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『探し物との戦い』

国土交通省 九州地方整備局
企画部 建設専門官
佐々木 美 紀

「平均的なビジネスマンには、1 日に190 の新しい情報が入ってくる。そして探し物をするためだけに1 年間に150 時間も浪費している。」
これは、『気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ』(リズ・ダベンポート著)という著書からの引用だが、1 年間のうち約1 ヶ月の労働時間にあたる時間を探し物のために費やしているということになる。この事実は単純に驚きであるとともに、片付けることが苦手な私にとっては、目を背けるわけにはいかない現実でもある。就職して12 年が経とうとしているが、実に1 年間は物を探していたと思うとぞっとする。
すぐに使うかもしれない、後で確認しておこう等の思いから、いつの間にか机の周りには書類や資料が積み上がってしまうことは私も含め経験のある方もいるのではないでしょうか。冒頭で紹介した本には、増える一方の情報や物を上手に片付け、膨大な時間の浪費を防ぐための机周りの整理法やスケジュール管理のコツが記されている。詳細についてはここでは記載しないが、印象深かった一文を紹介する。
「“ あとで” というときは永久にやってこない」
確かにそのとおりかもしれない。後から整理しようと思って一旦机に置いてしまうと、そのままになってしまうことが多々ある。“ あとで” が積み重なり、気がつけば机の脇には資料の山ができている。そして、積み上がった山が限界を超えそうになったら(あるいは、限界を超えて崩れ始めたら)やっと片付けるということをいつも繰り返してしまう。しかし、その間にどれほどその資料が必要となっただろうかと思い返してみると、あまり使っていなかったりする。使うときには「確かこの辺りに…」と山の中から引っ張り出す事態になっていたりもする。これでは、手元に置いてある意味もない。情報は“ あとで” ではなく、入ってきた時に、保管するなり処分するなり然るべき対応をするように心がけたい。
職場だけでなく、自宅での探し物にも度々悩まされる。原因の1 つに、まだ使えるから、いつか使うかもしれないからと捨てられないでいる物が増えすぎたことが思い当たる。
“ もったいない”。それは、日本人の美徳である物を大切にする気持ちを表す言葉だとも言われている。まだ使える物のリユースや資源としてのリサイクルは、限りある資源の有効活用、地球環境の保全といった観点からも大事なことである。しかしながら、もったいないから処分できないというのは実は間違っていたのかもしれない。いつか使うかもしれないと大事にしまっておくことは、有効利用できる資源を無駄にしている可能性がある。さらに、物が増えることで探し物をするための時間まで奪っていると思うと、それこそもったいないことをしてきたのではないかとも感じる。
机や部屋が片付いていると、気持ちがいいだけでなく、探し物をする時間と労力も減らすことができる。今年こそは、整理整頓を心がけ、探し物に費やす時間を別の事に有効活用していきたい。と思いつつも、油断するとすぐに書類の山が姿を現す。探し物との戦いはまだまだ続きそうであるが、本稿を戒めとして少しずつでも改善していきたいと思う。

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