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古処山山頂のオオヒメツゲ

筑豊の里山の林床にも生育している ツリフネソウ

遠賀川は英彦山地、馬見・古処山地、三郡山地、犬鳴山地、福智山地をそれぞれ源流域とした河川の流れを集め、6市24町1村の流域をうるおし響灘に注いでいます。源流域には豊かな自然が広がっていますが、そのほとんどはスギ・ヒノキの植林(人工林)です。

しかし、英彦山の尾根づたいに残るブナ林、古処山の山頂付近のツゲ林は貴重な自然林であります。なかでも、古処山のツゲ原始林は全国に例のない規模であり、昭和27年国指定特別天然記念物となりました。通常、ツゲは3mくらいの高さに生長するのですが、古処山のツゲは7~8mの高さに達しています。

オオヒメツゲ、アサマツゲ、マルバツゲの3種が生育していますが、そのうちオオヒメツゲが大きな割合を占めています。

胸高幹周囲:95.5cm、樹齢930年と推定されているのが最大木で、同幹周囲50~70cm、樹高5~8mの亜高木が並び立っています。樹令50年未満の小径の幼木は数えきれません。

一般に、樹木は災害にあったり、伐採されるようなことがなければ寿命の長いものです。それに対し、森林の林床に育っている草たちは、発芽後1年以内に開花・結実し、枯死するものや、秋または春に発芽し2年目に開花・結実するもの、そして地下部で2年以上にわたって生存しつづけるものなど多様な生活のしかたをしています。

森林が多様な樹種でなりたち複雑な階層構造をして活力にあふれていれば、それに依存する動物たちも多様であり豊かな生態系が確立されます。スギやヒノキだけが育っている人工林は単純な森林構造の生態系であり、とくに大型の動物たちには住みにくい環境となっています。いずれにしても、私たちの命を支える水はこのような源流域の森林(緑のダム)が確保されてはじめて口にすることができるのです。

道路わきの可憐な草花や、天を衝く大木のいずれも将来の地球環境の望ましい姿を約束してくれるでしょう。

古処山北面(夏)

古処山南面(冬)

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