)施工単価の調査については,物価調査機関である㈶経済調査会九州支部によりコンクリート二次製品の現場持ち込み価格の実態を190の事業所について調査(H7.9.11~H7.9.22)し,施工単価については出荷先の施工業者へ平成7年10月13日調査票を発送し11月6日までに回答を得,施工単価としてとりまとめたものである。
 調査は製品別に対象工事の施工形態(自家施工,下請別),施工数量(規格,仕様,施工数量),直接工事費,諸経費,材料価格,製品名,製作メーカー名,クレーンの使用状況のほか,床堀工,埋戻工の工事費,標準的な編成人員と1日当たりの投入班数および平均的な1日当たりの施工量について併せて調査した。
(2)「L型擁壁の標準化」について
L型擁壁の区分について,発注機関の実態を調べたところ①車道用と②歩道用に使用区分を分けてあるところと,そうでないところとまちまちであったため,議論が分かれたところである。また,高さの変化のピッチについては100mm,200mm,250mmピッチと製品も種々あり,歩車道の区分については,施工時の区分が,将来,隣接する土地利用の状況の変化や緊急時に歩車道部分を車道として一時使用する場合,構造物の安全性を考えれば歩車道に分けた区分が適切かどうかや,歩車道区分として価格差が歴然としない等意見をいただいた結果,生産性の向上,施工の省力化,省人化,設計積算の合理化の観点等から「輪荷重を考慮した製品に一本化する」ことで意見がまとまった。
高さの変化のピッチについては250mmで統一の意見も出されたが,発注機関の設計基準の改定や製品の在庫があることから弾力的な運用とし,平成10年度を目途に製品の生産・流通状況を検討し250mmピッチの統一を図ることとされた。
(3)「BOXカルバートの標準化」について
BOXカルバートの規格の標準化については出荷実績調査および各発注機関の要望も踏まえ土木工事用としての6規格(1000×1000,1500×1500,2000×2000,2500×2500,3000×3000,3500×3500)が了承されたが,6規格の中間サイズが必要かどうか各発注機関の下水道担当課の意見も求め,標準化要望をまとめたところ標準化の規格はまちまちとなったため,再度検討を行うこととなった。
検討の結果,道路工事,河川工事に使用する土木工事用としてのBOX規格としては少なすぎることから最終的には18規格として標準化することとなった。
BOX断面の決定についてみると,設計計画において流出計算結果から最適断面が決定されるが,設計担当者は数ある断面から規格を選択して設計断面とし,これに対しメーカーは型枠(メーカーによっては150~200規格)を準備して対応していた状況であった。これからはコスト縮減の視点,生産性の向上の視点から資材ミニマムの考えを改め,規格を標準化し上位断面の採用の考えと労働量ミニマムの設計の考えが必要であり設計計画の段階での検討が重要となる。
(4)「コンクリート二次製品のT-25荷重の対応について」
コンクリート二次製品のT-25対応については,JIS A5345道路用鉄筋コンクリート側溝(2)種が工業技術院,建設省および全国コンクリート製品協会もメンバーとして入って平成8年10月告示予定で検討中であることが土木研究所への問い合わせにて判明し,当委員会で検討対象となる落蓋側溝,U型側溝,自由勾配側溝(可変型側溝),管渠型側溝,横断暗渠の取扱いについて検討を行った。この結果,落蓋側溝,U型側溝,自由勾配側溝についてはJIS改定に準ずる(告示情報待ち)取り扱いとし,横断暗渠についてはBOXカルバートの設計に準じ,管渠型側溝について土木研究所と協議をしつつ統一した設計計算手法を検討することとなった。
以下,管渠型側溝の設計荷重の適用と荷重載荷の考え方について概要を次頁に記載する。

6 施工単価導入製品について
導入した製品は既存製品を長尺化,大型化した製品の9品目と長尺化,大型化された新規製品の2品目で,次の11品目である。

7 施工単価の公表について
平成7年度委員会で検討された左記製品の施工単価については㈶経済調査会発行の「積算資料九州版」創刊号(平成8年4月発行)に掲載され公表された。

8 あとがき
官民合同で発足した当検討委員会は平成8年度もT-25対応製品の施工単価の導入,大型積みブロック等の追加製品への導入と「積算資料九州版」の年2回の発行,および離島地域も対象に加え検討することとしている。今後とも関係機関,関係業団体の各位のご協力をお願いしたい。
(文責:別府五男)

上の記事には似た記事があります

すべて表示

カテゴリ一覧