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真上から見ると、見事なクローバー型を描く鳥栖ジャンクション。

九州の地図を開いてみる。北九州から鹿児島へと続く九州自動車道と、左右に延びる長崎そして大分自動車道。どの地図にも太く力強く描かれた、これら南北と東西の高速道路がちょうど交わる位置に、鳥栖市はある。決して大きな町ではない。派手な観光スポットがあるわけでもない。けれどもこの「鳥栖ジャンクション」のおかげで、九州に住む人々はみな、少なからず鳥栖の存在を認識せざるを得ない。真上から見ると、美しい流線型を描いた四つ葉のクローバー型ジャンクションは全国で唯一、ここだけだという。そしてこの誇るべきジャンクションの完成により、交通の要衝の地として整備された鳥栖にはさまざまな企業が進出し、この地に大きな経済効果をもたらした。もちろん、それだけではない。鳥栖には、つつじで有名な大興善寺、地元のサッカーチーム・サガン鳥栖、鳥栖スタジアム、JR鳥栖駅の焼売弁当…地元をアピールするいくつかの"存在"はしっかりと真面目に、その役目を果たしている。

現在の鳥栖について述べると、ざっとこんな具合だろうか。そうして、多くの人はこの程度の理解で、鳥栖を通り過ぎようとする。快適にジャンクションを通過して、目的地へとひた走るたくさんの車と同じように。

秋光川の上流域には生活感のある風景が広がっている。左側は12年前にできた水車による精米所。

秋光川のほとりには大きな柿の木が。この付近では毎年初夏になるとホタルの乱舞が見られるそうだ。

午後になると、真冬の空気の中で、太陽はほんの少しだけ黄金色を帯びはじめた。目をつぶって深呼吸をすれば、冷気を帯びた空気は鼻の奥をつんと刺激する。木枯らしを全身で受け止める椿、葉を落としてしまった木々のエネルギー、そして土の中に眠る生き物たちのため息。吹き渡る風は季節に託されたいろいろな匂いをはらんでいる。

鳥栖には、市内をほぼ南北にいくつかの川が流れている。東側から秋光川、大木川、轟木川、安良川、沼川…。どの川も最終的には筑後川へと注ぐ小さな支流だ。けれども、この地にちりばめられた冬の欠片たちは、間違いなくこれらの川のそばで、そのせせらぎに寄り添うように輝き続ける。

秋光川の上流域を歩いてみた。車で通り過ぎてしまえばどうということはないけれど、こうしてのんびり立ち止まったり周囲を見渡したりしていると、心を動かされる風景にいくらでも出会うことができる。

立派な果実をつけた柿の木、古い映画のセットのような石橋、民家の庭先にたわわに実ったキウイ、名前も知らない花々、昔ながらの精米用の水車、そして川を宝物のように大切に想う流域の人々。「このへんも以前とはずいぶん変わりましたよ」

地元の人は穏やかに微笑みながらそんなふうに言うけれど、その表情は明らかに、この地には、時代と共に変化しても、変わらない何かが確かに存在していることを物語っている。

時が流れ去ることなくゆっくりと積み重なる川の流域と、スピーディーに過ぎる日常の象徴のような高速道路。鳥栖という町が持つ、ふたつの時間だ。

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